2017-10-21

SakuraGameの問題を掘り下げてみる

ここのところSteamパブリッシャーSakuraGameに関する問題が次々と浮上してきている。

ついには合意なしにストアページを公開したということさえ開発者本人から明らかになったけど、近い知り合いも同じことをされていたので他にも同じようなことをやっていることだろう。

ここの問題は、まだまだ根が深いのでこちらでつかんでいる情報をもとにいろいろ掘り下げてみようと思う。

SakuraGame問題とは

(細かい誤りはあるものの)この記事にうまくまとめられている。:

https://maruhoi.com/game/chinese-publisher-sakura-game/

Sakura英文翻訳の質は非常に低く、ゲーム内の画像の改変も相まって中国以外での海外の評判は記事の中にある以上に散々である

それがいかにヒドイか確認できる例(裸注意):

https://i.gyazo.com/aa574362f00b7ec5905a67809375fc5e.jpg

イケメンオーケー、この体勢なら、オレはすぐに妊娠ちゃうぜ」

(一体何のギャグか…)

これらへの不満に対するサポートもほったらかしなので、ユーザーヘイト開発者に向くことも多い。


Steamシステムは、プロモーションから販売までほぼ全てSteam内で完結するよう設計された閉じた形になっている。

それだけにデベロッパーパブリッシャーの信用や評価が非常に重要になる。

通常はクオリティの低いゲームを乱発するより質の高いもの継続して販売したほうが長い目で見ると多くの収益をあげるチャンスがあるのだ。

にもかかわらず、なぜ彼らはこうもリリースを焦って(デベロッパー同意を得る前にストア公開してまで)粗悪にローカライズしたゲームを乱発しているのだろうか?


まずSakuraGameの内情を予想してみる

この画像SteamSpyのSakuraGameの販売本数(の予想)を発売日順に並べたもの。:

https://i.gyazo.com/d618a72102165431d2641cbb3f462c0d.png

8月以降にリリースされたゲームは一つを除いて10万本を越えるものはなく、少ないもので数千本

SteamSpyの販売数には返品されたものも含まれているし、ゲームが一番売れるのは40%や50%オフとき、更に各国の消費税差し引かれるので実際の売上額は先にリンクしたブログが予想するよりずっと少ない。

「数百万円でライセンスお買上げ!」という景気のいい話が聞こえてくるが、実際会社として300万円の元を取るとすると5.5-6.5万本あたりが損益分岐点だろう。

Steamでは新しいジャンルゲームリリースすると大きな売上を上げることがある。

しかし、たとえ一本目よりできが良くても二本目、三本目となるにつれ、その売上は大きく下がってゆく。

画像販売数の推移をみると、Sakuraゲームも同じ道を辿っているのがよくわかる。

これから時間が経つにつれ、ある程度売上は伸びるだろうが、現状売上が数千本というものもあるから、これではやっていけない。

現に彼らも今後同じ収益を上げ続けることが難しいのを自覚しているらしい。

わたしが話を聞いたデベロッパーには歩合制(しか機械翻訳にしてはかなり向こうの取り分が多い)でオファーが来たそうだ。

中国国内事情

Steamアクセスブロック可能

彼らが強引なまでにゲームリリースを焦るもう一つの理由中国政府によるSteamアクセスブロックを見越していることだろう。

中国ではネット検閲を強化しており、古くはLineGoogle、ついこないだ突然pixiv中国からアクセスブロックされたことも記憶に新しい。

既に中国ではSteam対抗サービスも始まっており、中国ゲーマーの間でもSteamブロックはいつになるかは分からないが時間問題であると捉えられている。

官憲の介入の可能

彼らにとってもう一つの問題は、彼らが中国ではご禁制のポルノメディアを取り扱っており、いつ官憲に潰されてもおかしくないということだ。

これは中国SakuraGameの記事だが、この中でもパクリエロ問題が取り上げられている。:

http://www.chuapp.com/article/283291.html

ここのエロゲ中国語翻訳中国本土標準語ではない(でもある程度通じる)繁体中国語なのも官憲の目を配慮したものだろう。

素性が知れないということ

このパブリッシャー取引する上で大きな問題となるのが、ここが素性を隠そうとしているということだ。

わたしが話を聞いたデベロッパーには香港会社を名乗っていたそうだけど、以前にSuperStarのクラウドファンディングをした際の所在地はなんと「東京」だったとのこと。

更に、先にリンクした中国語記事によるとその実体四川省成都で以前スマホゲーム制作していた会社とされているから、もうわけがからない。

四川ゲーム関係者に聞いたところ、ここに拠点があると見て間違いなさそうだが、さら親会社がありそうとのことなので、その実態は謎に包まれている。

メディアから取材も断っているそうだ。

日本ゲーム開発者SakuraGameを利用する際に認識しておくべきことをまとめてみる

1.ローカライズが悪く安かろう悪かろうイメージがつく可能性がある。

機械翻訳だったり、画像に手を加えたりするので作品本来の内容が失われてしまう。

また、それに対するサポートもしていないので、必然的ユーザーの不満が開発者にも向く。

2.政府Steamブロック官憲の介入により突然ビジネス破綻する可能性がある。

SakuraGameの売上は下がっており、このまま継続して大きな収益を上げ続けるのは難しい。

彼らもそれを意識しており、少々強引な手段を使ってでも稼げるうちに稼ぎたいと考えている。

3.素性が知れないので音信不通になった場合作品海外版権がどこに行ったかからなくなるおそれがある。

その後海外で日の目を見ることはなくなる可能性が高いし、巡り巡ったライセンスがどういった使われ方をするかもわからない。

取り戻すことも問題のある使い方に抗議することも非常に困難になる。

ゲーム開発者SakuraGameを利用する際にはこのあたりのリスクを鑑みて、彼らが提示する条件がそれを補って余りあるかどうか、そして彼らが信用に値するかどうか十分に考えた上で判断するとよいだろう。

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