こんにちは、服部です。
前々から言っていることなんですが、SNS至上主義、インフルエンサービジネス、評価経済、こういった「信用をお金に換えるビジネス」は廃れていきます。
ビジネスにおいて信用は必要無いと言っているのではなく、中身の伴わない「フォロワー数」や「人気」、「影響力」といった、いわゆる信用の根拠がよくわからない人、モノ、コトは相手にされなくなるということです。
ポジショントークでもなんでもなく。
未だに波紋が拡がっている、先日の神戸製鋼の不正なんかは、振り子が振れてそういった時代が到来することを顕著に表している気がします。
以前からあったとはいえ、まぁ、なるべくしてなったなと。
信用(ブランドやインフルエンス)にお金を払うということがいかにバカかばかしいことかをまざまざと見せつけてくれました。
もう信用はお金に換わらなくなります。
なぜなら、結局、信用って相手に対する依存だからです。
だって、信用にお金を払うってことは、多かれ少なかれ「信じてますよ!」「裏切らないでくださいよ!」「お願いしますよ!」っていう思いがあるわけじゃないですか。
そういった感情に任せてお金を使うって、本来かなりリスクの高いことですよね。
少なくとも僕は、ここぞという時に信用を基準でお金を使うことはないですね。
今の自分にとって必要か、価値はあるかで判断するので全て自己責任ですし、後悔しないように商品やサービスのクオリティを徹底的に調べます。
だから、「信用をお金に換える」って、人を思考停止にするなかなかハードなポジショントークやなと思っているわけです。
だって、サービス提供側からすれば、「今までこれだけのことをしてあげてるんだから、私に依存してください」って言っているようなもんですから。
で、購入者側からすれば、購入理由が「信用しているから」というのは商品やサービスの価値を理解できていないってことですよね。
普通に賢い人からすれば、「いやいや、今までのこととかどうでも良いし」っていう話で、
今からお金を払おうとしているのはこれからのことなわけですから、欲しいのは信用の押し売りではなく、これからお金を払おうとしているものの商品(サービス)のクオリティとその裏付けが知りたいわけです。
フロントエンド商品が良いからって、バックエンド商品も優れているとは限らないし、逆にフロントエンド商品がショボくてもバックエンド商品が素晴らしいケースとかはいくらでもあるので。
ハシゴの取り扱いのプロ
今ってみんな大好きじゃないですか?
「信用貯金」
「信用=お金」
「GIVE! GIVE! GIVE!」
ホリエモンやキングコング西野くんらの影響で、ブロガーや起業家をはじめとして猫も杓子もみんな同じことを言っているじゃないですか。
さきほども言いましたが、残念ですが、もう人は信用なんかにお金を払わなくなりますよ。
そもそも、ホリエモンや西野くんは信用で稼いでいるわけではなく、有名人というアドバンテージを前提として、その有名人が様々な分野でハイクオリティな言及しているというのがウケているわけです。
要するに、ハシゴの架け替えが上手いだけではなく、様々なカテゴリーにハシゴを複数架けて行き来するプロなんですよ。
芸能人や著名人、アスリートが政治家になる流れとかよくあるじゃないですか?
