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中性子星の合体、重力波とガンマ線を初めて同時観測
2017年10月17日 13:50 発信地:パリ/フランス
■短時間ガンマ線バースト
中性子星は、大質量星が燃え尽きて爆発し、死を迎えた後に残る超高密度の燃えかすの芯だ。
通常は直径約20キロだが、太陽より大きな質量を持つ超高密度状態で、強力な電磁波を放射する。中性子星の物質ひとつまみが世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の重量に匹敵する。
中性子星2個の合体により、重力波として知られる時空のさざ波と、「ガンマ線バースト(GRB)」と呼ばれる高エネルギーの閃光(せんこう)が発生することは、すでに理論化されていた。
そして8月17日、うみへび座にある同じ場所から生じている両方の現象が、1.7秒の間隔を置いて検出器で観測された。
米レーザー干渉計重力波検出器(LIGO)に参加する研究者のデービッド・シューメーカー(David Shoemaker)氏は「観測から数分以内に、連星中性子星の検出であることが明らかになった」と話す。LIGOは米ルイジアナ(Louisiana)州リビングストン(Livingston)と米ワシントン(Washington)州ハンフォード(Hanford)の2か所に設置されている。
シューメーカー氏は、AFPの取材に「その信号はあまりに見事すぎて、それ以外のものではあり得なかった」と語った。
今回の観測は、地上および宇宙空間を拠点とする世界中の観測施設70以上で数千人に上る科学者が長年努力を積み重ねた成果だ。
研究にはLIGOの他、イタリアに設置された欧州の重力波検出器「Virgo」や米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)など多数の地上と宇宙空間にある望遠鏡の観測チームが参加した。
LIGOに資金を提供している全米科学財団(NFS)のフランス・コルドバ(France Cordova)理事長は「宇宙の仕組みに関する人間の理解を転換させる希少な出来事を経験するのは大いに心躍ることだ」と話した。