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火星は軽く、深く、そしてムラがあった
Image: Brady Barrineau/Shutterstock

火星は軽く、深く、そしてムラがあった

火星を擬人化してみたら、まるで思春期の子みたい。

突然ですが、「惑星の特徴」といわれたらなにが思い浮かびますか? 太陽からの距離、大きさ、重さ、組成などではないでしょうか。 そんななか、「いやいや、密度も大事だよ」と伝える研究成果が出ました。

科学者達が今まで思い描いていた火星のイメージは、「岩石惑星だし、多分密度高いよね」といったところです。しかし、今回アメリカの研究者達が実際に計算モデルを作ってみたところ、思ったより軽いことが判明。どのくらいかというと、地球より軽い。

地球の地殻は平均2.7グラム/平方センチメートルの密度ですが、火星は2.58グラム/平方センチメートルだろうとのこと。「そんなに違わないじゃない」って思うかもしれませんが、これが火星の歴史を研究するうえで大きな意味を持ってくるらしいんです。

地殻構造の特徴を特定することで、その惑星の形成と発達の仕方がある程度絞り込めます。なかでも地殻密度の大まかな平均値は惑星物理学では基本的なパラメーターになります。たとえば、地殻の厚さ、地形がどう支えられているか、そして熱化学的な発達を解明するのに有効です

要するに、火星の地殻密度が分かると、火星の地表がどう形成され、変化し、なぜ今の姿になったかなどの解明に一歩近づくわけです。惑星ドックといったところでしょうか。

過去に行なわれていた低解像度な惑星の重力モデルを用いたシミュレーションでは、岩石惑星の密度は2.7g〜3.1g/平方センチメートルの数値が出ていました。今回はマーズ・リコネッサンス・オービターというNASAの人工衛星が収集したデータ、重力場モデル、そして表土の組成を推定して計算しています。その結果、2.58g/立法センチメートルという値が出たわけですが、あくまでも推定値で不確かさも大きいとのこと。

アリゾナ州大学のSpace Technology and Science Initiative(宇宙技術・科学イニシアチブ)所属の研究者Tanya Harrison(タニア・ハリソン)は、米Gizmodoにこう伝えました。

火星の密度マップを作成したところ、密度には大きなムラがあり、地下や火山付近のほうが密度が高い可能性が高いことが分かりました。地殻が以前の予想よりも薄く、そして多孔質であることを示唆しています

本研究に携わっていないハリソンさんですが、興奮が隠せない様子でこう足しました。

この研究のクールなところは、その新開発の計算方法にあります。どの天体であれ重力と地形のデータがあればこの方法を応用できるんです

擬人化でまとめるとこうなります。火星ちゃんは軽く見えてその下に深い考えがあるけど、ムラっ気がある思春期真っ最中の子みたいであることが判明。水星ちゃんや金星ちゃんも同じ方法で診断できそうですね。

Image: Shutterstock
Source: Geophysical Research Letters, Wikipedia, ASU New Space, Tanya Harrison
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US [原文]

(西谷茂リチャード)