あれなんか上手くハシゴを架け替えているわけですよね。
政治家になるからといって、エラい人のお茶汲みや秘書からスタートするわけじゃなく、今までの経験をアドバンテージとして、「次はこっちに行ってみるか」という感じでヒョイっとハシゴを架け替えて上っていっているわけです。
ロードランナーやドンキーコングのように(笑)
ホリエモンと西野亮廣は違う
まぁ、ホリエモンに関してはビジネス畑がスタートなので、そこから芸能、政治、そしてみんな大好き自己啓発の分野に参入していけば面白くないわけがないですよね。
効率化、逆張りといった、ホリエモン独自のビジネス目線での異カテゴリーへの切り込みは絶対にウケるじゃないですか。
そりゃブラック会社で悶々と働きながらも「オレの人生はこんなはずじゃない」と一発逆転を狙っているサラリーマンに本が売れるわけです。
一方、西野くんに関しては真逆で、芸能畑からビジネス畑に。
言っていることややっていることはマーケティングとしてはごくごく当たり前のことですが、クラウドファンディングといったツールの使用やストーリーが面白いので当然ウケます。
で、彼に関しては、ビジネス分野に参入すれば儲かるということは最初からわかってやっていますよね。
意識高い系のサラリーマンやブロガー、起業家には西野くんの理念やビジネスのやり方、話題性、カリスマ性はまさにドンピシャなので、いくらでもお金を払うでしょう。
西野くんの特筆すべき点は、芸能人が絵本をいう分野で片手間レベルではないクオリティのものをつくり、それをフリーミアムを軸としたマーケティング手法で売り、その過程を独自の表現でビジネス分野に伝えていったということです。
そうすることで、芸能人としての信者ビジネスだけではなく、起業家としての信者ビジネスをも確立させていったのは本当にスゴイと思います。
もちろん、芸能人から異分野に参入している人はたくさんいます。
芸能人をやりつつ、作家、ミュージシャン、起業家というワラジを履いている先駆者はいくらでもいるわけですし、片手間ではないクオリティを提供している人もいくらでもいます。
が、そこで出した成果に関して、プロセスからゴールまでを言語化して、ビジネスノウハウとして発信している人はほぼいないわけで。
いたとしても、西野くんほどグイグイビジネス分野に突っ込んでいっている人はいません。
こういった背景を頭に入れた上でこれらの本を読むと、また面白い視点や理解が得られますよ。
なんちゃってフリーミアム
まずは「GIVE!」で信用を得て、信用貯金をつくりそれをお金に換えていくというのは、フリーミアム戦略として一般的な利益獲得手法なので、それ自体が廃れると思ってはいません。
ただ、フリーミアムは体力(資金力)と商品クオリティが前提となります。
競合がアタマから課金しているところを、フリーミアムでは課金ポイントを後にずらすわけですから、無収入の期間が長ければ長くなるほど資金力、もしくは別で収入源がないとなかなか厳しいわけです。
資金力がなければ時間をかけるしかないですからね。
で、商品クオリティに関しても、無料とはいえ、それなりのものを完成させるためにはお金と時間がかかるわけです。
にも関わらず、「信用」を勘違いしている人が多いんですよね。
前述した「無料でハイクオリティのものを提供する」をすっ飛ばして、
「有名になれば信用を得られる」
「有名人と絡んでいれば信用される」
「有名人の名言を使い回せば良い」
といった安易な考えでインフルエンスをまとおうとしている連中がめちゃくちゃ多いじゃないですか。
プロブロガーとかによく見る「フォロワー数至上主義」や従順なフォロワー以外は排除する姿勢なんかはまさにそうです。
ブログの内容もツイートの内容もホリエモンや西野くんの主張のコピーをさらに薄く伸ばしただけの内容ばかりですよね。
フォロワー数や有名人もどきといった見せかけの信用で塗り固めた、中身の伴わない「なんちゃってフリーミアム」はもうバレてきているんですよ。
ちなみに、フリーミアムをはじめとした利益モデルを学びたい人はこのあたりの本がわかりやすいです。
受動的に生きるリスク
多くのプロブロガーさんやサラリーマン起業家さんたちは、ホリエモンや西野くんのポジショントークにまんまと乗せられちゃったということです。
