2017-10-17 希望の党「ユリノミクス」のデタラメ・インチキ度を徹底検証
■[経済]希望の党「ユリノミクス」のデタラメ・インチキ度を徹底検証 


希望の党の政策がダメな理由のひとつに経済政策がデタラメであることにあります。
その公約の1丁目1番地が『消費税増税凍結』であります。
公式サイトより。
【希望の党 選挙公約】
いや増税凍結自体はまだよろしいのです。問題なのは、消費税増税に替わる財源確保の手法です。
ここですね。
再び公式サイトより。
2.経済に希望を ~ユリノミクスにより、経済成長と財政再建の両立を目指す~
金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。
?消費税凍結と内部留保の社会還元
消費税増税を凍結し消費の冷え込みを回避する一方、300 兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす。
「300 兆円もの大企業の内部留保に課税」とは、申し訳ありませんがこれは出鱈目な政策です。
例えれば500円玉で260円のビールを購入した消費者に対し、そのお釣り240円に課税しよう、という愚策です。
そもそも260円のビールにはたっぷりと税金(酒税)が掛かっているのに、そのお釣りに税金を掛けるなど出鱈目な二重課税もいいところなのですが、希望の党の主張ではお釣りにも課税されるなら「つり銭がなくなるように残りの240円も何か買ってしまおう」つまり消費拡大につながると言うのです。
当ブログは25年間零細IT企業を経営してまいりました、別に日本の大企業の味方をしようとも思わないし、申し訳ないですが「アベノミクス」信者でもありません、正直息切れ気味ですもの、デフレ脱却もできていませんし。
しかしこの「ユリノミクス」の「300 兆円もの大企業の内部留保に課税」という出鱈目ぶりはいただけません、まったくのインチキで違法なのだもの。
今回はこの「ユリノミクス」の「300 兆円もの大企業の内部留保に課税」問題、徹底的に検証したいと思います。
・・・
まず基本的な数字を訂正しておきます。
今年の9月1日に財務省が公表した『年次別法人企業統計調査-平成28年度-』によれば、昨年の企業の内部留保金は「300兆円」ではなく400兆円を優に越えていますので、希望の党は1番目の公約の最初の数値から誤りであることがわかります。
財務省が公表した『年次別法人企業統計調査-平成28年度-』はネットでも以下のPDFファイルで公開されています。
年次別法人企業統計調査 概要
-平成28年度-
(金融業、保険業を除く)
Financial Statements Statistics of Corporations by Industry, Annually
The fiscal year 2016
平成29年9月1日
その5ページにある『第5表利益剰余金の推移』が過去五年間の企業の利益剰余金すなわち内部留保金の推移になります。
第5表利益剰余金の推移
見づらいので数値が読み取れるように作図しました。
※財務省『年次別法人企業統計調査-平成28年度-』の数値より『木走日記』が作成。
ね、第二次安倍政権ができてから5年間で、内部留保金は300兆円から400兆円に100兆円も増えているわけです、希望の党のパンフレットの数値よりも、実はもっとひどいことになっているわけ(苦笑)です。
希望の党は曲がりなりにも公党なのですから、公約の1番目に上げている説明の数値ぐらい、直近の資料で確認しなくてはいけません。
さて、この企業の利益剰余金すなわち内部留保金って何なのでしょう。
もちろん内部留保という言葉や項目は会計上存在しません。
しかしこの言葉には「儲けた企業が金庫の中にたっぷりおカネを貯め込んでいる」というイメージがあり、今確認したとおり実際に企業の内部留保といわれているものは、2016年度で約406兆円にも上るわけです。
「ガッポリ貯め込んでいる大企業はもっと社員に給料を払え、国内設備投資をしろ、それをしないなら税金を取るぞ!」というのは、希望の党のいうようにいかにも社会正義であるかのように誤解を与えます。
しかしながら、これは出鱈目な話です。
なぜなら、企業は既に法人税や消費税など法律に従いしっかりと納税しており、その上で余剰したお金が内部留保金だからです。
だから内部留保金に課税をするというのは、最初に例示しましたように、例えれば500円玉で260円のビールを購入した消費者に対し、そのお釣り240円にさらに課税しよう、という愚策なのです。
よろしいでしょうか。
第二次安倍政権のこの5年間で企業の内部留保金が100兆円も増え続けているのは、確かに異常です。
これは二つの要因によるものだと当ブログは考えます。
まず基本的には『アベノミクス』の成功により、ある程度の円安株高が成功し、私たち庶民の実感は乏しいですが、長期好調経済が維持されているという事実です。
多くの企業が最高益を更新しています、でなければ利益余剰金が統計上このように膨らむことは不可能です。
そして第二の要因はデフレ脱却に『アベノミクス』が失敗していることが大きいのです。
・・・
少し長いですが、400兆もの黒字大企業の内部留保金を社員の給与に還元したり国内設備投資に向かわせ、経済波及させるにはどうしたらよいのか、説明いたします。
それは、徹底的にお金を貯めこむという企業のデフレマインドを破壊しなければなりません。
それにはデフレ脱却しかありません。
ここが肝心なのです。
