■宇宙の根本

 2017年のノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)は、2015年9月に初めて重力波を検出したLIGOの科学者3人に贈られた。

 重力波は初検出以来これまでに4回観測されているが、いずれもブラックホールの合体で生じたものだった。現象の規模は中性子星合体よりはるかに大きいが、光は放射されない。

 今回で5回目となる最新の重力波検出には、ガンマ線バーストが付随していた。

 これにより、もう一つの謎が解明された。中性子星合体が、短時間ガンマ線バーストとして知られる高エネルギーの閃光の発生源の一つであることが明らかになったのだ。

 8月17日の観測で捉えられたのは、通常より短時間で輝度が低く、かなり地味なガンマ線バースト現象だった。この閃光は、わずか1.7秒前に全く同じ場所で中性子星合体の重力波が検出されたという事実がなければ容易に見過ごされていたかもしれない。

 カーディフ大のサットン氏は、「これがいうなれば、決定的証拠だ」と話し、「この現象から分かることは、宇宙の近傍で発生しているこの種の短時間ガンマ線バーストが、従来の予測よりはるかに多い可能性があることだ」と指摘した。

■膨張する宇宙

 また、重力波とガンマ線バーストが初めて同時に観測された今回の中性子星合体のデータにより、今後は、宇宙の膨張速度の完全で正確な算出が可能になることが期待される。宇宙膨張速度を正確に割り出すことができれば、宇宙の年齢や宇宙に存在する物質の量などを知ることができる。

 さらに、中性子星合体の観測データを活用することで、自然の法則や極限状態での物質の振る舞いなどに関する知識が得られる可能性もある。

「この贈り物は今後もいろいろなものを与え続けてくれるに違いない」と、シューメーカー氏は話した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux