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古竹領前の先遣隊本陣では部隊再編が行われ、 準備が進められた。 初めての重責のせいか尚芳は心配して、 「古竹も警戒して、こちらの動きも伝わって おるやもしれんな。であれば尚更早めた方が良いだろう」 と焦りを示すが、 (大膳様お気に入りの部下と思えない慎重さだな。 あるいは、部下であればこそ、欠けた面が わかるということか・・・・) 正道は落ち着いた調子で、 「敵領内偵察は無論、この近隣も警戒させ、 不審な者は取り調べ、逆らう者は直ちに 斬り捨てるよう命じてござる」 正道は峰口から常に先手を打つようにと忠告されて いるため、警戒はしているつもりだが、 やはり責任ある身として不安は拭えない。 「なれど、敵の警戒もあって当然、 覚悟は必要かと存ずる」 と、自分に言い聞かせるように答え、 「覚悟・・・・うむ、そうだな・・・・覚悟はせねばならぬ」 尚芳もまた自分に言い聞かせるように同意した。 「部隊準備整いました」 尚芳の家来、森成次郎が報告し、 各部将も決められた。 大隊各三百人 一番隊・高木十蔵尚芳(坂原家臣) 二番隊・直井源三郎 (坂原) 三番隊・武宮平助吉頼(淀橋) 四番隊・梁田正左衛門(高木) 中隊各五十人 一番隊・森成次郎豊英(高木) 二番隊・山内弥二郎 (直井) 三番隊・北原茂三盛道(淀橋) 遊軍二百人・淀橋太郎正道 当初、先遣隊は坂原の家臣達だけの予定だったが、 強気一辺倒を峰口が危惧して、峰口家臣も 義正をして加えた結果、大隊と中隊の部将も 坂原峰口の家臣双方の分担となった。正道始め 峰口の家臣達はその差配を理解しているが、 尚芳達が納得しているかはわからない。 「よし、出発しよう」 尚芳から古竹領進攻の下知が下った。 近隣に詳しい者を案内役に、ごく僅かな 松明の明かりを行軍での印として、 四番大隊を先頭に進んだ。 幸いに月夜であるため、しばらく先まで 見通しが利く。 目立つ幟旗は立てず、兵も背に旗は差していない。 代わりに将兵全員は識別用に、両腕と背中に白い布を 着けている。 古竹領内に入ると各中隊は迂回しながら、 東西に位置する山の中腹や、高い山を背にした 峰にある各狼煙台を目指した。 山に入るとせっかくの月夜も木々に邪魔されて、 ほとんど見通しが利かずに手探りのような状態で、 小隊の弥助達もこの中にあって、 息も荒く上って行った。 豊地方の寺の陣所からここまで一里以上はあったか、 更に遠回りに山を上がるとなれば当然疲れる。 「もう疲れちゃったよ」 弥助配下の兵も小声でぼやく。 「今疲れてどうすんだよ、これから暴れるんだで」 弥助が聞いて叱るが、汗は額から流れ落ち、 息は荒い。 細い山道を上がるが、縦に行儀よく並んだまま 進むわけには行かない。途中で山道を外れて横に進み、 囲むように上がって行く。地に生える雑草どころ ではない茂みをかき分け進むために、時に行く手を 阻まれ、ガサガサと音も目立つ。そのため道を逸れた 兵達はゆっくりと上がって行く。 「いって!」 「なんだよ」 「手に枝刺さった、くそ」 邪魔な茂みをかき分け進んで、ようやく明るい 狼煙台が見えた。そこには敵兵が数人、 ある者は焚き火を前に座り、 ある者は槍を片手に立って遠くを窺っている。 弥助達はギリギリまで近づき、そろそろいいだろうと 止まって後ろに手で制止した。 それまでのゆっくりした前進が良かったのか、 疲れもいくらか和らぎ、勢いよく前へ飛び出したが、 やはり足場は悪く、山道から駆け出した部隊の方が 早かった。槍を持って立ち向かおうとした敵兵は、 攻め手が多勢と知ると慌てて逃げ出したが、 大方を囲まれていたため、数人はたちまち 一方的に討ち取られた。 