chained / ジェニファー・リンチ
あらすじ
少年ティムが母親と一緒に乗ったタクシーは、あろうことか連続殺人犯の車だった!
あぁタクシーに乗った時点で早々に訪れる運の尽き。
しかし殺人鬼ボブの目的はレイプ殺人であるゆえに、ターゲットは女性のみ。
小便臭い小僧など、てんでお呼びではなかったのです。
つーか、意外と几帳面な殺人鬼、ルーティンから外れる行動(少年殺人)はいたしません。
だからといってさらってきたモンを解放するわけにもいかず、自分に母を殺されたその少年にラビットなどと命名し、鎖につないで自宅で扶養するのです・・・・。
■続き
感想
こ、こ、これは困った映画ですよ!
なんなの?
監禁もの?
連続殺人もの?
と思いきや、その主体は意図せず義親子ぽい人間関係を築いた2人の、すれ違い子育て(子育ち?)ドラマだったのです。
いや、そう思って見ていたのに、思わず「なんだと?」とコメカミに血管が浮き出るオチがあるにはあるんですけど・・・。
ともかく、なにが面白いって、殺人鬼のお宅の奇妙な生活感!
殺人自体生活の一部と化しているから、血糊の後始末も死体の処理も、毎日の掃除も同じテンションとしか思えません。
大事なことなのでもっかい言うけど、殺人が特別イベントに見えないんです。
あくまでも、仕事して、殺して、食事して、お片づけして、掘ったり埋めたりして、寝る、というルーティン。
お部屋は彩度低めながら妙に片付いているし、被害者のデータはきちんとラビットにファイル化させて、殺人鬼の病んだ几帳面さが滲み出る。
そして、監禁生活も早や9年という時に、すっかり青年になったラビットに「お前は勉強しなくちゃいけない。本を読め。」とか言い出すボブ。
まぁそこは教育と実益を兼ねて、ボブんちにある本で、ラビットは人体について学ばされます。
どうやらボブは養父として、ラビットをどこへ出しても恥ずかしくないちゃんとした殺人鬼として、育て上げたくなったらしい・・・。
だがしかし、ラビットはボブに服従しているようでいて、心底洗脳されたわけではございません。
殺人鬼として世に出ることを、心の中で断固として拒否しています。
一方ボブは、一見ラビットを力づくで支配しているようでいて、ホットな父性愛のごときものを見せていて、ラビット用の椅子をプレゼントしたりする。
この2人の温度差が、やたらじわじわ来るんですよね・・・。
そして、ボブとラビットの9年の情が、昨日今日さらってきた小娘にぶちこわされ、ついに終わりを迎えるのですが、不覚にもアタイはボブの報われなさに、ちょっと涙したかもです。
いや、アタイ間違ってる、間違ってるのはわかるんですけど、だってボブのキャラが可愛いんですよ!
ビンセント・ドノフリオさん最高です。
もちろんお絵かきしたように、エイモン・ファーレンも最高でした。
やせた体、長い手足にダボダボだったりピチピチだったりのサイズの合わない服をまとい、背中をまるめたスタイルは、男の子の監禁ものスタイルとして、テンプレ化したらいいんじゃない?
いや面白かったです。
結論として、今後どんなにハデに滑ったり転んだりしたとしても私は娘リンチ監督について行こうと思います!
確かに今酒入ってるけど、たぶんシラフでも後悔しない。
「チェインド 」データ
- chained (2012年)カナダ
監督
- ジェニファー・リンチ
出演
- ビンセント・ドノフリオ(ボブ)
- エイモン・ファーレン(青年のラビット=ティム)
- コナー・レスリー
- エバン・バード(少年ののラビット=ティム)
- ジェイク・ウェバー
- ジュリア・オーモンド
- ジーナ・フィリップス(マリエ)