10月2日から8日までカナダのモントリオールで開催された第47回世界体操競技選手権大会で、日本チームは金メダル3つと銀メダル1つを獲得した。男子個人総合で前人未踏の7連覇を目指した内村航平(敬称略、以下同じ)は初日の2日に行われた予選の2種目目の跳馬で左足首を負傷し、4種目目の鉄棒以降の種目を棄権したため、残念ながら7連覇達成はならなかった。しかし、内村の負傷に奮起した日本チームは、白井健三が男子個人総合で3位、種目別の床と跳馬で1位となり、村上茉愛(まい)が女子個人総合で4位入賞、種目別の床で1位となるなど大いに健闘した。特に村上茉愛の床1位は1954年のローマ大会で池田敬子が種目別平均台で優勝して以来63年ぶりの快挙だった。
今回の大会で中国チームは、男子が個人総合の1位と2位、種目別のあん馬で3位、つり輪で3位、平行棒で1位、女子が種目別の段違い平行棒で1位の成績を上げ、合計で金メダル3つ、銀メダル1つ、同メダル2つを獲得した。国別メダル獲得数では中国が6個(金3:銀1:銅2)で1位、日本が4個(金3:銀1)で2位、ロシアが6個(金1:銀3:銅2)で3位、米国が5個(金1:銀3:銅1)で4位だった。
黒縁メガネの愛らしい金メダリスト
米国が獲得した金メダルは1つだったが、これは女子個人総合で16歳のモーガン・ハード(Morgan Hurd)が55.232の得点を上げて優勝したことによるものであり、米国に女子個人総合で5大会連続の金メダルをもたらしたのだった。ちなみに、予選をトップ通過し、個人総合で4位になった村上茉愛の得点は54.699で、モーガン・ハードとの差は0.533だった。村上茉愛は3種目目の平均台で落下して大きく減点されて得点が伸びなかったもので、「たられば」の話は無意味だが、落下さえなければ、村上茉愛がモーガン・ハードを抑えて1位となっていた可能性は高い。それはさておき、身長4フィート5インチ(135cm)、体重85ポンド(38.6kg)の小柄な身体に闘志を秘め、体操選手としては珍しく黒縁のメガネを掛けて演技するモーガン・ハートには何か憎めない可愛らしさがあった。