iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】
HDVは、正式名称はiシェアーズ・コア米国高配当株ETFと言います。バンガードのVYMと狙いどころが似ています。現時点で高配当である株式を集めたETFです。
VIGのように増配銘柄ではなく、今の高配当銘柄の集合体だということです。過去一年の配当利回りはおよそ3.5%です。この数年の配当利回りは3.3%から3.7%ぐらいで落ち着いています。
ベンチマークはモーニングスター配当フォーカス指数です。この指数への連動を目指したETFです。
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】とVYMの取引値の推移
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設定日がHDVとVYMは浅いのでおよそ5年での比較です。
青チャートがHDVです。40%を超えています。
赤チャートがVYMです。こちらは60%を超えてきました。
ほとんど変わらない値動きであることが確認できます。ちなみにS&P500ETFのVOOやバンガードのVTIを重ねても実はあまり変わりません。ETFは多数の株式銘柄の集合体なので、どれもこれも基本的には値動きが似通ったものになります。
ちなみに、セクターETFや債券ETFは明らかに違う値動きをするものがあります。
このチャートは分配金再投資のチャートではないので、そういう意味では高分配金のHDVやVYMは少なくとも比較可能な2012年以降は非常に健闘していると言って良いのではないでしょうか。
高配当ETFは一般的には値上がり益はさほど見込めないからです。HDVは比較的新しいETFで2011年の設定です。そのため設定日である2011年以前の長期チャートがありません。
2015年以降のVYMとの差の開き方が気になるところです。大きく劣後した2015年には何があったのでしょうか。これは構成銘柄を見れば理由がわかります。後述します。
iシェアーズ・コア米国高配当株ETF【HDV】の配当とチャート
※Google financeから
2011年6月 取引値52ドル 分配金0.244ドル
2016年6月 取引値79ドル 分配金0.679ドル
2017年6月 取引値85ドル 分配金0.718
取引値は1.6倍になり、配当は2倍強というところです。2011年はリーマンショックから日が浅く、ギリシャショックなどもあったころです。そのころとの比較なので、大きく伸びています。
株は買うタイミングが良いとこうなる、という好例ではないでしょうか。
HDVが優れたETFの1つであることがわかります。どの程度のリターンを狙うかにもよりますが、こういうチャートを見てしまうと、あえて個別株を買わなくてもよいかな、という気になりますね。
ただ、リターンだけ見ると他にもっと上昇しているETFはあります。
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】の構成銘柄
上の画像は2016年です。エネルギーが大きいですね。
ティッカー | 銘柄名 | 業種 | (%) | 評価額 |
XOM | EXXON MOBIL | エネルギー | 8.76 | 571,133,851.95 |
T | AT&T INC | 電気通信 | 7.54 | 491,479,186.80 |
VZ | VERIZON | 電気通信 | 6.17 | 402,207,064.50 |
CVX | CHEVRON | エネルギー | 5.6 | 365,055,477.84 |
PFE | PFIZER INC | ヘルスケア | 5.24 | 341,663,519.72 |
WFC | WELLS FARGO | 金融 | 4.81 | 313,832,814.75 |
PG | P&G | 生活必需品 | 4.53 | 295,279,559.36 |
PM | PHILIP MORRIS | 生活必需品 | 3.98 | 259,747,303.15 |
CSCO | CISCO | 情報技術 | 3.91 | 254,826,054.02 |
KO | COCA-COLA | 生活必需品 | 3.66 | 238,817,237.74 |
上の表は2017年です。 エネルギーの比率を全体として急激に落としました。
それでも、組み入れ2位のセクターです。
セクター | 比率 |
生活必需品 | 22.23 |
エネルギー | 19.11 |
電気通信 | 13.7 |
情報技術 | 11.72 |
ヘルスケア | 11.59 |
金融 | 7.1 |
公益事業 | 6.85 |
資本財・サービス | 3.98 |
一般消費財・サービス | 2.34 |
素材 | 0.8 |
2017年のセクターごとの組み入れ順位です。
このHDVは伝統的にエネルギーの比重が大きいです。エクソン・モービル(XOM),シェブロン(CVX)が上位組み入れされていますが、2016年以前はセクター別の比重でもエネルギーは20%を占める第一位のセクターになっていました。
だから2015年の原油安の時にVYMに大きく劣後していたと言えます。
今後原油市場が持ち直してくると予想するならばVYMよりもHDVのほうに魅力を覚えるのではないでしょうか。ちなみにVYMはエネルギーは10%ほど、セクター順位は6位です。
VYMで組み入れ1位だったマイクロソフトはランクインしていません。また、VYMの組み入れ2位のゼネラル・エレクトリック(GE)もランクインしていません。他にも、ウェルズファーゴ(WFC)、JPモルガン(JPM)、AT&T(T)が入っていません。
このように、高配当ETFと言えども意外に構成される銘柄が違います。
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】のまとめ
HDVの信託報酬は0.08%です。VYMが0.08%ですから同じです。以前はHDVのほうが0.12%とやや割高でしたが、引き下げました。明らかに両社とも意識してコストダウンをしています。
構成銘柄は75銘柄と意外なほどに少なくなっています。VYMは400銘柄を超えます。少数精鋭で臨むのか、あくまで分散投資で臨むのかというところでしょうか。
そのあたりにもブラックロックとバンガードの運用思想の違いを見て取ることができます。そして、私たち購入者の選択の余地がいくつもあるのがアメリカ市場の魅力でもあります。金融先進国アメリカならではの商品ラインナップと言えるでしょう。
HDVはVYMと似ていますが、構成銘柄数やその中身に違いを確認することができます。私は信託報酬からVYMに投資をしていますが、HDVも今後注目を続けていくつもりです。
債券ETFのBND(バンガード)かAGG(ブラックロック)か、S&P500のVOO(バンガード)かIVV(ブラックロック)か、SPY(スパイダー)か。このように運用会社の違いによるちょっとした運用成績や運用思想の違いがあります。
ドル転してアメリカ市場で株式やETFを買う魅力がこの競争力ある選択可能な金融商品の数々です。HDVも投資家にとって魅力十分の運用商品であると言えるでしょう。
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こちらはバンガードの高配当株式ETF、VYMです。この数年でHDVとのパフォーマンスは開きつつあります。どちらが良いというよりも、好みの問題でしょう。エネルギーセクターが好きならばHDVのほうが妥当性があります。
組み入れトップのエクソンモービル【XOM】です。こちらは私が2017年に唯一買った個別株になりそうです。株価は低調ですが、RDSB以外のエネルギー株が欲しかったので王道を選びました。
個人的には原油価格がかつての価格を取り戻すには、通常の需給以外の要因が必要だと考えます。