人それぞれで違うはずだが、若者はあまり買い物をしなくなったらしい。
“物欲なき世代”とも言われる。可処分所得(収入のうち自由に使える額を示す)の伸び悩みが原因なのか。
スマホの普及で月々の支払いがかさみ、(健康保険など)社会保険料の負担も大きく、他の消費にお金が回らない。年金や社会保障制度がどうなるのか、自分たちの生活がどうなるのかもわからない。そのため財布のひもが固くなる。
今の若者が生まれた時、日本経済はデフレだった。親の給料もなかなか増えない。不
要なモノは買わない習慣の中で育った。高度成長やバブルを経験してきた世代とはあきらかに感覚が違うのだ。
日本経済は成熟し、モノがあふれて、消費の主役が“モノ”から、(体験を大事にする)“コト”に移るなか、企業側は消費者のニーズに応えるモノを十分に提供できていない。
かと思えば、興味あるニュースを見た。数日前、西日本新聞にあった記事である。
AKB48のCD585枚が(処分に困り)、山に不法投棄されていたという。
10月16日に福岡県警筑紫野署は、容疑の男を書類送検した。同市に住む30代の会社員の男である。男は「アイドル総選挙で、CDに添付されていた投票券を使用後、処分に困り捨てた」との容疑を認めている。
書類送検容疑は6月中旬ごろに、AKB48のシングルCD計585枚を、太宰府市の山中に捨てた疑い、とのこと。
CDはすべて同種で、6月に沖縄県で行われた「AKB48 49thシングル選抜総選挙」の投票券が抜き取られていた。
大量のCDは、(AKB48のファン仲間である)千葉県在住の男性が購入した。券に書かれているシリアルナンバーの入力が間に合わないため、九州在住のファン仲間に協力を依頼したモノなのである。
容疑の男は、千葉の男性から郵送されてきた約千枚分(約100万円相当)の入力作業を、福岡市内で終えた後、約600枚を自宅に持ち帰った。その量は段ボール11箱分で、一般のごみ処分が面倒なため山に投棄したとのことだ。
大量のCDが捨てられていることは、SNS上などにもアップされ、ファンの間でも問題視されてきた。私も、どういう形で捨てられるのかと、その実態にはとても興味があった。
投票券目当てで大量購入したはいいが、選挙後も売れないのだという。
中古販売大手のB店やDVDレンタル大手のG店では、盗品の転売防止などを理由に、同一タイトル2点以上の買い取りはできないらしい。
AKB48のCDは総選挙のたびに大量生産され、中古品販売店での買い取り価格も安い。買い取ってもらえないこともあるから、(必要としない“モノ”である)CDの処分が大きな問題になってくる。
音楽配信やダウンロードが主流の今、実際どれだけのCDが本当に聴かれているのかとても気になる。捨てられるためだけに、大量のCD(というモノ)に収めた楽曲に、いったいなんの意味があるのだろうか。