平成29年(許)第1号 執行費用額負担決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年7月20日 第一小法廷決定
既にした執行処分の取消し等により強制執行が目的を達せずに終了した場合における執行費用の負担は,執行裁判所が,民事執行法20条において準用する民訴法73条の規定に基づいて定めるべきである
今回は法執行上の問題が争われたので、事実確認はありません。
1 民事執行法42条1項は,強制執行の費用で必要なものを執行費用として債務者の負担とする旨を定めているので、強制執行が目的を達して終了した場合に同項の規定により執行費用が債務者の負担とされることは明らかである。
2 既にした執行処分の取消し(同法40条1項)等により強制執行がその目的を達せずに終了した場合に,当該強制執行が終了するに至った事情を考慮することなく,一律にその執行費用を債権者又は債務者のいずれか一方が負担すべきものと解するのは,衡平の見地に照らし相当とはいえない。
民事執行法39条は
強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
二 債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本
三 第22条第2号から第4号の2までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法 (平成16年法律第45号)第21条第4項 の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第20条第7項の調書の正本
五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。 3 第1項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。
多分ですが、借金を返そうとせず和解にも応じないため、貸主が訴えたものでしょう。ところが差し押さえをかけられて1回目は何とかや汁梧したけど、2回目が来ると聞いて慌てて資産を売却か何かして借金を返したのだと勝手に想像します。
すると、民事執行法39条に従って、強制執行が停止になります。ところが、これまで執行をかけたのに上手く行かなかった、その費用は誰が持つのかという裁判でしょう。
裁判所は以下のように判断しました。
当該強制執行が終了するに至った事情を考慮すること
なく,一律にその執行費用を債権者又は債務者のいずれか一方が負担すべきものと解するのは,衡平の見地に照らし相当とはいえない。そうすると,同法42条1項は,強制執行がその目的を達せずに終了した場合について定めるものではないと解されるから,同法には上記の場合の執行費用の負担についての「特別の定め」(同法20条)は設けられていないといえる。
民事訴訟法は
第八十三条 訴訟上の救助の決定は、その定めるところに従い、訴訟及び強制執行について、次に掲げる効力を有する。
一 裁判費用並びに執行官の手数料及びその職務の執行に要する費用の支払の猶予
二 裁判所において付添いを命じた弁護士の報酬及び費用の支払の猶予
三 訴訟費用の担保の免除
2 訴訟上の救助の決定は、これを受けた者のためにのみその効力を有する。
3 裁判所は、訴訟の承継人に対し、決定で、猶予した費用の支払を命ずる。
(過料の裁判の執行)
第百八十九条 この章の規定による過料の裁判は、検察官の命令で執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2 過料の裁判の執行は、民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。
3 刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第五百七条 の規定は、過料の裁判の執行について準用する。
4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。
執行停止の裁判)
第四百三条 次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
一 第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の上告又は再審の訴えの提起があった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
二 仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起又は上告受理の申立てがあった場合において、原判決の破棄の原因となるべき事情及び執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
三 仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
四 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求について、仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合において、原判決又は支払督促の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
五 仮執行の宣言を付した手形訴訟若しくは小切手訴訟の判決に対する異議の申立て又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決に対する異議の申立てがあった場合において、原判決の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
六 第百十七条第一項の訴えの提起があった場合において、変更のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったとき。
裁判所は以下のように結論を出します。
既にした執行処分の取消し等により強制執行が目的を達せずに終了した場合における執行費用の負担は,執行裁判所が,民事執行法20条において準用する民訴法73条の規定に基づいて定めるべきものと解するのが相当である。・・・上記請求が認容された理由は,上記強制競売の開始決定後に抗告人が弁済供託をしたことにより同強制競売に係る請求債権が消滅したというものである。
おいおいふざけんなって感じですね。これは明らかに一般人の感覚からずれています。
私も強制執行を検討したことがありましたが、先に相手が折れたので強制執行になりませんでした。ですが、結構いい金とりますよ。
先ず弁護士立ち合いになりますから、最低でも15万、執行官の数にもよりますが、その当時の見積もりで25万です。もし、金銭貸借で言ったら遅延損害金どころか元本割れになります。しかも、複数回となればいくらかかるのでしょうか。
最初から、強制執行になる前に引き渡せば済むものなのにゴネた賃借人のせいで費用が増えているのに、それを貸付人の費用負担とはおかしくないですか?そういう視点に立った裁判官が一人もいないというのは納得できません。全員トンデモですね。
裁判長裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 大谷直人 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 山口 厚トンデモ
平成29年7月20日 第一小法廷決定
既にした執行処分の取消し等により強制執行が目的を達せずに終了した場合における執行費用の負担は,執行裁判所が,民事執行法20条において準用する民訴法73条の規定に基づいて定めるべきである
今回は法執行上の問題が争われたので、事実確認はありません。