デフレのもとでは、輸出依存型の成長ではそれが仮にGDP成長にいくら寄与したとしても、国民には還元されないことは前回のいざなぎ越え景気(2002年から5年9ヶ月続いたとされる好景気)の間に、大企業は過去最高益を挙げたにもかかわらず労働者平均所得は下がり続けたことからも統計的に証明されています、今回もまた長期景気でありますが、庶民の実感は全く乏しいのです。
貿易で得られた利益はすべて多国籍大企業にプールされ、そこではこれまた空前の内部留保金が膨らんでいるのです、国内にはいまだ還元されていません。
デフレ下で交易を活性化しても大企業に受益が集中するだけです。
まずデフレを止め、日本経済を内需型経済成長路線にしなければなりません。
私は中小企業や零細企業のITコンサル業をしていますが、経営者達の現場の苦悩を、いったい経済学者や政治家やマスメディアの何人が理解しているでしょうか。
日本経済は中小零細企業が支えているのです、この国の労働者の8割の雇用を支えているのが中小零細業です、ここを活性化しないで日本経済の復興はないのです。
デフレがいかに深刻な経済的病(やまい)なのか。
中小零細企業を守る立場からデフレの説明を試みます。
・・・
デフレ、デフレーションはズバリ「モノの価値が下がり続けること」であります。
したがってデフレが続く世の中では消費が冷え込みます。
簡単な話、現在10000円で購入できるモノが、来月になれば1割引きの9000円で購入できるならば多くの消費者は購入を手控えるでしょう。
せっかくモノを買ってもその商品価値が値下がり続けるならば、多くの人・企業は必要以上のモノを購入することは手控えるはずです。
つまりデフレが続くとモノを購入したり投資したりするよりも何もしないでお金を持っているほうが賢いのです。
これを「経済合理性」といいます。
「モノの価値が下がり続けること」、これを言い換えれば「カネの価値が上がり続けること」と同値です。
したがって、あなたがカネをいっぱい所有しているお金持ちであるならばデフレは天国です。
ただ持っているだけであなたの購買力はどんどん増えて行きます。
もしあなたがカネを持っていない、逆に借金しかない貧乏人か零細企業ならばデフレは地獄です。
あなたはカネは持ってませんが借金(マイナスのカネ)を持っていますから、ほっておくとその重みは年々増え続けます。
デフレですからあなたの所得は伸びません、へたすると減少を続けます、でも月々の返済は待ってくれません。
これが庶民からみたデフレの正体です。
デフレは多くの庶民や中小零細企業にとって地獄なのです。
デフレの真の恐ろしさは、借金をしている庶民や零細企業に対してその牙を向けるところです。
これはこのデフレ不況の中、収入が不安定なのに住宅ローンを抱えているたくさんの善良な庶民にとっても同様なことがいえましょう。
収入は減るのに毎月の元利払いは変わらず、重くのしかかってくるのです。
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今、アベノミクスにより円安になりつつありますが、今のデフレが続くことに「心地よい」人たちが日本のエスタブリッシュメントすなわち政策決定層にたくさんいますので、彼ら、経団連や財務省官僚やそれにマスメディア、そして悲しいかな少なからずの政治家たちも、デフレ対策よりも、消費税増税に熱心なわけです。
今、経団連などの大企業は史上空前の内部留保金をセッセと溜め込んでいます。
デフレですからそのカネを国内に投資などしないで持っているほうが「経済合理性」があるからです。
ですからどんなに貿易量が増え経団連などの大企業が利益を得て日本のGDPが上昇しても、デフレである限り、そのカネは国内に還元されることはないのです。
私が大企業の経営者でも、デフレ下ならば無駄なお金は何も使わずせっせと溜め込みます。
それが企業を守る正しいやり方だからです。
デフレ下で給与アップや投資などの「無駄なお金使い」は馬鹿な経営者です。
・・・
いっぽうインフレになれば「モノの価値が上がり続けること」になりますから、「カネの価値が下がり続けること」と同値ですから、お金をいっぱい持っているお金持ちや大企業にはインフレは困りモノです。
カネをただもっているだけではどんどんその価値が下がってしまうからです。
インフレになると大企業やお金持ちはモノに投資するようになります。
モノの価値が上がり続けるのですから、下がり続けるカネを上がり続けるモノに早めに変えたほうが得なわけです。
これも「経済合理性」といいます。
インフレになれば同じ理由で大企業も内部留保金を減らして人やモノに投資するようになります。
そうしなければ企業の大切な利益を守れないからです。
インフレが始まれば、つまりカネの価値が下がり始めれば、お金持ちや大企業は投資に熱心になります。
ただカネを持っているだけではドンドン損をしてしまうからです。
こうしてインフレが適度に進めば、内需が拡大していきます。
うまく軌道に乗れば、内部留保は減少しカネが回り始めるのです。
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以上、徹底的に検証してきましたように 「ユリノミクス」の「300 兆円もの大企業の内部留保に課税」は出鱈目な政策であり、二重課税の不条理そのものであります。
企業の内部留保拡大を止め、内需拡大するには、経済原理に則りなんとかインフレーションを実現するような経済政策が求められるのです。
その点では残念ながらアベノミクスも失敗し続けています。
しかし「ユリノミクス」の「300 兆円もの大企業の内部留保に課税」はインチキ過ぎます。
だから小池百合子氏の経済政策「ユリノミクス」はないに等しい、ダメダメなのです。
(木走まさみず)
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