介護保険料の計算と免除基準を40歳以上と65歳以上でそれぞれ解説

毎月の健康保険や年金からひっそりと徴収されている介護保険料ですが、実際いつまでいくらの保険料を納付する必要があるのか。どのような計算によって介護保険料が決まっているのかなど、介護保険は知っているようで知らないことも多いでしょう。

そこで、今回は介護保険料の計算方法と納付が免除(減免)となる場合について解説を行います。

介護保険料とは?いつからいつまで支払いが必要なのか?

介護保険制度とは、介護保険が適用されるサービスを1割負担(所得が高い方は2割から3割)で利用ができる制度となっており、その財源は国や市区町村に加えて、国民の介護保険料から徴収され賄われております。

では、いつからいつまでの間介護保険料を納める必要があるのか。

答えは、介護保険料は満40歳から徴収が始まり生涯を通じて支払いが必要になります

厳密には満40歳から満64歳までを第2号被保険者と呼び、満65歳以上を第1号被保険者としてそれぞれ介護保険料が徴収されることとなり、計算方法や徴収方法が異なりますので詳しく確認をしてみましょう。

また、満40歳以上とは、誕生日の前日に該当する月から徴収されることとなりますので、5月1日生まれの方は前月である4月から徴収がされ、5月2日生まれの方は5月から徴収されると覚えておきましょう。

第1号被保険者の介護保険料の計算方法と徴収方法

第1号被保険者の介護保険料の徴収は、満65歳の誕生日前日の該当月から市区町村に徴収されることになります。徴収方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類がありますのでそれぞれの違いを確認してみましょう。

特別徴収とは

特別徴収とは、受給している年金(老齢年金、退職年金、遺族年金など)から天引きされる徴収方法で1年間に18万円以上年金を受給している人が対象となります。

普通徴収とは

普通徴収とは、納付書での支払いか口座振替にて徴収されることを指しており、特別徴収に該当しない方が対象となっております。普通徴収となる場合は以下のようなケースです。

普通徴収が適用される場合

  • 年度の途中で65歳になるとき
  • 年度の途中で現在のお住いとは別の市区町村から転入したとき
  • 年度の途中で介護保険料を決める所得段階の区分が変更になったとき
  • 年度の初め(4月1日)時点で年金を受給しなかったとき

第1号被保険者の介護保険料の計算方法

第1号被保険者の介護保険料の計算方法は、前年の所得に応じて9段階(市区町村によって異なる場合あり)に分かれております。

第1号被保険者の保険料計算式

上記の図の通り、「第1号被保険者が利用する介護保険サービスの費用」を「65歳以上の人数」で割った金額が「1人あたりの保険料基準額」となります。この基準額に所得によって変わる9つの係数をかけることで介護保険料が決まります。

9つの段階は以下の表にように分かれておりますが、市区町村によって金額や分け方が異なる場合がありますので注意しましょう。

段階 対象者 保険料の計算方法
第1段階
  • 世帯全員が市区町村民税非課税の老齢福祉年金受給者
  • 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の年金収入等が年額80万円以下
保険料基準額 × 0.5
第2段階 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の年金収入等が年額80万円以上120万円以下  保険料基準額 × 0.75
第3段階 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の年金収入等が年額120万円超 保険料基準額 × 0.75
第4段階 世帯に市区町村民税課税者がいるものの、本人が市区町村民税非課税者であり、年金収入等が年額80万円以下 保険料基準額 × 0.9
第5段階 世帯に市区町村民税課税者がいるものの、本人が市区町村民税非課税者であり、年金収入等が年額80万円超 保険料基準額 × 1.0
第6段階 本人が市区町村民税非課税かつ合計所得が年額120万円未満 保険料基準額 × 1.2
第7段階 本人が市区町村民税非課税かつ合計所得が年額120万円以上190万円未満 保険料基準額 × 1.3
第8段階 本人が市区町村民税非課税かつ合計所得が年額190万円以上290万円未満 保険料基準額 × 1.5
第9段階 本人が市区町村民税非課税かつ合計所得が年額290万円超 保険料基準額 × 1.7