1 民事執行法42条1項は,強制執行の費用で必要なものを執行費用として債務者の負担とする旨を定めているので、強制執行が目的を達して終了した場合に同項の規定により執行費用が債務者の負担とされることは明らかである。
2 既にした執行処分の取消し(同法40条1項)等により強制執行がその目的を達せずに終了した場合に,当該強制執行が終了するに至った事情を考慮することなく,一律にその執行費用を債権者又は債務者のいずれか一方が負担すべきものと解するのは,衡平の見地に照らし相当とはいえない。
民事執行法39条は
強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
二 債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本
三 第22条第2号から第4号の2までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法 (平成16年法律第45号)第21条第4項 の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第20条第7項の調書の正本
五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。 3 第1項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。
多分ですが、借金を返そうとせず和解にも応じないため、貸主が訴えたものでしょう。ところが差し押さえをかけられて1回目は何とかや汁梧したけど、2回目が来ると聞いて慌てて資産を売却か何かして借金を返したのだと勝手に想像します。
すると、民事執行法39条に従って、強制執行が停止になります。ところが、これまで執行をかけたのに上手く行かなかった、その費用は誰が持つのかという裁判でしょう。
裁判所は以下のように判断しました。
当該強制執行が終了するに至った事情を考慮すること
なく,一律にその執行費用を債権者又は債務者のいずれか一方が負担すべきものと解するのは,衡平の見地に照らし相当とはいえない。そうすると,同法42条1項は,強制執行がその目的を達せずに終了した場合について定めるものではないと解されるから,同法には上記の場合の執行費用の負担についての「特別の定め」(同法20条)は設けられていないといえる。
民事訴訟法は
第八十三条 訴訟上の救助の決定は、その定めるところに従い、訴訟及び強制執行について、次に掲げる効力を有する。
一 裁判費用並びに執行官の手数料及びその職務の執行に要する費用の支払の猶予
二 裁判所において付添いを命じた弁護士の報酬及び費用の支払の猶予
三 訴訟費用の担保の免除
2 訴訟上の救助の決定は、これを受けた者のためにのみその効力を有する。
3 裁判所は、訴訟の承継人に対し、決定で、猶予した費用の支払を命ずる。
(過料の裁判の執行)
第百八十九条 この章の規定による過料の裁判は、検察官の命令で執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2 過料の裁判の執行は、民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。
3 刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第五百七条 の規定は、過料の裁判の執行について準用する。
4 過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。
執行停止の裁判)
第四百三条 次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
一 第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の上告又は再審の訴えの提起があった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
二 仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起又は上告受理の申立てがあった場合において、原判決の破棄の原因となるべき事情及び執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
三 仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
四 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求について、仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合において、原判決又は支払督促の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
五 仮執行の宣言を付した手形訴訟若しくは小切手訴訟の判決に対する異議の申立て又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決に対する異議の申立てがあった場合において、原判決の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
六 第百十七条第一項の訴えの提起があった場合において、変更のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったとき。
裁判所は以下のように結論を出します。
既にした執行処分の取消し等により強制執行が目的を達せずに終了した場合における執行費用の負担は,執行裁判所が,民事執行法20条において準用する民訴法73条の規定に基づいて定めるべきものと解するのが相当である。・・・上記請求が認容された理由は,上記強制競売の開始決定後に抗告人が弁済供託をしたことにより同強制競売に係る請求債権が消滅したというものである。
おいおいふざけんなって感じですね。これは明らかに一般人の感覚からずれています。
私も強制執行を検討したことがありましたが、先に相手が折れたので強制執行になりませんでした。ですが、結構いい金とりますよ。
先ず弁護士立ち合いになりますから、最低でも15万、執行官の数にもよりますが、その当時の見積もりで25万です。もし、金銭貸借で言ったら遅延損害金どころか元本割れになります。しかも、複数回となればいくらかかるのでしょうか。
最初から、強制執行になる前に引き渡せば済むものなのにゴネた賃借人のせいで費用が増えているのに、それを貸付人の費用負担とはおかしくないですか?そういう視点に立った裁判官が一人もいないというのは納得できません。全員トンデモですね。
裁判長裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 大谷直人 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 山口 厚トンデモ
とこのページを読んで、何か変じゃないかと思ったので書かせていただきます。
上記pdf内の理由の2,3、および主文を総合すると
この抗告をした人は借金していた側の人で、最高裁はこの抗告を棄却した。
理由の3を読むと、抗告をした人が(今回の)強制競売の執行費用を負担とすべき、と最高裁は述べている
ように思えるんです。
なぜそう思うかというと、理由の2によれば、
「抗告人が弁済供託をしたことにより同強制競売に係る請求債権が消滅したというものである。」
とあるので。
ひょっとして自分が勘違いしているのかと思って一応調べてみましたが
【Q2】弁済供託とは,どのような供託ですか。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00055.html#02
を読んでみても、やっぱり供託する人は金を借りた側ですよね?
法学には詳しくないので間違っていたらすみません。