僕のメルマガにご質問をいただきました。



Q,最近のブログの中で一番衝撃を受けたのが長谷川さんの「日本の景気は絶対に回復しません」というブログでした。いつもなんだか分かったような分からなかったような気がしていた日本の状況がとてもすんなりと理解できました。長谷川さんの日本経済の話、もう少し聞きたいです。前回あまり触れなかった『人口ボーナス』や『人口オーナス』も、もう少し教えてほしいです。
(シゲハルさん)



はい。
ありがとうございます。確かにあの回のブログ、かなり反響がありました。
と言っても、みんなうすうす気づいている程度の話で、僕自身は何度も朝の番組で少子化問題を取材したり女性の社会進出や子育てにまつわる特集を組んできたので、いろいろと取材した中で知ってきた知識ですが、なんだかんだ難しいこと言っても、結論の部分は皆さん、実はわかってるんですよね。なので、僕ははっきり言ったわけですね。

今の日本じゃ無理ですよ

って。誰がやっても、日本の景気なんてしばらく悪くしかなりませんよって。安倍政権のせいにするんじゃなくて、民主党政権も含めて、今まで70年の戦後の政権運営が「世界的にみると」完全に間違ってただけで、しかもそれを是正するマスコミもいなかったし、そんな政権を選び続けてきたのも日本人なわけだから、これからの日本の景気状況はあと最低でも20年以上は良くなりませんよって。そんな普通のことを言ったまでです。

「人口ボーナス」と「人口ーオーナス」ってね…

働く人たちがいるでしょ?専門的な話を言いますと「主婦」の皆さんも「労働人口」に入るんですけど…ちょっと違和感あるかもしれないですが、主婦の人たちが支えてくれるから、旦那さん、しっかり働けているわけですね。なので、その主婦は「経済活動」に従事(間接的に)している立場になるんで、主婦の皆さんも「労働人口」なんですけど、その「労働人口」と…
全く働かない人たちいるでしょ?今の70歳、80歳で、日本の高度経済成長時代に働きまくってた人たちで、終身雇用制で、会社勤めをしてきて、年金はもらうわ、病院に行っても大してお金払わないわ…って…まぁ僕たちも未来にそうなるんだけど。そういう人たち、残酷なこと言いますけど…

なーんにも生み出してないわけ(←これはちょっと言い過ぎ)。

そういう人たち=働かないし、何にも生み出していないし、金ばっかかかりますよって世代ね。こういう人たちを「非労働人口」って言います。この

「労働人口」と「非労働人口」の「割合(比率)」が生み出す社会現象

を「人口ボーナス」と「人口オーナス」って言います。で、日本って、その比率と割合が、先進諸国の中では絶望的にダメダメな数字なんです(ま、韓国はもっとひどいけど)。こんな状況では本当にどうしようもないっていうレベルだったりするんです。

よく「景気が~」って言葉と「経済状況が~」っていう言葉をごっちゃにして使う人もいるんですけど、根本的にそれはちょっと違ってて、日本ってね

経済は…ひょっとしたら成長してるんじゃないかなぁ?いや、分からないけれど、そこまでダメな数字じゃないはずなんです。ここを分かってない人、結構いるんだけれど、でもね、それ以上に引かれる金額が増えすぎているんですよね。

これが「人口オーナス」状態の国家の姿です。頑張っても頑張っても、しょっぴっかれていくんです。逆に高度成長時代の日本は、頑張ったら頑張った分以上に、「増えていく気がする」状況だったわけですね。「ボーナス」状態ですね。

人口の年代別構成比が常識の範囲だと(要は働いてる若者と、子供やおじいちゃん・おばあちゃんの数の割合が普通なら)、お金って頑張ったら増えて、頑張らなかったら減るんです。
で、戦後の日本みたいな状況だと、頑張ったらそれ以上に増えるような状況になるんです。だってほとんど取られないから。
今の日本はね、70年かけてダメすぎる状況になっているので、頑張っても成長しても、取られる方があまりにも急激に大きくなっていくので、「頑張っても減っていっちゃうくらいダメなところ」まで来ているんです。

みんなの手元に残るお金、「可処分所得(かしょぶんしょとく)」って言います。一番大事なのはこの可処分所得です。結構難しい言葉ですけど覚えといてください。皆さんが一番注意しなきゃいけないのは「じーでぃーぴー」だとか「ジッシツケイザイがどーの」とかより、ずっとこっちの方が大事です。

