安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金、労働者には非正規化・賃下げ・貧困・過労死、自民党が選挙に勝って得するのは富裕層と大企業役員だけ

自民党のホームページによると、衆院選の公示日の10月10日に、安倍首相が第一声で、5年間にわたる経済政策アベノミクスの成果を「客観的な数字を挙げながら、わが国の経済が確実に回復していることを強調」したとのことです。

それから、自民党の「衆議院選挙公約2017」には、「全力を傾注したアベノミクスの5年間。いま、多くの指標が示す通り、わが国の経済は確実に回復しています。」として、「アベノミクスの加速で、景気回復・デフレ脱却を実現します。」とあります。

それでは、5年間にわたるアベノミクスの成果を、客観的な数字を用いて一つのグラフで表現してみましょう。

上のグラフにあるように、5年間にわたるアベノミクスの成果のベスト3は、2倍増となった富裕層上位40人の金融資産、1.8倍増となった大企業の役員報酬額、1.7倍となった自民党への企業・団体献金です。

アベノミクスの成果は、富裕層と大企業役員と自民党の所得倍増計画の成功ということです。富裕層と大企業役員の所得倍増計画をやってくれる自民党に献金が集まるという、ものすごくわかりやすい構図ですね。

そして、労働者・国民には、貯蓄ゼロ世帯増、過労自殺・精神疾患の労災件数増、非正規雇用増、ワーキングプア増、文教予算減、実質賃金減、家計消費減、労働分配率減が押しつけられています。

このアベノミクスを、自民党の公約通りに「加速」させると、上のグラフのそれぞれがさらに伸びることになるわけですから、富裕層・大企業役員・自民党にもっと富は集中して、労働者・国民には賃下げ・貧困・過労死がもっと押しつけられることになります。

今回の衆院選は、労働者・国民の命と暮らしがかかっているのです。自民党を支持して得するのは、富裕層と大企業役員と自民党だけです。

【※上のグラフは安倍政権の5年間で増減が著しい統計データの推移を見たものです。今の安倍政権は2012年12月26日に発足していますので、2012年の数字を100とした場合の直近データの指数で示しました。出典等は下の表を参照ください】

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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