屋内でドローンを飛ばすのは難しい挑戦だ。操縦者は常に冷静沈着であることを求められる。一般的にはドローンはやはり屋外で飛ばすべきだろう。特に初心者ならなおさらだ。
しかし、プロはさすがにプロである。ドローンでの映像撮影を行う会社 "BigFly" のギヨーム・ジュアン氏とジョリス・ファブロ氏は、フランスの古い教会内部のドローン撮影という課題に取り組み、見事に成功したのだ。
そのおかげで、我々は教会の美しい装飾をじっくりと堪能できるのである。しかも、「本来ならありえない」角度から。
スポンサードリンク
ビザンチン様式の教会のドローン映像
フランス北西部、ロアール川の河口近くに、パンブフという小さな町がある。撮影の舞台となったのは、この町のサン・ルイ教会だ。フランス北西部では唯一の、ビザンチン様式の教会である。
では映像をご覧いただこう。
Byzantine - BigFly
中央の丸天井の周囲には、キリストと十二弟子が描かれている。
左からトマス、アルパヨの子ヤコブ(小ヤコブ)、シモン、タダイ
奥の祭壇を正面から
"PAX TIBI" 「汝に平安あれ」と書かれている
「ビザンチン」と題されたこの映像は、各地の映画祭、特にドローンと関連したものにおいて、最優秀賞4つと銀賞1つを獲得しているほか、オフィシャル・セレクションとしても何度も選出されている。
操縦士たち
撮影においては、ジュアン氏が操縦士としてドローン本体の、ファブロ氏が副操縦士として撮影機器類のコントロールを担当した。それぞれの役割に専念することで、最終的に可能な限りの安全を確保しつつ、よりダイナミックな映像を得ることができたのだ。
操縦士たちは、この撮影のために何時間もかけて練習し、チームワークを築いてきた。
「(ドローンを)飛ばすだけの空間はありましたが、いつ事故が起きてもおかしくないということもわかっていました。」とジュアン氏。「たった2秒間気を逸らせば、カタストロフ(大災害)となりかねませんでしたから」
操縦士のジュアン氏によると、教会内でドローンを飛ばすことは、それ自体非常にストレスフルなことだったという。ドローンがどこかに衝突した場合、ドローンが壊れるであろうことはもちろんだが、それ自体が美術品である教会の建物にも疵をつけてしまうことになる。
パンブフのサン・ルイ教会
image credit: Selbymay / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0 or GFDL]
事前訓練は奏功し、撮影は無事に終了したようだ。
ドローンと撮影機器
撮影に使われた機材は以下の通り。
ドローン本体:Gryphon Redback X8 (Gryphon Dynamics)
ジンバル(ブレ防止装置):Ronin-M (DJI) を上下逆に取り付け
カメラ:a7S II (Sony)
また、撮影時には効果を出すためスモークが焚かれている。
image credit: BigFly
via: Fstoppers / Boing Boing / SPLOID など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
あわせて読みたい
今、あなたにオススメ
Recommended by
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「動画」カテゴリの最新記事
- 魔法少女に日本語!日本のポップカルチャー大盤振る舞いな、アメリカの地下鉄のマナー啓蒙CM
- 「あっ、あぶない!今助けに行くよ!」崖から落ちた子犬を助けようとする猫
- 体毛だってアイデンティティ。だが受け入れられず炎上してしまったアディダスのキャンペーン広告
- インドの列車が軽くスプラッシュマウンテン超え。浸水もなんのその、通常運行でホームに入る列車の光景(インド)
- 幼いころのけがで片羽となったハシブトガラスのエドワード、生涯の親友メンフクロウのハクに出会う
- クモが顔を這うとかやばくない?愛があるから大丈夫?大型のジョロウグモが女性の体をお散歩する風景(※クモ出演中)
- 日々進化する人工知能技術。子供のように言葉を学ぶAIロボット
- 黒くて大きい!トイレから出てきた謎のクリーチャー。この恐ろしい生物の正体は?
