2017-10-09
メーテルアイコンさんの従軍慰安婦問題についての間違いだらけの主張
慰安婦問題について、以下のような主張をしている人がいました。
自信たっぷりに書いていますが、よくここまでというぐらいひどい間違いがあります。
まずQ1のIWG報告書について
monk.jp氏の主張
答え
monk.jp氏は、韓国政府の要求で、アメリカ合衆国当局が、調査を行なったが、「韓国が主張する内容を裏付ける証拠」は見つからず、従軍慰安婦制度について日本は無罪だ、という結論の報告書を出したかのように書いていますが、これは誤りあるいは虚偽です。
IWGは「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班」であって慰安婦に特化したものではありません。また、既に機密解除がなされ公開された公文書や既知の文書・証言記録は報告の対象外で、存在する全ての文書を調査した訳ではありません。「慰安婦に関して戦争犯罪はなかった」などという結論が出るはずもありません。
IWG報告書の話というのは、
というものであって、従軍慰安婦制度に関して日本の無罪を示すものでは全くないのです。
これは例えば、旧家の土蔵から、未知の文書が発見され、17世紀に書かれたものだと分かった。その文書には関ヶ原の戦いについての記述がなかった。したがって、関ヶ原の戦いはなかったのだ、という結論を出せないのと同じです。
さらに「慰安婦制度を当時の日本国内の売春制度の延長とみなしています」とあります。それが報告書の結論であるかのような書き方ですが、現在のアメリカ合衆国当局は、そういう結論を出してはいません。「慰安婦制度を当時の日本国内の売春制度の延長とみなして」いたのは、同時代の米軍当局です。しかも、当時の米軍が従軍慰安婦制度を調査して、そう結論づけたわけではなく、IWG報告書の日本の戦争犯罪についての追加論文における分析です。論文では、当時の米軍当局の認識が不十分であり、慰安婦を軍慰安所に強制的に入れられた不本意な犠牲者ではなく、職業売春婦としてとらえられた、と指摘しています。
Q2の河野談話について
monk.jp氏の主張
答え
「「軍の要請を受けた業者…甘言、強圧による等…」とありますが、軍がそれを知っていたとも書かれていません。」実に驚くべき主張です。まず、河野談話の表現を見てみましょう。
慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。
「官憲」というのは、軍人等の大日本帝国の権力機構の一員だとしか解釈しようがありません。
産経新聞にもこんな記事がありました。
それでは、ここで言う「官憲」とは何なのか。内閣外政審議室が河野談話発表時にまとめた記者会見の「想定問答」には、次のように書いてある。
「『官憲等』とは、軍人、巡査、面(当時の村)の職員などを指す。これらの者が慰安婦の募集の際に立ち会うなどして、強圧的な行為に加担するケースがあった」
【視線】慰安婦募集の「実行犯」 “強圧と甘言”駆使したのは誰か 政治部編集委員・阿比留瑠比(1/3ページ) - 産経ニュース
monk.jp氏は、河野談話を相手が読まないことを期待して、主張しているとしか考えられません。
そもそも、官憲等が直接、加担していなくても、軍の要請を受けた業者が行なったことを、軍が知らないと言えるものではないでしょう。
Q5の婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約について
monk.jp氏の主張
答え
まず「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」があるから、慰安婦は人身売買だ、などと主張している人を私は知りません。この条約があろうがなかろうが、例えば、金銭を渡して、人身を拘束することは、人身売買なのです。monk.jp氏は、きっと、わら人形と戦っているのでしょう。
さらに、monk.jp氏は、条約が植民地を適用除外することによって、「半島慰安婦に対して条約違反はありません」と言っていますが、条約が適用除外になるのは、植民地という場所であって、植民地出身の人間ではありません。
下記のブログに解説がありますように、宋神道さんの裁判の判決では、中国にあった軍慰安所で働かされていたことについて、「勧誘、誘引、拐去」(第一条)があったものと認められ、醜業条約の適用対象となる「醜業」であったと認めることができる、との判断が示されています。
日本軍性暴力-4つづき 日本軍「慰安婦」を強制された宋神道事例での「日本軍と慰安所業者の関係」と日本の国際条約違反と拉致問題と… ( アジア情勢 ) - ナザレのイエスと佛陀と道元の思想の深化。日本人の知性で考える! - Yahoo!ブログ
そもそも、国がつくった法の抜け穴を、国が利用しました、だから問題はないんです、とmonk.jp氏は言っている訳ですが、それって自慢できることとはとても思いません。
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