(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年10月17日付)
国際通貨基金(IMF)が今後あり得るベネズエラ救済に向けて準備を始めた。
救済には年間300億ドル(約3兆3600億円)以上の国際支援が必要になる可能性があり、併せて世界でも特に複雑な債券のリストラ(再編)が行われ、IMFの規則が大きな試練に見舞われることになる。
ベネズエラが2007年にIMFとの関係を絶って以来、両者には正式な関係がなく、IMFは過去13年間、現地調査を実施していない。
IMFの高官らは、差し迫った救済はないと主張。公にはIMFは単に通常の調査を行っているだけだと述べ、時折、ベネズエラからのデータの要求に職員が対応することを除けば、ベネズエラ政府とは一度も意味のある接触をしていないと強調している。
だが、IMFのスタッフはこの数か月、仮に実現したら、大きな批判を浴びたギリシャへの関与より金銭的に規模が大きく、政治的に複雑になる可能性がある救済に向け、静かに数字を分析してきた。
あるIMF高官は「市場はこれにしっかり備える必要がある」と言う。さらに、IMFで米国代表を務めた経験があるダグラス・レディカー氏は、「複雑さの観点では、アルゼンチンとギリシャを足したようなものになる」と付け加える。
ベネズエラは15日に23州の知事選を実施した。
事前の世論調査では、経済を3割以上縮小させた深刻な不況と、IMFの試算で年間1000%超にのぼるインフレのさなか、野党が政府を倒すと見られていた。
外貨不足のためにベネズエラの輸入は5年間で8割減少し、国はデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込まれ、食料と医薬品の不足に苦しんでいる。
ところが政府の支配下にある選挙管理委員会は16日、23州のうち17州で与党・統一社会党(PSUV)の候補が勝利したと発表した。