VT、それは世界8000銘柄への投資
バンガード・トータルワールドストックETF【VT】はバンガード社の世界株式ETFです。FTSEグローバルオールキャップインデックスへの連動を目指しています。経費率は0.11%です。毎年のように下がっています。
ちなみにS&P500ETFのVOOは0.04%、米国トータルマーケットのVTIも0.04%、高配当VYMは0.08%です。比較するとやや高いですが、ほんの2,3年前は0.14%でしたから、毎年のように下がっています。
VTに限らず、これらの海外ETFの経費率(信託報酬)は年々下がっています。これは、信託報酬で儲けを出さなくても総資産規模が大きくなれば、貸株金利で利益が取れるからですね。そのため、バンガードやブラックロックなどの運用会社はしのぎを削って毎年信託報酬を下げてくれています。
さて、このVTの特徴はなんといっても、世界中の株式に投資ができる、というところにあります。大型株だけでなく、中型株、小型株も含むのでカバー率は約98%と言われます。実際には時価総額の比重などで50%以上が米国株投資になっています。
つまり、VTは簡単に言うと
「米国中心の世界株式ETF」
ということです。
かつては、円貨でこれだけ広範囲に、しかも信託報酬0.11%という安価で投資できる商品はありませんでした。しかし、楽天バンガードがこのVTを投資信託として出しています。税抜きで0.23%の信託報酬です。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドと言います。ちなみに、バンガードETFに0.12%を足したものが、楽天バンガードの商品の信託報酬になります。
このVTは特に日本人から人気がありますが、運用元のアメリカではSPYやVTIといったアメリカETFのほうが人気があり、運用額もそちらのほうがはるかに大きくなっています。SPYは20兆円、VTIは6兆円を超える資産規模です。
対するVTは7500億円程度であり、資産規模のランキングでも84位です。米国市場においてはあまり人気がないと言えるでしょう。米国人はあまり買っていないけれど、日本人には人気がある、そんなETFです。
バンガード・トータルワールドストックETF【VT】のチャートと配当
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※ヤフーUSから
2009年12月 株価43ドル 年間配当0.66ドル
2016年5月 株価58ドル 年間配当1.456ドル
2017年6月 株価70ドル 年間配当1.53ドル
VT【バンガード・トータルワールドストックETF】の利回りは以前は3%近くあり、高配当でした。しかし、このところの取引値上昇により2.1%まで落ちています。見ての通り、株価も配当も素晴らしい伸びを示しています。特に配当の伸びに目を奪われます。
歴史が比較的浅いので10年チャートではありません。リーマンショック後の2009年との比較ですので、そこは割り引いて考える必要があります。 リーマンショックが底値で2016年7月現在NYダウは最高値を更新しています。もっとも悪い時期と良い時期の比較になっています。そこは割り引いて考えたほうが良いでしょう。
バンガード・トータルワールドストックETF【VT】の構成銘柄
※以下画像バンガード社から
2016年
エクソンが4位につけています。意外に順位変動があります。
2017年
上位3社の顔触れは変わりません。しかし、エクソンが順位を落とし、ウェルズファーゴとAT&Tがベスト10から落ちています。いずれも他の銘柄に比べて株価上昇率が低かった銘柄です。
10位にNestleがランクインしたのは注目されてよいでしょう。Nestleは唯一のヨーロッパ、米国外の株です。
上位にはVTIなど米国ETFとさほど変わらない銘柄群が並びます。しかし、違うのはその比率ですね。上位10銘柄で8%~9%しかありません。世界分散投資であることをこの比率で裏付けています。トップ銘柄のアップルでも1%台です。
バンガード・トータルワールドストックETF【VT】の国別構成比率
2016年
英国の比率が1年で1割落ちているのが注目されます。ブレグジットの影響は無視できません。上げている印象の米国もわずかに比率を落としています。
2017年
実はほとんどの投資先はアメリカです。実に半分以上米国株投資です。これは世界の時価総額を反映させているからです。2位は日本です。このところ株価好調であり、わずかに比重を高めています。
そして、中国、韓国といった東アジアの国もランクインしています。投資先の時価総額を考えると、今後中国への投資は増えることはあっても減ることは無いでしょう。実際2016年からの比較でも割合を上げてきています。
バンガード・トータルワールドストックETF【VT】と雑感
バランスファンドのように、債券を組み入れているわけではない、株式ETFです。そのため、それらと比べるとボラティリティは高めです。分散しているとはいえ世界の株式市場の影響を受けて上下します。
先ほど申し上げたように投資方針には外れているのですが、私はVTを1万ドルだけ買っています。理由は、
「大勢の株ブロガーさんが持っているから」
というなんともいい加減な理由です。ただ、買った時期が良く、チャイナショック真っただ中でしたので、その後の世界株高の潮流に乗っています。同時期に買ったVTIと殆ど遜色ありません。
結果としてVTは実際持っているETFの中でも最も利が乗っているETFの1つになっています。ただ、基本的に投資方針から外れていますので、キャッシュが欲しくなった時に換金する可能性が高いETFではあります。追加購入は今のところ考えていません。
市場全体に投資するような性質のETFの場合、このようないい加減な理由でもなんとかなってしまうのが魅力ではないでしょうか。個別株ではできないことです。VTに限らず、ETFは時代に即した適切な銘柄の入れ替えがまた魅力だと私は思います。
産業構造の変化は時代の移ろいとともにあり、それは必然です。ETFは自動でその変化に対応してくれるという側面もあります。しかも信託報酬が安価ですから、素晴らしい商品だと言えます。
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経費率の改定がこのように毎年行われています。年々経費率は下がってきており、ますますETFの魅力が増しています。
このVTをつみたてNISAで直接買うことはできません。しかし、楽天バンガードが投信の形にして販売しています。VTを買いたいがドル転するのに抵抗あり、という方や、つみたてNISAで買いたい、という方には利用価値大だと思います。
楽天・バンガード・ファンドに関しての記事です。今後、S&P500連動のVOOなどが出てくれば、商品選択肢が増え、個人投資家の投資の主流になる可能性を秘めています。