将棋の羽生善治棋聖が、渡辺明二冠に挑む竜王戦の七番勝負が20日から始まりました。将棋のタイトルは、一定の回数、獲得すると「永世称号」が与えられますが、羽生棋聖がこの勝負を制すると、前人未踏の「永世七冠」を達成することになり、勝負の行方が注目されます。

将棋の「永世称号」は、同じタイトルを一定の回数、獲得した棋士に与えられますが、羽生善治棋聖は、現在7つある「永世称号」のうちすでに6つのタイトルで資格を得ています。
20日からは、残る「永世竜王」の獲得をかけた渡辺明二冠との竜王戦七番勝負が始まり、東京・渋谷で第1局を迎えました。

対局は、注目の大きさから、一部が観客のもとで行われ、ファンが熱い視線を向ける中、午前9時に先手の羽生棋聖が最初の駒を進めました。
対局相手の渡辺二冠は、羽生棋聖と同じく、これまでに5人しかいない中学生でプロ入りを決めた棋士の1人で、将棋界最高峰のタイトルである「竜王」を11期獲得し、ただ1人「永世竜王」の資格を得ています。
羽生棋聖はこれまでにも2度、「永世七冠」をかけて渡辺二冠に挑んだものの敗れていて、今回の七番勝負で前人未踏の「永世七冠」を達成できるか注目されます。
「永世七冠」その偉業とは
将棋のタイトルを一定の回数獲得すると「永世称号」が与えられます。
これはタイトル戦における「殿堂入り」のようなもので、例えば最も歴史の長い名人戦では通算5期獲得した棋士に「永世名人」の称号が与えられます。
これまでに羽生さんのほか、木村義雄十四世名人、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、それに、谷川浩司九段、森内俊之九段の5人の棋士がこの条件をクリアして「永世名人」の資格を得ました。
称号が与えられる条件はタイトルによって、連続5期や通算5期、通算10期などと異なります。
プロ棋士にとってタイトルは1つでも獲得すれば「その時代を代表する棋士」の証しとなりますが、それを一定の回数獲得してやっと得ることができる「永世称号」はいわば「歴史に名を残す名棋士」の証しと言えます。
将棋の八大タイトルのうち、ことし新たにタイトルとなった「叡王」はまだ永世称号の規定が決まっていないため現時点で将棋の永世称号は7つ。
タイトル獲得数98期という史上最多記録を持つ羽生さんは、すでにこのうち6つのタイトルで永世称号の資格を獲得し、残るのは「永世竜王」だけとなっています。
そしてこの永世竜王も通算7期の条件まであと1期に迫って、今回の渡辺竜王との七番勝負を制することができれば、羽生さんは前人未踏の「永世七冠」という偉業を成し遂げることになります。
将棋界は「群雄割拠」の時代
将棋のプロ棋士は棋戦と呼ばれる公式戦の対局に参加して日々腕を競い合いますが、その棋戦の中でも特に重要視されているのがトップ棋士どうしが争うタイトル戦です。
将棋では長年「竜王」、「名人」、「王位」、「王座」、「棋王」、「王将」、「棋聖」の七大タイトルの時代が続いていましたが、ことしここに34年ぶりとなる新タイトル「叡王」が加わり八大タイトルとなっています。
たとえ1つでもタイトルの座につけばその時代を代表するトップ棋士の証しとなりますが、羽生善治さんは史上ただ一人、平成8年に当時の七大タイトルすべてを独占する七冠の偉業を達成しました。
以来、将棋界では羽生さんが常に多くのタイトルを保持し絶対王者として君臨し続けてきましたが、この1年ほどの間は新時代の到来を印象づけるタイトル戦が続いています。
将棋界で最も歴史の長い名人戦では去年、当時28歳の佐藤天彦さんが羽生さんから名人の座を奪い、ことし8月には羽生さんが6連覇中と好調だった王位戦で25歳の菅井竜也さんが平成生まれとして初めてタイトルの座につきました。
そして今月、羽生さんが通算24期にわたって獲得してきた王座戦で29歳の中村太地さんが勝利し、羽生さんが保持するタイトルは棋聖1つだけとなりました。
羽生さんの七冠独占から20年余りが経過し、新世代の若手棋士が台頭し始めた今、将棋界は群雄割拠とも言える時代を迎えています。