散るろぐ

こころふるえる感情メディア

もう仕事やめたい

このごろ、めっきり仕事のやる気がなくなった。

さっきも、見知らぬ客が来たけど、見るからに面倒くさそうな風体をしていたから、商品のかげに隠れていた。それでも、執念深く店内をうろついて、とうとう見つかってしまった。

なんとか、塩対応で追っ払おうとしたら、他の常連さんが来てしまって、そっちはいつも買う人だから、接客しないわけにはいかなくて、しぶしぶ仕事した。

そしたら、その見知らぬ客が、常連さんにいろいろ聞きはじめて、「ここの美味しいんですよ」なんて常連さんが言うもんだから、見知らぬ客までいっぱい買っていった。

商売ってむずかしいよね。売れてほしいときは、ぜんぜん売れなくて、売れるな、売れるな、と、強く念じているときに限って売れてしまう。もう僕は、お客さんに対応するのがイヤなんだよ。

若いころは、そんなことなかった。あのころとは、環境がちがうから、一概には言えないのだけど、40歳を過ぎたあたりから、急激に接客するのがイヤになった。もう、商品に興味も失って、客の顔も見たくないんだよね。

プロのグラマーが、35歳で限界を迎えるように、接客販売も、40歳でモチベーションを失うのかも知れない。個人差はあると思うけど、僕はもう、ほとほと嫌気がさしてしまった。

いま、「じゃあ、さっさと辞めたら?」という声が聞こえたけど、そんなカンタンな問題じゃないだよ。イヤなら辞めろなんて、子供じゃあるまいし。

接客って、ずっと受け身なんだよ。打たれても、蹴られても、罵られても「効いてませんよ」ってな感じで笑ってないといけない。僕はもう笑えない。作り笑いという名の井戸が、すっかり枯れてしまったようにね…。

偉くなるってのは、もしかしたら、この「誰にでも出来るけど給料が安くて大変なこと」を、他の誰かに押しつけることなのかもね。

人は誰しも、楽をして給料をもらいたいんだろうか。管理職が大変なんてのは大ウソで、偉くなって会議であーだこーだ言ってる方が、よっぽど楽だろうな。本当に大変なら、いつでも降りてきなよ。末端の販売員の席は、いつだって空席ばかりだ。

僕もはやく、「誰にでも出来るけど給料が安くて大変なこと」から抜け出して、その上にあぐらをかきたい。人間を踏み台にして、あの壁の向こうに飛んでいきたいんだ。

雑魚と呼ばれないために。