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリの最新記事
- バルト海に沈んでいた謎の物体の正体がついに判明か?(スウェーデン研究)
- 不思議でお腹を満たしたい人の為の地球上にある謎の多い12の場所。
- 宇宙のミッシングパーツ、欠けていた「バリオン物質(重粒子)」の存在がついに立証される(米研究)
- 霧の中にそそり立つ幻想的な柱「地のピラミッド」が立ち並ぶアルプスの幻想的風景
- いよいよ明日!10月12日に小惑星「2012 TC4」が地球に接近(※接近距離追記あり)
- 人工衛星を使わずに地球が丸いことを証明する7つの方法
- いにしえの道しるべ、「死者のランタン」と呼ばれる小さな塔(フランス)
- 2011年の日本の津波が生態系を変えていた!?日本の海岸に生息していた生物が太平洋に大移動(米研究)
この記事をシェア : 161 117 11
人気記事
最新週間ランキング
1位 3320 points | 胸にドクロを宿した猫があまりにもかっこよすぎるのでコラ職人頑張る | |
2位 2254 points | いよいよ明日!10月12日に小惑星「2012 TC4」が地球に接近(※接近距離追記あり) | |
3位 2068 points | 60秒で傷を完全にふさぐ。外科手術用接着剤が開発される(国際研究) | |
4位 1597 points | タトゥで健康状態がわかる。色の変化で脱水症状や血糖値がわかるスマートタトゥーインクが開発される(米研究) | |
5位 1265 points | 家のデッキでガサゴソ音。猫っぽいけど猫じゃない!オオヤマネコさん御一行がいらっしゃったんかーい!(米アラスカ) |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
映画の予告を思わせる映像感
音楽との組み合わせも最高過ぎて思わず感動で涙が出ました
2. 匿名処理班
最近のCGは良く出来すぎてるから
この美しい動画も単なるCGに見えなくて感動もない
ごめんなさい
3. 匿名処理班
それまで見てきた風景でも「人と違う高さから見てみた景色」って何か凄く新鮮に満ちている。
4.
5. 匿名処理班
映画のOPシーンのCGみたい
6. 匿名処理班
なんか既視感あると思ったが、確かにゲームのPVとかでよくあるよね構図。
なんにせよ映像表現の幅が広がるのは素晴らしい。
7. 匿名処理班
※1
大げさな奴
いつも泣いてるのか
情緒不安定なの?
8. 匿名処理班
そこまで改造してるなら、プロペラガードぐらい付ければいいのに・・・
9. 匿名処理班
ドローンにプロとかあるのか
10. 匿名処理班
会社のマークがかわいい
11. 匿名処理班
※2乏しい感性だねぇ
12. 匿名処理班
肉眼で見えない所を見える良さってのもあるけど、ドローンだからこそ見せれる見方ってのもあるな。
朝からいいものを見せてもらった。
所で宗教芸術は宗教に関らず突如美しさを突き詰めてくるものが多いけど何でだろうね?
なんていうか上手くは言えないが、布教のための美しさだけには見えないんだけれども。
13. 匿名処理班
CGかと見間違うファンタジー感に感動した
カメラでもこういう映像撮れるんだなぁ
14. 匿名処理班
官邸屋上に落ちていたり、神事の途中で落っこちてきたり…
ドローンって良くないイメージも有るけど、やっぱりドローンでの映像って凄いよ。
今まで見ることの出来なかった角度や 徐々に引いて行く時の映像とか…
15. 匿名処理班
プロの技術を理解出来ず、機材を過信しすぎて自分にも簡単に出来るとか勘違いするバカが出ませんように
16. 匿名処理班
とっても綺麗!これぶつけてしまったら大惨事だから本当に神経が使われてると思う…!日本の寺院とかじゃなかなか許可が下りないだろうね!日本は多分ドローン撮影に適した天井の高さでは無いけれど
17. 匿名処理班
※9
ドローンをまともに扱えれば金が貰えますよ
クライアントの厳しい要望に応えるレベルが要求されますが
18. 匿名処理班
※9
車の運転手にもプロがいるように、ドローンの操縦手にもプロがいますよ
ヘリで撮影するには風や噴煙などで危険な状況下や、単純にヘリを使うまでも無い空撮などでドローンは重宝されています
例として噴火活動が盛んだった時の西之島の観測にはドローンが使用されています
19. 匿名処理班
音楽が無いほうがいい
20. 匿名処理班
※12
美しさはそれ自体が圧倒的なパワーをもち、
見るものに畏怖の念を抱かせるからではないだろうか。
21. 匿名処理班
彫像や壁画の聖人たちや天使が美男美女かわいらしいで
もっとじっくりよく見てみたい。
22. 匿名処理班
※9
YouTubeにドローン動画をUPしていた知り合いは、海外の映画会社から日本の撮影シーンを頼まれたよ。
飛ばせる人は居るけれど魂の無い映像が多くて・・・と言われたらしい。
また、他の映像会社からもオファーが来て飛ばせる人は山ほどいるけれど
撮れる人は少ないと・・・
技術だけじゃなく映像センスも求められる。
23. 匿名処理班
>まずは映像をご覧いただこう。
この前に何行も段落変えてまで説明長文書いといて
「まずは」とか使い方おかしいわ