やっと最高裁がしっかりと言ってくれた。

ヘイトスピーチ賠償確定 朝鮮学校「日本の良心に感謝」

本当によかった。
きっと、朝鮮学校に通う多くの子供たちも、その親御さん達もつらい思いをし続けたことだろう。この最高裁の判決を、数は少なくとも、いまだ日本にいる差別主義者たちはしっかりと守ってほしい、と切に願う。

筆者は2010年に3人の子供を連れて、NYへ赴任した。
筆者の子供たちは英語の勉強にもなると現地校(現地のアメリカ人たちが通う小学校や幼稚園)に通わせたが、言葉の壁を考え、日本人学校に子供を通わせているご家族も少なくなかった。

NYは人種のるつぼだ。

そこにいるのは「人間」であり、「どこの国の人か?」なんて、正直、誰も気にしていない。「背が高いですね」レベルの話のネタにはなるが、それと人間の優劣や偏見なんてものはほとんど存在しなかった。我が子たちがすんなり受け入れてもらえて、現地の子供たちが逆に「日本語を教えてくれ!」と言って子供たちに話しかけている姿を見て、心から嬉しく思ったものだった。

しかし、アメリカでもテキサスやオクラホマなど、中南部と呼ばれる場所に行ったとき、筆者も心無い言葉を投げかけられたことがある。起きた事件の取材に行ったのだが、
「アジアのモンキーが!消えろ!」
と怒鳴られたこともあった。ま、日本でも「このマスゴミが!」と言われることもよくあったので全然気にもならなかったが、どこの国にも差別をする連中はいる。

大人に対してそういう情けない発言をするのは、まだ理解できなくもない。と、言うのも、「差別とは弱いからするもの」だ、という真実を、多くの大人は理解しているからだ。

自分にコンプレックスがあって
自分に自信がなくて
自分が社会から認めてもらえなくて
それでも、そんな情けない自分を少しでも「俺は弱くないんだ!」と叫びたくて

必死に批判する相手を探してる。イライラをぶつける相手を探してる。でも、みんな自分よりも正しく生きてるし立派に生きてる。
そうなると、「生まれた地域」で差別するしかない。「国籍」で差別するしかない。それしか罵倒する手段がないのだ。

大人になるとよく分かる。必死になって罵倒している連中はただの弱虫だということが。そして、その発言や行動がどれだけ情けないことなのかが。

でも、朝鮮学校に通う子供たちは、まだ小学生や中学生だった。

自分たちがなんで罵倒されているのか、なんで非難されているのか、分からないまま悲しい思いをし、何が何だかわからないまま、恐怖を感じていたことだろう。

今回の最高裁の判決を全面的に支持するだけでなく、多くの朝鮮学校に関係する子供たちや親御さんたちに、日本人全体の気持ちを伝えたい。

皆さんは同じ日本の国で生まれた仲間だ。
自分は朝鮮人なのか?
自分は日本人なのか?
きっと悩んでると思う。こういう立場の人はみんな思うのだと思う。我が家の一番下の娘は人生の半分がNYだ。アメリカでは「日本人」とみられ、日本では「アメリカ帰り?」とみられる。きっとみんなそうなんだと思う。

でも皆さんは日本のテレビ見てるのだと思う。
日本の新聞読んでるのだと思う。

そういう人たちのことを、昔から日本では「同じ釜の飯を食った仲間」と表現する。何人でもいいので、これからも仲間として歩んでいこう。
少数の「弱い人間たち」はどこにでもいる。社会に出てからも日本でもアメリカでもきっと韓国でも北朝鮮でも中国でもいる。そんな情けない連中がいることを学べたことは将来に対して悪いこととも言い切れないと思う。

ヘイトスピーチはなくならないと思う。
弱い人間は必ずいるからだ。

でも気にしないで行こう。日本では法が守ってくれると分かった。これからのすべての判決は今回の最高裁の判断を参考にされていく。きっともう大丈夫だ。全部訴えてやれ!

今回の最高裁の判断が、多くの子供たちの未来に明るい光を照らしてくれることを心から願う。