今、一番お金を使う「子育て世代」といわれる年代。お金、ものすごい勢いで引かれるでしょ?皆さんの保険料、こないだ値上げしたばっかでしょ?昔は携帯なんて誰も持ってなかったのに、今やスマホがなかったら仕事にならないでしょ?テレビだけじゃなくて、家の中でWi-Fiも飛ばさないといけないでしょ?学校でもなんだかんだで集金されてるの人、塾にもお金かかるでしょ?家庭教師なんてもっとかかるでしょ?
で、社会人になったら、働いてるのに、先代の、定年退職した人たちの企業年金を支払うためにアホみたいな金額徴収されてるでしょ?フジでもとんでもない金額引かれてたなー。企業年金、高すぎる気がする。

「年収」って言われる「額面(がくめん)」と、「実際に使えるお金」の金額が違いすぎるんですよね。若い日本人って、ちゃんと頑張ってるんです。日本全体ではひょっとしたら成長もしてると思います。なのに、特に若い世代の「可処分所得」は減り続けているんです。実はもう10年以上減り続けてて、この10年で年間100万円以上減ってるんですけど…10年で100万円使えなくなってんのよ?めちゃめちゃでしょ?若者にとっちゃあ。

労働人口は所詮限られているんです。
こないだもテレビで一緒だった勝間和代さんとかが「女性が働けば、その分、単純にGDPは増えるんですぅ!」とか言ってるんですけど、そんな簡単な問題じゃないんですよね。専業主婦は十分にGDPに貢献していますから。専業主婦ってだけで見下すの、ホントやめた方がいいです。僕なんて、嫁さんがいなかったら、全く安心して働けていないからね。稼ぎなんて、全然今ほど出来ません。そんな単純計算できるような話じゃないんです。僕の稼いでるお金は「僕」と、我が家の専業主婦である「嫁さん」とで稼いでるお金なんです。我が家には労働人口はちゃんと二人います。
「女性が社会に出られれば上向くんです~」
って簡単な話でもなかったりするんですよね。社会進出は悪くないけどね。それなのに、非労働人口ばかり、ここまでの勢いで増え続けられると、対処なんてできないんです。

フランスでは昔、このままじゃあ「オーナス状態になってしまう!」って大騒ぎになった時期があるんですよね。この時に、フランスがとった施策はいろいろあるんですけど、結論から言うと、日本人に同様の対策は無理だと思います。日本の文化には合ってないと思う。日本人って、知らないうちに洗脳されまくってるから。要は、フランスって、「少子化対策」もしてるんですけど、どっちかって言うと「家族対策」の方を充実させたんですよね。ま、別の機会に書きますわ。

なので、だれが政権を担っても景気は上向きませんよって話をしたわけです。本来はそんなもん、与党も野党もなしで議論して、ちゃんと政策を打ち立てて、50年とか100年単位でなんとかしないと国自体が沈没するレベルの話なのに、今の国会議員達は自分たちが偉い人間であることが大好きで気持ちいい人たちなので、彼らの第一優先課題は…

次の選挙にも当選すること

なんです。だとしたら簡単です。ジーさんバーさんを喜ばしときゃいいんです。だって、他になーんもすることない人たちだから投票にだけは行ってくれるし。その人らにお金ばらまいときゃ、次の4年間も「先生、先生!」って呼んでもらえるってスンポーです。
若造どもに手厚くなんてしても、当選できるわけないんです。
お金のパイってのは決まってるんです。若造どもにばらまくためには、ジーさんバーさんからお金を巻き上げないとダメなんです。そうすると、どーせマスコミが視聴率稼ぎのために言うに決まってんでしょ?

「高齢者いじめだ!」
「老後がますます真っ暗に!」

ジーさんたち、激怒でしょ。間違いなく対立候補に投票するでしょ?人口は老人の方が圧倒的に多いんだからそんな政策を打ったら選挙で勝てるわけない。これもオーナス状態の国の弊害の一つです。ジジーババー中心の世界になるんです。だって、民主主義だし。民主主義の基本は「多数決」ですから。



今回の選挙、とんでもない最低投票率になるらしいですけど、分かる気がします。そもそも、なんで選挙やってんのか、それを理解できない人がほとんどなんだから。

もうね、どーせ与党が勝つんでしょ?もーいいから、とっとと選挙なんて終えて、ちゃんと「オーナス化対策」をしてほしい。「少子化対策」じゃなくて、「高齢化対策」じゃなくて、今の日本に求められているのは「人口オーナス化」対策です。ホント、これに尽きると僕は思います。

とか言いながら、昨日の報ステとか見てると、結構面白かったですけどね。うわ~安倍さん、しゃべるの、いつの間にかめっちゃうまくなってる~とか。