どもども♪加賀美です。
いやー、ついに配信されましたね、映画「小鳥遊六花・改 ~劇場版 中二病でも恋がしたい!~」。
アマゾンプライムビデオの見放題に京アニ映画参戦と聞いていてもたってもいられず、早速見ました
オフィスで。
いやぁ恥ずかしい中二描写について笑いながら営業会議資料を更新してやったぜ!
ところがだ、ところがだ……流石にデフォルメされた半裸の立花がサンバでダンスするのをオフィスで見るのは恥ずかしい。
特に隣に真面目な新入社員がいると辛いものがある。
そう思って、ウインドウの戻るボタンをクリックすると、気になる作品が現れたのだ。
主題の映画「ペット」である。
これがまぁ、めちゃんこ面白い。
そして、小説家希望としては想像以上に勉強になった。
自分のためにも、参考になったところをまとめたいと思う。
- 前提:合議制の脚本は数式のように美しく、超絶参考になる
- 他社だけどピクサーの流儀「悪役なしで、ドラマを作る」を感じる
- 悪いペットはいない、状況によって悪いペットがいるだけだ
- 行って帰ってくる物語と成長
- ペット目線での大都会のワクワク
- ビジュアルとのギャップでキャラを魅せる
- 仲間が集っていく展開は王道中の王道
- ファンサービスが凄い
- こんな素敵なペットとも見放題のアマゾンプライムビデオ大好き
前提:合議制の脚本は数式のように美しく、超絶参考になる
まず、CG映画ペットの制作費を見てみよう。
$75,000,000、日本円に直すとなんと82億5000万円!
なんと、1.07シャンムー(1999)なのだ!
そして、そんな額の大金をつぎ込む映画の脚本作りはどうなるのか?
答えは2つあって、信頼されてるスタンリーキューブリックみたいな変態が全部決めるか、人類の叡智を結集させ今人類が作れる最高の作品を磨き上げて作るかの二択になる。
今作は間違いなく、後者の最高傑作だ。
だからこそ、こうした大作映画は分解して遊ぶには最高の教科書なのである。
他社だけどピクサーの流儀「悪役なしで、ドラマを作る」を感じる
参照:ピクサーの「脚本の書き方講座」が素晴らしかった - Gamers, Be Ambitious
大きく成功させたいなら、映画はファミリーを狙う事になる。
ママとパパとボクちゃんの3-5人で来てもらえるし、終わった後にはグッズも買ってくれ、将来子供はディズニーランドに通ってくれるかもしれない。
まさに最高のお客様だ。
だがそうすると、ストーリーに大幅な制約が出来てしまう。
それは、親が子供に見せたいと思う作品にしなければならないのだ。
外道やクズは基本的にNGである。
NO藤原竜也である。
犯罪者を殺し続けて新世界の神になろうとしたりするのは、クズだけどギャンブルで人生逆転なんて、親は子供に見せれない。
だが、悪意や過ちがなければ、ドラマを作るのは難しい。
敵対者やピンチが作りにくいからだ。
これはファミリー向け作品最大の悩みなのである。
そこに対して、明確な答えを出したのはピクサーである。
「人は一番大切なものを守るために、極端な行動をしてしまう」という「仕方ない作戦」である。
実際、トイ・ストーリーのウッディーも元々はいけ好かない野郎の予定だったが、「これは愛されるキャラクターなのか?」という疑問によりキャラクターの再定義がされたという経緯がある。
その結果、彼には「アンディーの一番のおもちゃの座」という一番大切なものができ、そしてそれを脅かす、「バズ・ライトイヤーの登場」という危機が生じた。
その結果、調子の良いナイスガイだったアンディは「バズ・ライトイヤーの排除」という過ちを犯してしまうのであった……
彼のナイスガイ性を保ちながらも、「それなら仕方ない」と思える動機を用意する事でヘイトを集めないという作戦なのだ。
悪いペットはいない、状況によって悪いペットがいるだけだ
今回の「ペット」を見てみよう。
ケイティの愛犬マックスは飼い主が大好き。
ところが、ある日ケイティは新しい犬の、デュークを連れてくる。
そしてデュークはふてぶてしい上に、身体も大きくケイティの愛も、マックスの居心地の良い生活も全て破壊してしまう。
まさに「ケイティとの甘い生活」という一番大切なものが壊されていく描写である。
そんななかで、マックスはデュークを排除するため、ケイティの部屋の物を破壊するという暴挙に出る。
