内部留保をわかってない人に教えたい超基本

希望の党だけでなく政党すべてが五十歩百歩

内部留保は現金ではありません(写真:もとくん / PIXTA)

いよいよ明日、衆議院選挙が開かれる。議席獲得が大きく注目される希望の党がすでに掲げている9つからなる公約の1つ目が「消費増税凍結」。その代替財源として挙げられたものが内部留保課税だ。公約には「300兆円もの大企業の内部留保への課税なども検討し、プライマリーバランスの改善を図ります」とある(希望の党のHPより)。

この公約が公表されると、途端に「また内部留保か」と多数の反発が寄せられた。東洋経済オンラインでも大江英樹氏による「希望の党の政策『内部留保課税』がヤバすぎる」で問題点を指摘しているが、別の観点からも解説したい。

内部留保=現金という勘違い

経済系のニュースを読んでいる人ならば「内部留保に課税とか、内部留保を給料アップや設備投資に回せという話は間違っている」という記事を1つくらいは読んだことがあるかもしれない。

筆者が書いている個人ブログでも、4年も前に書いた内部留保に関する記事へのアクセスが急増している状況だ。

ヤフー!ジャパンが提供するリアルタイム検索でツイッターフェイスブックの投稿を検索すると、10月7日、8日は9000回以上も「内部留保」がつぶやかれており、これは人気アイドル「乃木坂46」の7000~8000件を大きく上回る。

人気アイドルを上回る勢いでつぶやかれる「内部留保」だが、その勘違いへの指摘は一言で終わる。

「内部留保は現金ではない」

内部留保に関する間違った言説のほとんどが、内部留保=現金という勘違いに基づいているからだ。

ただ、この説明をいくら繰り返しても「内部留保騒動」は10年前から続いており、ゾンビのように甦っては、いよいよ政党の選挙公約にまで盛り込まれた。そこで内部留保は現金ではない、という話とは別の角度から説明してみたい。

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  • KC4df1694f2138
    「内部留保でなく現金課税というべき」といえばシンプルな説明のところを…
    サラリーマン社長は在任期間の保身を前提にしがちのため、大企業を中心に戦略的な投資を積極化するドライバーになってほしいと思います。私が務める会社は大企業の部類に入りますが、経営にはむしろ勝負してほしいですね。

    こういう議論は有意義なので、選挙の行方はさておき一石を投じたところ自体に意味があると感じます。

    ところで今後10年間でAIが強烈に会計の世界を変えると言われてますね。伝統的な会計仕訳は概念としては残っても経理マンの作業としては自動化され、より生産性の高い仕事な振り向けられるでしょう。筆者は簿記至上主義のように見受けられますが、今後はAIが国際会計基準を主導するため業務がガラリと変わります。
    up3
    down2
    2017/10/21 07:57
  • NO NAMEc6d8cd55cc9f
    政党よりも、新聞社の政治記者がまったく理解していない
    紙面に言葉の説明を掲載しているのに理解してないのは何故?
    up0
    down0
    2017/10/21 08:22
  • NO NAMEe98d34746eb3
    サントリーという日本有数の特定同族会社で内部留保税の一形態である留保金課税を払っている会社の例を出すのはさすがに意図的ですよね?
    up0
    down0
    2017/10/21 08:19
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