そもそも信用で儲けていない彼らの「信用を売れ」というポジショントークによって、焦って(劣化コピーの)無料コンテンツのバラマキをしてしまい、中身が伴わない状態で有名人もどきになってしまったわけですから、メッキが剥がれてきて彼らも必死ですよ。
最初から商品クオリティも同時に追求していけば良かったものを、そっちをないがしろにしてホリエモンや西野くんの主張のコピーを使ってインフルエンスを身につけてしまったわけですから。
よくブロガーやコンサルタントで「稼いでますアピール」や売上報告をしている人いるじゃないですか。
それ自体は何も悪いことではないですが、それで信用を得ようとしているのであれば完全に真逆のアクションですよ、という話で。
だって、商品やサービスがカスで、ブログでの情報発信も劣化コピー、ツイートも自己啓発本に書いてるようなことばかりだと、「私は情報弱者からお金を巻き上げて稼いでいます」と言っていることと同義ですからね。
しかも、ここにきて神戸製鋼の不正事件。
これだけの信用(ブランド)が覆されたことによって、ハリボテの信用にお金を払う人はいなくなりますし、信用の裏付けなどの精査はますます厳しくなるでしょう。
確かに、思考停止の消費者をターゲットにすれば信用はまだまだお金になります。
例えば24時間テレビの障害者企画なんかはわかりやすいですよね。
「障害者は綺麗な心に違いない」
「障害者は力強く一生懸命生きている」
といった無条件の信用が蔓延しているので、思考停止している人は簡単に財布を開きます。
誰かよく知らない障害者のがんばってる姿を見て募金をするというのは、まさに思考停止の消費者に信用を売ってお金に換えるマネタイズ法の典型ですよね。
しかし、当然、障害者にも悪人はいるわけで。
でも、思考停止の消費者は「障害者はかわいそう」という無条件の信用で財布を開くのです。
自分の価値観で生きていない人は、能動的に自分で見つけた誰か(何か)のためにお金を使うことがないのでそうなってしまうんですよね。
受動的に得た情報を信用させられ、お金を払わされることになるのです。
信用は副産物でしかない
ホリエモンも西野くんも信用を売っていません。
信用貯金もしていません。
無理やり信用をつくり出したわけではなく、これまでのマーケティングの副産物として「信用がある」だけです。
少なくともビジネス畑における彼らの信用の裏付けは、「惜しみなく無償提供をしていること」ではなく、有名人というアドバンテージを生かしていろんな業界にハシゴを架け、行き来して成果を出していることです。
そもそも、ホリエモンなんて刑務所にいれられているわけですから、本来であれば信用もクソもありません(笑)
それを覆すビジネスの実績や未来を示唆する発言への憧れ性にホリエモン信者はお金を払っているわけですよね。
それを素人がインスタントで身につけようとしている時点で無理があるし、すぐに歪みが現れるわけで。
「みんなが買っているから」
「みんなが行っているから」
「たくさんの人が集まっているから」
といった、信用(ブランド、インフルエンス)を求める人は減りますし、そういった層のお客さんを相手にするビジネスは自分の首を締めることになります。
なぜなら、そういった客層は、ほんの小さなきっかけで、受動的に目や耳にした別のトレンドや別のインフルエンサーの元ににゴッソリと移行していくからです。
これから来る「個の時代」の本当の意味は、個人が強力なインフルエンサーになって経済に影響を及ぼしていくということではなく、大きな市場から小さく切り取り、そこで
「ハイクオリティ+瞬発力+カスタマイズ力」
を発揮して成果を出し、そしてそれらを言語化して発信することで、異業界にもどんどんハシゴを架けていって稼ぎ続けられるようになるということです。
それでもまだ、まもなく価値がなくなる「信用貯金」をし続け、腐った評価経済社会の奴隷になりますか?
手っ取り早くインスタントな信用を身にまとうために、有名人に寄生し、ハリボテのフォロワー数を集め続けますか?
お客さんがあなたにお金を払い続けてくれる理由は何でしょうか?
もしその理由が、特に裏付けのない「信用」なのであれば、お客さんはあなたの商品やサービスの価値を理解できていません。
他に信用に値する有名人やインフルエンサーが現れたらすぐにあなたの元を去っていくでしょう。