各中隊は狼煙台に小隊十人だけ残すと、平地で 警戒中の遊軍に合流し、三大隊も三ヶ所の砦を襲い、 逃げ出した者は追撃して、更に逃げた者も、 平地で警戒中の遊軍によって捕らえられ、 あるいは討ち取られた。 その後、各大隊も砦に一中隊だけ残すと山を降り、 大隊四部隊が合流した尚芳の部隊九百を前方、 中隊と合流した正道の遊軍二百九十が後方の二部隊と なって、北側の支城を遠巻きにして警戒態勢に入り、 早馬が北部攻略完了を豊地勢に伝えに走った頃には、 東の空はそろそろ明るくなっていた。 「まさに作戦通りだな。あとは本軍を待つばかりだ」 集まった二番隊部将の直井源三郎、 三番隊部将の武宮平助、四番隊の梁田正左衛門を前に、 尚芳は機嫌も良くつぶやいた。 「こちらは千二百程度で、支城は数百あるかどうかと いうところだろう。やはり互いに少勢では手が出せんな。 まあ、支城は相手にするなと厳命されているが、 向こうが出て来たら迎え撃とう」 源三郎は不審そうに、 「・・・・敵が寄せた場合は退却だったのでは? 少勢ならば良いと?」 「うむ、こちらから仕掛けることはない。 さすがにこの数で城攻めは無茶だな。 敵本城が来た場合はさっさと退却だ。 支城だけ来るなら相手してやる」 平助も気にして、 「我らが支城とやり合えば、敵は本城にも知らせて、 我らを迎え撃とうと全軍を繰り出すやもしれぬ。 そうなると、戦を中断して退却する必要が出て来る。 これは我らに不利ではござらんか」 一方的に戦をやめて無事に引き返すなど、 敵が認めるわけがない。しかもここは敵領内であり、 少勢に遠慮はない。断固追い払おうと迎撃し 追撃するだろう。被害確実な殿軍が必要な事態は 避けたい。 平助は正道と同じく峰口の家臣であり、 坂原家臣の尚芳と源三郎と正左衛門に対して、 場違いな感は否めない。また、坂原家臣達にして みれば、部将配置は峰口一派が干渉した結果と 悪く取れることでもある。 先遣隊を任されたのは尚芳である。平助は大隊部将 として三対一となりかねない現場での疎外を危惧 していた。しかし、一大隊を任されたとなれば、 中隊が言いたいことも代弁すべき立場である。 杓子定規と思いつつも平助は、 「我らの目的は北部拠点の攻略であり、敵勢が反撃に 出た場合は即刻退却するように命じられており申す。 今や兵も疲れておる故、休息も兼ねてこのまま本軍を 待ち、支城から少勢が来る場合も、やはり速やかに 退却が無難と存ずる」 尚芳は不満げな表情だったが、遊軍から伝令が来た。 「遊軍より申し上げます、現在、各方面に農民を 送り出し、支城周辺他前方を警戒しており、 その報告を待って判断されるように、とのことです」 農民とは忍びのことで、部隊前方の様子を伺い、 敵の動きがあればすぐ知らせるので、直ちに 退却するように、という意味になる。 指図は遊軍を率いる正道であることは言うを待たない。 目の前の平助に言われ、直後に正道からの伝令で 念押しされると尚芳は苦笑して、 「さすが左京様の家臣だ、手堅いな」 と褒めているような、皮肉のような言葉をつぶやいた。 狼煙台に残った一小隊に弥助達がいた。 弥助は遠く豊地勢がいるだろう平地を見渡して、 「なんで俺らなんだよ。 こんなとこでボケーっとしたかねえよ」 と不満をもらした。 他の家来達は焚き火を囲って座っている。 弥助の家来三人は若い足軽だが、残る七人は、 同年代や、少し年配らしい雑兵である。 とはいえ大差は無い。弥助は下級家臣で俸禄は少ないが、 それに見合って三人を雇っている。贅沢は出来ないが 六蔵のように借金までは無い。 雑兵の一人、完三がぼやく。 「頭、こんだけ歩って来て敵兵もやっつけりゃ 文句ねえでしょ。このあとも無理して走って 心の臓止めたくねえし、討ち死にはしたくねえし」 完三に限らず、銭で臨時に雇われた彼らに、 大きな野望などは無い。