鈴木医務技監、診療報酬大幅マイナスの可能性に言及
シンポジウムの様子(19日、仙台市内)
厚生労働省の鈴木康裕医務技監は19日、仙台市内で始まった日本慢性期医療学会の記念講演で、2018年度の診療報酬改定が大幅なマイナス改定になる可能性に言及した。年末にかけて本格化する予算案の編成過程で、社会保障費の自然増を抑制する上、医療以外の政策の財源をこの中から確保するよう求められかねないためだ。【兼松昭夫】
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18年度の社会保障関係費の自然増は、8月の概算要求時点で6300億円だったが、政府はこのうち1300億円程度を年末の予算案の編成過程で削減し、最終的に5000億円程度に抑える。このため、診療報酬と介護報酬の同時改定の財源をどれだけ確保できるかが焦点になる。
鈴木医務技監は講演で、「政治的に読めないが、5000億円の中に、例えば介護人材の待遇改善料を組み込めとか、保育の充実のための費用を組み込めという新しい指示があり、数百億、数千億円を使うことになると当然、診療報酬、介護報酬、障害報酬にしわ寄せが来て、大幅なマイナス改定になる」と話した。
ただ、診療報酬改定があった16年度には薬価・材料費の引き下げだけで1500億円規模を削減しており、鈴木医務技監は、「新しい指示」がなく、「うまくいけば、(本体)プラス改定の財源を確保できる」とも話した。
また、「景気が悪いから来年は医療サービスを3分の1にしてくれと言われ、本当にできるのかと言われたら、人の命を前にして絶対にできない」と述べ、確実な税収増を見込める消費増税に財源を頼らざるを得ないとの認識を示した。
■ある程度の病床集約化が不可避
記念講演は、医療・介護同時改定toward & beyondがテーマ。鈴木医務技監は、高齢化が本格化する25年をにらんで医療と介護を大きく見直すのに、18年度の同時改定が実質的に最後の機会になると改めて指摘した。
また、病床に占める医師・看護師の少なさを日本の医療の特徴に挙げ、将来的には病床のある程度の集約化が避けられないとの認識も示した。スタッフの手薄さが現場の業務負担を増やし、医療事故のリスクを高めかねないためで、今のままでは「絶対に持たない」と述べた。
同省保険局の迫井正深医療課長は、この日のシンポジウムで、「私の役割は、頂いた財源をまいていくこと。どのようなものをまこうとも花を咲かせていく」と述べた。
医療介護経営CBnewsマネジメント
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