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映像演出を「音」で立体化!?リアリティとファンタジー感の共存

映像演出を「音」で立体化!?リアリティとファンタジー感の共存

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はじめまして、DMM VR THEATERを運営しているDMM.futureworksの坂口です。サウンドエンジニアとして公演のサウンド周りを担当しています。

現在シアターで上演中の「アイドルタイムプリパラ み〜んなあつまれヨコパマ!ゆめかわマジカるライブ」(以下、プリパラ公演)を交えて、ホログラフィック技術とサウンドの組み合わせによって生まれる「演出の立体化」についてお話し致します。

DMM VR THEATERとは?

私たちが運営している"DMM VR THEATER”は、特殊なメガネやヘッドマウントディスプレイなどが無くとも「ホログラフィック技術」で映像が立体的に見える常設シアターです。2015年9月にオープンして以来、どのような作品や演出が観客の方に支持されるのかを模索しながら、1つ1つの公演を作り上げて来ました。

X JAPANのhideをホログラフィック技術で復活させたライブパフォーマンスを皮切りに、ふなっしーオリジナル作品、プリキュアと続き、最近ではドリフェス!やテニスの王子様など、魅力的なコンテンツホルダーの皆様と共に公演を行って来ました。他にも、先端的表現の「VRDG+H」やロックバンド「uchuu,」のライブなど、実在の人物とホログラフィック演出を交えたパフォーマンスも展開しています。

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ホログラフィックの原理

上の図のように、前面のハーフミラー性のスクリーンと背面のスクリーンを巧みに使い、ステージ上にキャラクターや映像演出を浮かび上がらせています。例えば、照明の光を受けて、キャラクターの色が染まったり、影が落ちたりすることで実在感を高めています。

勿論それはほんの一部で、より多層的な創意工夫があって、シアターならではの驚きや没入感のある表現を狙っています。コンテンツホルダーの方々も、クリエイターも、皆が一丸となってアイデアを出し合うことで、これまでにない「新しい(面白い)表現」を求めて制作しています。

映像演出を「音」で立体化!?リアリティとファンタジー感の共存

シアターは最大9.1ch10チャンネル)のサウンドシステムを兼ね備えています。前後左右、さらに上下から音を出すことができます。著名なアーティストの音響を担当されている方が設計をしており、ライブような迫力のあるサウンドを体感することができます。

f:id:dmminside:20171019215139p:plain今回のプリパラ公演では、私は全ての音素材がシアターでの鑑賞に相応しくなるようMA(音量、音質のバランス調整、音の配置)を担当しました。その中で一番大切にしていることは、VRで現れるキャラクターがライブパフォーマンスをしているリアリティでした。

弊社プロデューサの山中崇は、公演のセットリストの流れに力を入れており、ミュージシャンである経験を生かして、楽曲のストーリー、音楽的な流れやキャラクターのコンテクストなどを含めた「リアルなアイドルのセットリスト」を考えていました。

私はそれを受けて、楽曲をより盛り上がれる音楽に仕上げるように意識しました。ポップス、ダンスミュージック、ミュージカル風の楽曲からビッグバンドまである幅広い楽曲の、それぞれが持つ良さを引き出すような調整です。簡単に言いますと、体に響く低音を出したり、リズムにメリハリが出るようタイトにしたり、歌い手の声が立つようにと。

その中で最も時間を割いたのは、楽曲と曲中にある特殊なシーン(セリフや効果音がアニメーションや衣装チェンジのシーンと共に出る)をどう共存させるかでした。楽曲の音量を大きくすれば、ライブ感は出ますがセリフは聞こえづらくなります。逆に楽曲を下げると、BGMとなりライブ感は薄れてしまいます。

そこでシアターのサラウンドシステムを駆使し、セリフや効果音、残響音が出る位置やバランスを変えることで、ライブのリアリティとプリパラのファンタジー感を共存させようと試みました。その結果は、ぜひシアターに足を運んで聴いてみてください。 

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NUENDOのmultipannerを使って音の位置、広がりを決めるMA作業 (総計300を超えるトラックをミキシング)

今回はもう一つ、音で面白い演出を行っています。楽曲や歌うキャラクターに合わせて、アイドルタイムマイク(ペンライト)の色が変わるプログラムをしました。客席の光の色が一斉に変わる様子は、まさにプリパラの世界がそこにあるように見え、ステージとの一体感を味わうことができるのではないでしょうか。

これからチャレンジしたいこと

このシアターでは前述の通り、音を立体的に捉え、映像表現と合わせることで、ここだからこそ体験できる「新しい(面白い)表現」を狙っています。

私は20年間音楽やサウンド制作を行って来ましたが、サラウンド音響の世界に飛び込んでまだ僅かです。手に入る情報やノウハウが少なく、思い通りにならないことも多いですが、音の位置や距離を連続して動かすことで「音が見える」ような感覚になるのは純粋に面白いです。

VRの市場拡大とともに、音楽業界では「イマーシブ・オーディオ(没入感のある音)」や立体音響の動向も活発になって来ました。こうした新しい技術をシアターや、派生する事業に組み込むことで、更に楽しめるコンテンツ制作に寄与したいと考えています。

今後もDMM VR THEATERの展開にご期待ください!

文中で紹介した「アイドルタイムプリパラ み~んなあつまれヨコパマ!ゆめかわマジカるライブ」は現在上演中(10/1311/12)です。ご興味のある方は是非こちらをご覧ください。

本公演では、キャラクター達によるライブ公演の後、お客様のマイキャラクターがホログラフィックでステージに登場する「トモチケランウェイ」もあります。ぜひトモチケを持ってシアターにお越しください。

vr-theater.dmm.com