上達する選手の特徴として、「継続力」があります!
そちらはみなさんご存知でしょうが、選手を上達させることができる指導者には「継続力」とともに「継続させる力」があるということはあまり注目されていないのではないでしょうか?
〇「継続力」のある選手はどんどん上手になっていく!
チームを指導していると、ふと気が付いたときにものすごく上達している選手がいます。
スイングの軌道が外を回っていて、そのことを指導してから数日後には修正できている。
ゴロ捕球からのステップが上手にできなかった選手が次に練習したときにはできるようになっている。
「どうしてできるようになったの?」
と聞くと、
「先生に教えていただいたことを家で毎日練習しました!」
と答えるんです。
また、チームで決めたことを愚直に続けることのできる選手も伸びますね。
たとえばですが、毎日野球ノートを書こうと決めたチーム。
この野球ノートに取り組む姿勢も選手の成長につながってきますね。
野球ノートを書くときに真剣にその日の練習を振り返って反省を書くことを継続できる選手と、頻繁に書くことを忘れたり、雑に書いたりしている選手では成長度合いは全然違ってきます。
一日100スイング自主練習をしようと決めたチーム。
本当に100スイングしているかどうかは誰にも分かりません。
それでもしっかりと100スイングできる選手とやらない選手でもやはり上達するスピードが全然違います。
↑ちなみにですが、重いバットでのノルマスイングはおすすめしていません。数多く振るなら「練習は練習」の宮川理論をお勧めします。
このように、当たり前のことですが、小さな努力を継続する力がある選手はどんどん上手になっていきます。
このことはみなさん自身の経験からもお分かりいただけると思いますし、指導者の方は選手を見ていてお気づきになることだと思います。
では、指導者はどうでしょうか?
〇指導者も「継続力」が必要になる!
選手には「継続力」が重要だというわりに、あまり指導者の「継続力」は重要視されることがありません。
私はこの指導者の「継続力」はチームを成長させる上でものすごく大切な要素だと思うのです。
はっきり言って、弱いチームの指導者はこの「継続力」がありません。
強いチームには何か特別な秘密があると思っているフシがあります。
私も時々指導者の方から
「普段どういう練習をなさっているんですか?」
と聞かれることがあります。
正直、私の練習はほとんど基礎の反復練習です。
↑私はこういう考えをもっていますし、選手たちにも
「徹底することは武器である」
と口を酸っぱくして言い続けていました。
ですから、どんな練習をしているか聞かれたら
「毎日キャッチボールを丁寧にやって、ゴロを転がしたり、テニスボールでフライを上げたりしています」
と答えますが、そうすると何だかがっかりされます。
強くなる特別な練習があると思っているんですね。
確かに、他のチームではやっていない特別な練習をやっているチームもあります。
そういった練習が野球雑誌に載っていることもありますよね。
継続することの重要性を知らない指導者はそういう練習にすぐ飛びつきます。
新しく効果のありそうな練習に挑戦してみること自体は悪いことではありません。
しかし、そういう指導者は少しやってみて、目に見えた効果がすぐに出ないとまた新しい特別な練習を探し始めます…。
すぐに効果の出る練習はそれほど多くありませんよね。
当たり前のことを継続できるから強いチームが出来上がっていくのです。
『当たり前』の積み重ねが、本物になる ~凡事徹底――前橋育英が甲子園を制した理由~
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↑前橋育英の荒井監督も同様のことをおっしゃっています。
こちらの記事中でも、
誰にでもできることを、誰もできないくらいやろう
という言葉が出て来ます。
とにかく徹底、継続ですよね。
甲子園常連チームの練習を見に行っても特別な練習ではなく、基礎練習を徹底してやっている場合が多いです。
プロ野球選手だってキャンプでは基礎練習からみっちりやっています。
ショート守備のお手本 オリックス 安達了一 特守 2017 バファローズ 宮崎キャンプ
見てくださいよ。
守備の名手安達選手が緩いゴロを基本に忠実にひたすら繰り返し練習していますよね。
選手も継続力が大事。
指導者も継続力が大事です。
特に指導者の継続力は週単位とか月単位ではないですよ。
年単位で求められます。
私は走塁を中心にチームを作ります。
特に走塁に力を入れたチームなんて時間が相当にかかります。
走塁練習で反復練習して、ケースノックで練習し、練習試合でやってみる。
まず失敗する勇気が出てくるまでに時間がかかるし、そこから何人かができるようになって、チームみんながやってみようという雰囲気が生まれてくる。
でも公式戦だとやれない。
次の公式戦ではやれるようにとまた練習で繰り返す日々。
最終的に走塁のチームと胸を張って言えるようになったのは私が顧問になったときに入部して来た子たちが3年生になってからでした。
そのどこかで「このチームに走塁は無理だな」と思っていたらチームは完成できなかったのです。
「なんでそんなに走れるの?」
と聞かれても、当たり前のことをひたすら繰り返したからとしか言いようがありません。
↑当然、指導者の姿勢にコツはありますが。
〇さらには「継続させる力」も求められる!
さらには、指導者には「継続させる力」も求められると思います。
たとえば、一番最初に挙げた野球ノートや素振りの例で考えてみましょう。
野球ノートを書かせて、回収、ハンコを押したり簡単にコメントを書いたりして返却。
これだけだとなかなか高い水準で継続させることはできません。
ですが、
「野球ノートにAが~ということを書いていたよ。みんなよく気が付いたと思わないか?そういう着眼点を持っている選手は伸びるよね。みんなも見習おう。」
なんて一言をミーティングの中で言うだけでも随分違いますよね。
Aくんはさらにがんばろうと思うでしょうし、他の選手も負けずにがんばろうと思うはずです。
私は部活動通信に野球ノートの選手の言葉を載せるなんて取り組みもしています。
素振りの取り組みにしても、ただ「家でやっておくように」ではなく、定期的に選手の手を見るだけでも全然違います。
振っている選手は手で分かることもありますし、正直分からなくてもいいんです。
「あれ、綺麗な手だね。家でちゃんと振っているの?」
とコミュニケーションを取ってみてください。
「すみません、最近は振れていません。」
と答えたら、「他の選手に置いてかれるよ。もっとがんばんないとな!」と声をかけてあげればその日から振るでしょう。
「振っていますよ。バッティンググローブを付けているのでマメができないんです。」
と答えたら、「本当?これからも時々チェックするから継続してがんばれよ。」と声をかけてみてください。
もしも嘘をついていても慌ててその日から振ると思います。
↑素振りにはノックバットがオススメ!
このように、選手が継続できるように後押しする力も指導者には求められると思います。
また、先の「継続力」でもお話ししましたが、基礎の反復練習は選手にとっては単調でつまらなく感じることも出て来ます。
そうならないように、「なぜその練習が必要なのか」丁寧に説明したり、選手のモチベーションを維持したりする工夫も指導者には求められるでしょう。
以上、指導者にも「継続力」が求められるという話でした。
これを機に継続力を意識していってはいかがでしょうか?
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