稼げれば悪い気は無いが、 それも程度があり、命あっての物種である。 偉い武士の欲に付き合わされて傍迷惑 といったところだろう。 「そりゃ将来展望の違いだでよ。 俺は成り上がりてぇんだで。地味〜に 野良仕事なんてめんどくさくていけねえよ」 弥助は苦い顔で反論した。 弥助の家来、平太郎も同意して、 「俺ら農家の次男や三男は邪魔だかんな。 戦で稼げるならそれでいいし、 出世出来たらもっといいな」 「そりゃそうだよ。貧乏はつまんねえよ。 そのまま死ぬんじゃもっとつまんねえよ」 同じく家来の源太がぼやいた。 弥助は我が意を得たりとうなずき、口を曲げつつ、 「戦は死ななきゃ面白えからな。手柄立てて 成り上がりゃぁ最高だいね。おめえらだって そう思うだろ?」 と、足軽二人の隣に座った。 「・・・・いや、俺は近所の農民だから、 戦は無ぇ方がいいなあ」 「まあ、俺は、儲かるならいいかなと思うけどね・・・・」 二人はさっきまで敵兵である。 二人は弥助達に襲われ、逃げ切れないと悟ったのか、 すぐ槍を捨てて、 「参った!」 と膝を着いて降参の姿勢を見せたため、 弥助が家来達に手で制止して無事に済んだ。 兵と弥助互いのとっさの判断が無ければ、 他の者同様に殺し殺されて終わったろう。 戦があれば、そこでの遺体が身に付けた物や 敵が残した物などが銭になり、 城からの日当以外の収入になる。 戦は稼ぎの場でもある。何よりも、 普段は口にできない米の飯が日に二度出て 腹一杯食える。普段は稗や粟やせいぜい麦で、 粥もザラな程度が、戦があれば充分に食える。 戦様々だった。 しかし、運が悪ければ敵兵に襲われ、巻き込まれて 討ち死にである。良ければ攻め立て、 分が悪ければ逃げるが勝ちである。 まだ年若い二人は居心地の悪さを感じつつも、 弥助が家来の一員のように応じて、弥助達 豊地勢の兵と焚き火を囲んで一息ついている。 足軽雑兵といえば領主に従う農民であるから、 根掘り葉掘り聞くまでもない。 少なくともここでは決着がついたように思えて、 皆幾分落ち着いていた。 弥助達は陣所から出て歩き詰めであり、 ひとまず緊張も解けて腹も減った。 その前に水であるが、 「おまえら、水はあるか?」 弥助が聞くと、 「水はもう無くなっちまったよ」 手持ちの竹水筒を振って見せたり、 多くは既に無いという。 「まだ戦は終わってねえのに、早えよ」 弥助がぼやくと、 「水なら・・・・」 元敵兵の二人が答え、一同が注目した。 「狼煙台はずっといなきゃなんねえから、 水は少し置いてあるよ」 一人が立ち上がり、柱で組んだ狼煙台の下から 大きめの瓢箪や竹水筒を持って来た。 おお、と兵達が軽く歓声を上げ、 「ありがてぇ、ぜひ分けてくれろ」 と、各々が自分の竹水筒を差し出し、 元敵兵が瓢箪から兵達に水を分けた。 弥助は笑顔で、 「にいさん、わりぃね。敵兵に助けられるってのは、 ありがてえやら気まずいやらだが・・・・ 二人は飯食ったんか?」 「ゆうべ握り飯を少しだけ、な」 敵兵二人は互いにうなずいた。 「そうか、じゃあ、おめえらも同じだな」 と言うと、弥助は背負っていた布包を解くと、 竹の葉の包みを開けて、四つの大きな握り飯を 差し出し、 「一人一個な。食いねぇ」 と、二人に勧めた。 二人は笑顔で、 「ありがとうごぜえます、助かります」 と、それぞれ手にして頬張った。 ゆうべの陣所での炊き出しで食っておいたとはいえ、 もう明け方で、歩きっ放しで疲れて空きっ腹に なっている上に、緊張も解けたせいか、 米の飯は腹に沁みる美味さになる。 が、雑兵二人はボソっと、 「あの、俺、もらってねぇです・・・・」 「俺も・・・・」 「陣所でもらわなかったのか?」 「食ったけど、弁当は考えてなくて、 旗片付けてるうちに出発ってんで・・・・」 弥助は頬張ったまま困惑の顔で、 無言で残り一個を差し出し、 家来の平太郎、源太、草太の三人がしっかり 握り飯を二つ三つとあるのを知ると、 「おめえらも少しは分けろよ」 と文句を言った。 