【コラム】韓国を窮地に追い込む「戦争を心配するふり」

 米国を北朝鮮の核の完全除去に集中させるためには、韓国は「戦争が起きても、北朝鮮が核を放棄するまで圧力を加えるべきだ」との姿勢を示す必要がある。米国に「友人があれほど差し迫っているのに、自分たちのことばかり考えてはいられないのではないか」と思わせなければ、核除去にハンドルを切らないのではないか。北朝鮮もその程度まで行かなければ、「これ以上やれば危険だ」と考え始めるはずだ。現在米国は「戦争の危険性を高めてはならない」という韓国政府の姿勢を見て、「交渉面で役に立たない」と思うかもしれない。交渉力を低下させるだけの意見だからだ。それを根拠に米国は「現状凍結」に合意し、「韓国が望む通りに戦争はしなかったのだから、北朝鮮への支援費用は韓国が全て持て」と言ってくる可能性もある。

 リベラル・左派の一部は「このまま戦争が起きたらどうするのか。国民の安全のために戦争を起こしてはならない」と話す。私はその言葉から真剣さを全く感じない。むしろ、自分たちの望む方向に進むために「戦争を心配するふり」をしている勢力が多いと考えている。無論専門家も「緊張が高まる過程で偶発的、局地的な衝突はあり得る」と指摘する。しかし、ソウルなど人口集中地域を攻撃することは自滅行為であり、今後50年以上の権力掌握を夢見る金正恩(キム・ジョンウン)がそんな選択をするとは思えない。左派自らも「北朝鮮は戦争が起きた瞬間に滅ぶことを知っているため、絶対に戦争はしない」と言っているではないか。いずれ国全体で「戦争をすべきかどうか」を議論する時が来るかもしれない。しかし、現在は「戦争は駄目だ」と必要以上に戦争懸念をあおることの方を心配すべきだ。

権大烈(クォン・デヨル)政治部長
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