【ニューヨーク=高橋里奈】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の統治資金を管理する部署「39号室」の元幹部、李正浩(リ・ジョンホ)氏は16日、ニューヨーク市内で講演し、国連安全保障理事会の制裁について「中国などが貿易を続けた過去の制裁と全く次元が異なる」と指摘し、「北朝鮮が1年乗り切れるかどうかは分からない」との見方を示した。
李氏は金正恩氏による幹部粛清を機に、2014年10月に韓国に亡命した。脱北前は39号室傘下の企業のトップなど要職を歴任。貿易業務など手がけ、北朝鮮経済に精通している。
李氏は国連安保理が9月に採択した石油製品の供給や原油輸出に上限を設ける新制裁決議について「北朝鮮の市場を完全に封鎖した」と分析。「北朝鮮は今回の制裁を脅威に感じている」と話した。金正恩氏が就任して以降、中国との関係が悪化。中国が貿易を遮断したことで過去最悪な状況だとも指摘した。
核・ミサイル開発などの挑発が続いている背景について「北朝鮮は米国との関係を必死に欲しながら、米国に向けてミサイルを配置するなど挑発行為をしている」と解説した。金正恩氏は長期政権を維持するためには米国との関係が不可欠だと考えているという。