第2号被保険者の介護保険料の計算方法と徴収方法

第2号被保険者の介護保険料の徴収は、満40歳の誕生日前日の該当月から現在加入している医療保険に上乗せされて徴収がされることとなります。

また、介護保険料の計算は、加入している医療保険によって異なりますが、会社員として加入している医療保険の場合は、標準報酬月額によって決まっています

国民健康保険に加入している方は前年所得によって徴収される金額が異なります。

第2号被保険者の保険料計算式

介護保険料率の参考として、協会けんぽの介護保険料率を参照すると平成29年3月分から1.65%となっております。介護保険料は企業と折半となりますので実際に徴収される金額は半額で済みます。

標準報酬月額別の介護保険料の納付額早見表は以下の通りです。(協会けんぽの場合で標準報酬月額が20万円から50万円までを掲載)

標準報酬月額 保険料率(1.65%) 本人負担額
¥200,000 ¥3,300 ¥1,650
¥220,000 ¥3,630 ¥1,815
¥240,000 ¥3,960 ¥1,980
¥260,000 ¥4,290 ¥2,145
¥280,000 ¥4,620 ¥2,310
¥300,000 ¥4,950 ¥2,475
¥320,000 ¥5,280 ¥2,640
¥340,000 ¥5,610 ¥2,805
¥360,000 ¥5,940 ¥2,970
¥380,000 ¥6,270 ¥3,135
¥400,000 ¥6,600 ¥3,300
¥410,000 ¥6,765 ¥3,383
¥440,000 ¥7,260 ¥3,630
¥470,000 ¥7,755 ¥3,878
¥500,000 ¥8,250 ¥4,125

上記の通り、標準報酬月額が50万円の方は毎月の介護保険料が本人負担で4,125円となります。実際に徴収される金額や保険料率を知りたい方は、ご自身が加入している医療保険に問い合わせを行いましょう。

介護保険料の支払いが厳しい場合は免除・減免できる?

介護保険料の免除は原則認められておりません。しかしながら以下に該当する方は介護保険料が不要になります。

介護保険料が不要になる場合

  • 日本国内に住所を有していない海外居住者
  • 指定障害者支援施設や労働者災害特別介護施設など適用除外施設の入所者
  • 在留資格が1年未満の短期滞在の外国人

国内に住所を有していない方でも、ご家族が日本国内に居住している場合は介護保険料の支払いが必要になりますので注意しましょう。

その他の方は介護保険料が免除されることも不要になることもありませんが、その代わり減免措置がありますのでご紹介したいと思います。

介護保険の第1号被保険者が減免措置を受けられる場合

介護保険の第1号被保険者の方が介護保険料の減免措置は市区町村の条例によって異なる部分がありますが、以下に該当する方は減免措置を受けられる場合があります。

介護保険料が減免される場合

  • 災害や震災によって住宅などが著しく損害を被った場合
  • 世帯の生計を支える者が失業等により著しく収入が減少した場合
  • 収入や資産が規定以下となり生活が苦しい場合※

介護保険料が減免される収入及び資産の規定

介護保険料の減免が受けられる基準には収入や預貯金が大きく関係してきますので基準を確認したいと思います。

  • 収入の規定
世帯構成 収入規定
単身世帯 120万円
2人世帯 160万円
3人世帯 210万円
4人世帯 260万円
  • 世帯全員の預貯金が350万円以下であること
  • 世帯全員が居住用や事業用以外の不動産を所有していない
  • 市町村民税課税者の親族等に扶養されていないこと

介護保険の第2号被保険者が減免措置を受けられる場合

介護保険の第2号被保険者の方が介護保険料の減免措置を受ける場合は、国民健康保険法施行令により「軽減」扱いとなります。前年所得から軽減基準額を超えない世帯は保険料が軽減されます。

軽減される条件は市区町村によって異なりますので、目安としてご参照ください。

基準となる所得金額

軽減率 条件
7割軽減 世帯の所得の合計額が33万円以下
5割軽減 世帯の所得の合計額が33万+(24.5万円×世帯主を除く被保険者及び特定同一世帯所属者数)以下
2割軽減 世帯の所得の合計額が33万+(35万円×被保険者及び特定同一世帯所属者数)以下

介護保険料のまとめ

介護保険料の計算方法と免除、減免について解説を行いました。介護保険料は市区町村によって条件が異なることから本記事に記載されている内容は目安として参照をしてください。

その上で、ご自身がいくらの介護保険料を納めているのか。支払いが厳しい場合に減免を受けることができるのかお住いの市区町村役場のサイトを確認して頂ければと思います。

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