2010年08月30日

書道教育と脳のあの人

前回の記事のつづき
「日本筆記具工業界 書育 書く力は、育む力」

書道関連投稿文
に投稿してる

鈴木慶子氏(長崎大学教育学部教授)
の研究について。


これはブログで以前にご紹介しました。

鈴木慶子・川島隆太他
『人間の高次脳機能をはぐくむ手書き活動に関する調査研究』
『文字を「書く」ことの活動に関する科学的・実証的研究』

これですね。

書写・書道教育の迷走
で紹介してあります。

これは
科研の報告書です。
なので私は未読です。

さて。
鈴木氏と名前をつらねている

川島隆太氏は、ニンテンドーDSのソフト、

脳を鍛える大人のDSトレーニング

の人ですね。でもって、
これの続編

もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング

ではなんと、筆跡診断をとりいれてます。

漢字を使って、あなたの筆跡から性格を判断します。DS本体を机などに置いて書くと良いでしょう。

筆跡診断(筆跡学)は心理学の名をかたるニセ科学ですね。

あと、川島氏の脳関係の説には、批判もありますね。
wikipediaにまとまってます。

川島隆太―wikipedia

週刊朝日[2]は、久保田競(認知神経科学。京大霊長類研究所時代の川島の指導教官)による「(学習療法の効果を論じた川島論文は)不備な点や論理の飛躍が多く、科学的な根拠を示しているとはとても言えない」という指摘、前掲澤口による「20代の健常者を対象とした、そろばん計算などでは複雑な計算時の方が、より前頭前野の血流量が増えるという検証データもある」という指摘、東京都精神医学総合研究所・星詳子リサーチディレクターによる「単純に脳の血流量の増減だけで脳の機能を論じることは難しい」「前頭前野は習熟した行動には関与しなくなる傾向があるので、その場合は血流量の増加が認められなくなる」という指摘などを報じている


この週刊朝日については、wikipediaにリンクがしめしてあります。
大阪大のurlですね。

任天堂DS「脳トレ」に異論続出

ここから、大阪大学の藤田一郎氏の指摘を引用します。

「活性化とは、もともと脳科学では、脳が働く、活動するという意味です。(略)ただ企業側が非常に巧みなのか、『活性化』という言葉を使うことで、全体のメッセージとしては、さも脳のどこかの働きが良くなるという間違った印象を与えている。その点が非常に問題なのです」


で。書育の人。
「脳の活性化」をどういう意味でつかってますか?
だいじょうぶですか?
変なかんちがいしてませんか?

あと。

この朝日の記事ですが、川島氏のコメントものっていて。
そこに、

――ではホームページの内容には問題があると思いませんか。
 ざっと見た感じでは、うまいことつないでいるなとは思いますね。ただ、どちらかというとグレーだけど、ブラックじゃない。そこから先は民間の企業活動ですから口を出せません。その内容が整合されていないからといって、僕を非難するのは間違っていると思います。


という無責任な問答があります。

いや、川島氏はゲームの監修者でしょうが。しかもゲーム中でへんな似顔絵がでてきて、キャラ化までされてるんだから。
これで「僕の意見じゃない。企業の都合だ」みたいなこといわれても。素人には納得いきません。川島センセーが言ってるようにおもってしまいますよ。それは想定しなきゃ。
「僕を非難するのは間違ってる」なんてよく言えるよな。

えーと、
まあ。個人がどんな研究しようとかまいませんけど。

私は個人的には、
川島隆太氏と組んで研究したくないな。
研究内容が批判されたときに、
「脳科学の専門家じゃないなかのまき氏がいったことです。僕を非難するのは間違ってる」
とかいわれないかな。責任をおしつけられそう。

ともあれ。
川島氏は筆跡診断に接近しているのはあきらかです。

書道教育の専門家の鈴木恵子氏は、
そのへんについてはどうかんがえてるのかな。

「手書きの字をみればその人の性格がわかる」みたいな偏見を助長するニセ科学とは、書写・書道教育の人は、少なくとも距離をおいてほしいんですけどね。
できれば
「筆跡学・筆跡診断にはきをつけましょう」
くらいいってほしいんですが。
書字教育の専門家の口から。
posted by なかのまき at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセ科学;筆跡学
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/40453337
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック