むしろ外交・安全保障担当の国政担当者は「今懸念すべきことは米国の攻撃ではなく、韓国と米国の国民の『戦争懸念』を理由に、米国が北朝鮮の核を容認し、米国にとって心配の種である大陸間弾道ミサイル(ICBM)についてのみ、北朝鮮と取引することだ」と指摘する。北朝鮮が望むのは、韓国を攻撃する核・ミサイルは公認を受け、米国とは関係改善を進めることだ。一方、米国が容認できないのは、北朝鮮によるICBMの完成だ。そのため、妥協点として、現状凍結論が浮上する。しかし、それは韓国にとっては最悪だ。米国との同盟は弱体化し、北朝鮮は韓国の命脈を握ることになる。
実際にそういう兆しが見られる。トランプ米大統領は来月、中国で習近平国家主席と会う。そこで北朝鮮の核問題の行方が定まる可能性が高い。それを控え、北朝鮮最高人民会議の金永南(キム・ヨンナム)委員長は数日前、平壌を訪問したロシア議員に「射程距離3000キロメートルの弾道ミサイルは既に保有した。米本土を攻撃できる射程距離9000キロメートルのミサイルは開発中だ」と述べた。米国に聞かせるためだ。トランプ大統領も最近、軍事行動の検討会合を開く一方、キッシンジャー元国務長官と会った。中国とのビッグディール論に対する助言を聞いたとされる。トランプ大統領は「3000キロメートルまで容認」という妥協に誘惑を感じるはずだ。まして、北朝鮮による最大の被害者となる韓国の政府が「戦争は絶対に認めない」と背中を押すのだから、妥協をためらう理由はない。