三人も渋々雑兵二人に差し出した。 雑兵達は、 「すんません・・・・」 と言いつつも笑顔になった。 一方豊地城では、深夜に援軍八千が出発していた。 指揮を執ったのは坂原大膳。 近習に声をかけられ、眠りから覚めた左兵衛達は驚いた。 「なに? 援軍が出発したと!? わしらはまだここにおるぞ!」 左兵衛達は慌てて立ち上がり、部屋を出ようとすると、 峰口が入ってきた。 「おや、お目覚めですか皆様。ちょうどよかった、 一刻(いっとき・二時間 )程過ぎて、 我らも準備万端整いました。そろそろ参りましょうか」 「本丸様は!?」 「別室にて仕度されておられますが」 左兵衛達は急いで惟定のいる別室へ向かうと、 惟定は小姓二人に鎧を着けられている。 惟定を見て安堵の顔を見せた左兵衛に峰口は、 「左兵衛様、我ら豊地勢は人さらいでも 人食いでもござりません。本丸様には、しっかり 分別を持って御当主様として接しております。 御安心あれ」 左兵衛は疑心を峰口に見透かされたことに 気まずさもあったが、援軍を勝手に引き連れて 行かれたことに腹を立てて、 「左京、援軍は我ら神保方が引き連れて来た ものであるぞ、それを我らが寝ている隙に 連れ出すなど、騙し討ちにも取れるぞ!」 泥棒などと露骨な言い方はさすがに控えたが、 左兵衛は遠慮なく怒りを示した。 峰口は何でもないかのような笑みで、 「いえいえ、予定通りに出発したまでです。 左兵衛様御一行に何もかも頼るつもりは ございません。軍勢はあくまでも豊地勢が 責任を負わねばなりません。 此度の戦、本丸様のみならず、左兵衛様にも 気を楽にして御観戦頂きますよう。ともあれ、 我が殿も外で待っております故、参りましょう」 峰口は一行を外へと促し、先導して二の丸屋敷から 三の丸を過ぎると、門前の一郭では、無数の 幟旗をはためかせた軍勢が揃い、そこに馬上で 鎧(あぶみ)を外した義正や坂原がいた。 様々な柄や紋が描かれた幟は、どれも義正など 豊地勢の武将達のもので、豊地勢出陣組の 六百人である。 「左兵衛殿、準備はよろしいか。いよいよ参りますぞ」 義正が声をかけると、峰口が惟定に傍の輿に促し、 輿は兵達に担がれた。 左兵衛は色を作(な)して 「兵部殿、神保勢を勝手に引き連れては困りますぞ。 援軍は我ら神保勢・・・・」 と抗議したが、義正は笑顔でなだめるように遮って、 「まあまあ、左兵衛殿、此度の戦は我ら豊地勢が 取り仕切ることはお伝えしたはず。神保勢といっても 諸城の協力あってのもの、援軍は援軍、本丸様始め 左兵衛殿もゆっくり観戦されればよろしい。 城も我らの城なれば、我らが守るが道理、 あまり首を突っ込まれては困りますぞ。いざ!」 義正は兵達に声をかけると、惟定の輿を担ぎ、 義正は輿の前方、峰口は後方、両側も豊地勢の 武将達で、軍勢は門を出ようと前進した。 (してやったりか、兵部・・・・) 左兵衛は歯噛みしたが、その場に残るわけにも 行かず、随行の宗善や家臣達と用意された 自分達の馬に乗り、後をついて行った。 行軍途中、先遣隊の早馬が義正に駆けつけ、 馬上から知らせた。 「申し上げます、先遣隊は、予定の北部攻略を完了、 本軍の到着を待つべく、警戒、待機中!」 「よし、御苦労!」 早馬はまたせわしく駆けて行った。 義正は笑顔で、 「勝ち戦ほど楽しいものはござらん。本丸様にも 味わって頂こうではないか。なあ、左兵衛殿」 と笑った。 「・・・・」 隣で同じく馬上の左兵衛は、 何も言えなかった。
by huttonde
| 2017-10-19 12:35
| 漫画ねた
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