初めはちょっと懲らしめる程度のイタズラだったが、やがて調子に乗りまくった結果、2匹は帰れなくなってしまうのだ。
実に人間的なワンちゃんだ。
だからこそ、子供達だけでなく、大人も調子に乗らないよう気をつけようと心配できるのである。
行って帰ってくる物語と成長
かつて世界各国の神話が研究され、物語には類似があると結論がついた。
その典型こそが「行って帰ってくる物語」である。
王として相応しくなって戻ってくるライオンキングだって、兄の残した優しさを理解して帰ってくるベイマックスだって、大切な分身と別れても友達との絆と強さを身に付けた遊☆戯☆王の遊戯とアテムだって皆そうである。
更に言うと遊戯王シリーズの主人公5人中4人は成長して帰ってきている。(一人は旅に出た)
安寧の地から追い出されても、困難を乗り越え、精神的に大きく成長している主人公に対して多くの者は感動するのである。
今回のペットを見ると、2つマックスは成長している。
一つは他者に対する思いやりだ。
デュークを追い出そうと意地悪をしていたマックスは最後にはどこにもいない。
チグハグだった2人が、危機を乗り越えた食事のシーンの後で「お前の事、初めはいけ好かない奴だと思ってた」「俺もだ」のシーンがこの映画最大の泣き所だと個人的に思っている。
そしてもう一つが、マックスが勇気を持てたという事だ。
デュークや保健所の職員、他の動物に対して怯えていたマックスにとって外の世界は未知の恐怖が潜む世界だった。
ところが、終盤にデュークが保健所に連行されると一目散にトラックを追いかける。
更に命を掛けて友を救おうとする終盤は胸が熱くなる展開の連続だ。
1時間半ほどの短い間に、その成長を見せつける事に大成功している映画は間違いなく見るべき傑作映画である。
ペット目線での大都会のワクワク
冒険って、甘美な響きですよね。
見たことない場所に行く感じ、リアルでも映画でも興奮します。
今回の部隊は大都会ニューヨーク。
それだけでもワクワクするのに、更にコレがペットの目線から見たらって目線なので、凄くワクワクします。
特に中盤でマックスの仲間達が捜索隊を組むのですが、地下鉄への移動で屋外エレベーターや脱出ホースを使って急降下したり、通気孔や下水道を通ったりと、鷹に乗って飛んだりとスピード感マシマシで進んで行くので興奮が止まりません。
更に街のディテールも細かく、小さいペットの目線を通して、街がとてつもなく巨大に感じられるように描かれている。
だからこそ、ニューヨークという巨大な都市に対して尋常じゃなく興奮出来るのだ。
ビジュアルとのギャップでキャラを魅せる
魅力的なキャラクターって何だろうって考えると、その一つの答えはギャップがあって印象に残るキャラクターである。
そういう意味では、この作品は本当に模範的である。
人間に捨てられた恨みを忘れず、復讐に燃えるテロリストウサギのスノーボール、キュートに見えて戦い方はまるでカンフー映画のようなポメラニアンのギジェット、悪役ヅラで味方を食べようとしてたのに最後はギジェットを乗せて飛んでくれた鷹のタイベリアス。
みんな印象に残ってて、続編やグッズ展開でもきっと大活躍するのだろう。
仲間が集っていく展開は王道中の王道
敵対者いがみ合うペットと元ペット達だが、それぞれが集結して最後には一つのチームになる。
ベッタベタのよくある展開だが、どうしてもテンションが上がってしまう!
悪い状況にあって、悪い動物達も最後には救いがあってみんないい奴になる。
やはりファミリー向け作品はハッピーエンドでないと満足できねぇぜ!
ファンサービスが凄い
そして最後に褒めたい点はそのファンサービス精神である。
教科書にはなっても、教科書通りではない。
その最高の魅力はこの映画にあるが、何をもってこれを両立させているかといえばスタッフの遊び心であると言える。
色々とギャグを挟んでくれて飽きないのだが、特に気に入ったのがこのCGアニメスタジオ、イルミネーションの他の作品のイタズラのようなリンク感である。
例えば数秒映る自動車のカーステレオから流れているのがミニオンズのテーマ曲「HAPPY」だったり、バスの広告がこの作品の次回作「シング」になっていたりと、気づかなくても問題ないが気づくと嬉しいイタズラばかりである。
こうしたファンサービスなら大歓迎である。