激務のMR職。もう限界だと思ったら転職を考えよう!

高給取りでエリートだといわれるMR職。さっそうと医療機関を飛び回り患者に役立つ医薬情報の提供を行う姿に憧れる方も多いでしょう。

平均年収(2014年)を見ると703万円となっていることから、確かにお給料も良い職業だと分かります。製薬業界の専門家ですから、その収入も頷けますよね。

しかし、その一方で元MR職や現役MRの中には「もう二度とMRはやりたくない」と断言する方もいます。やはり激務は心と体に大きな影響を与えてしまうようです。

そこで今回は激務のMR職を辞めて転職したい方に向けて、効率的な転職活動の進め方をご説明します。

目次

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MRとはどういう仕事?

大手製薬会社としては例えば日本イーライリリーが有名です。誰もが耳にしたことがある名前だと思います。

そもそもMRの仕事内容とはどういうものでしょうか?何を理由に「激務」といわれているのでしょうか?

MRとはMedical Representativeの略であり、日本語に訳すと医薬情報担当者とよばれます。

主に製薬会社の営業職がMRと呼ばれており、医療機関や医師、薬剤師に自社の医薬品の情報を提供し売り込むことがメインの仕事となります(医薬品卸売会社の営業担当者であるMSとは、仕事内容が異なる)。

ただ、売り込むとは言っても、医療機関などと直接取引するのは卸会社なのでメーカーのMRとしてできることは実は限られています。

製薬会社は大手企業が多く、福利厚生などもかなり充実していますから、新卒・中途問わず人気の職種です。経験を積めば年収も上がり、1,000万プレイヤーも珍しくはない世界です。

しかし、そんな華やかな話の一方で、激務でつらいという話も多く聞きます。MR経験者から出るネガティブな意見を少しまとめてみました。

①医者や薬剤師から邪険にされる

医師を頂点とする医療業界の独特なピラミッドに組み込まれており、その最下層に位置するのがMRで、関係性を築くうえでの障壁となります。医師は当然のこと、薬剤師や看護師などの医療スタッフからも雑に扱われてしまいますから。

②接待がキツい

規制が強化されているとはいえ、対象となる医師を接待することは日常茶飯事。連日夜遅くまで繁華街を回ったかと思えば、翌日は別の医師と朝早くからゴルフといった日が続くことも。家でゆっくりする暇がなかなか取れない時期もあります。これがサービス残業扱いだと、かなり厳しいです。

③担当が多く常に動き回っている

医療機関だけでなく、医薬品卸もMRの担当。午前中は卸を巡回し、午後から医療機関を回るスケジュールが多いです。ですが、患者さんが多い日は診療終了後の夜にならなければゆっくり話を聞いてもらえないこともあります。病院ですからもちろん仕方ないことなのですが・・・。

一人当たりが担当する顧客数も多く、常に時間に追われながら動き回っている感覚です。また、①の理由によりアポイントをすっぽかされるのも日常茶飯事です。

④セクシャルハラスメントが多い

女性MRの場合は特に医師からのセクハラを受けやすく、応じなければ取引しないといった露骨な対応をされてしまったケースもあります。社内の上司から目標数字未達の場合のハラスメントも激しいようです。

このように、MR職は肉体的にも精神的にもつらいという声が多く聞かれます。また、激務であるという点以外にもMRに対するネガティブなイメージが多く聞かれます。

MRは必要とされていない?

医薬情報の提供とはいえ、やはり自社製品を売り込まなければ話になりません。医師や患者のための情報であるという使命感はありますが、実際はMRの持ってくる情報は手前味噌であまり役に立たないといわれているのも事実です。

医師によってはMRの情報をまったく当てにせず、学会やネットの情報をベースに判断する方もおり、MRの地位は低下する一方だといわれています。

入社時はやる気に満ち溢れている新入社員も、現実を知るにしたがって理想と現実のギャップに気付き、MR職を辞めたいと考えるようになるのです。

また、医師と話す時間を確保するためには、たとえ昼休みだろうが土日だろうが犠牲にしなければなりません。もちろんその分の手当は支給されますが、丸一日使って医師と話せたのは5分などという徒労感にさいなまれることもあります。

MRを「辞めたい」と思ったら

現在MR職として働いており、激務のため心身ともに限界が近いという場合は、転職を視野に入れておいた方が良いでしょう。

具体的に、MRを辞めて転職する場合は以下の4つの選択肢が考えられます。

①他社MRになる

現在のMRとしての知識や経験を活かして、今より労働条件の良い競合他社のMRに転職するという道です。

②薬剤師になる

MRは薬に関する知識は一級品です。その知識を活かして薬剤師資格を取得し薬剤師になる方法があります。

③他業界の営業職になる

基本的な営業スキルは身についているので、他業界の営業マンとして即戦力で活躍できる素地があります。

④未経験で異業種へ転職する

これまでの経験や実績をリセットし、未経験で異業種へ就職する道があります。

このように、MRを辞めて転職するには大まかな4つのルートが存在します。このうち④については、20代ならまだしも30代40代になるとかなりハードルが高いといえるでしょう。

次の章でそれぞれの可能性などについて詳しくご説明します。

MRを辞めたら次は…?

MRを辞めてどうするか、これは非常に悩ましい問題です。上記に4つの選択肢を提示しましたが、このうち①他社MRになるという道については「賭け」だといえます。

というのも、他社のMRになったとしても、勤務地が変わらなければ営業先は同じです。にもかかわらず、自社商品は変わってしまいます。

つまり、昨日までA社の医薬品を勧めていた人がある日突然B社の製品を勧めてくることになります。

医師がその人を信用するかどうかといえば「信用しない」という方がほとんどでしょう。こうして信頼関係が崩れてしまうと、仕事に支障をきたしてしまいます。

もちろん、医薬品にも多くの種類があるため分野が異なれば問題ないですが、医師の都合に振り回される現実は変わりません。余計ストレスを抱え込むことになる可能性もありますね。

薬剤師になるのは比較的成功する可能性が高いです。しっかり勉強できる確保できるなら、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。ただし、資格取得=就職ではないため、転職活動に時間がかかることを覚悟しなければなりません。

他業種の営業職になる場合、営業職の募集はどの業界も多く、比較的簡単に転職活動を進めることが可能です。ただし、選択肢が多いということはそれだけ悩む時間も必要だということ。自分に合った業界を探すことに一苦労しそうです。

そして、異業種に転職するのはもっとも難しいコースです。どうしても転職したい仕事や業界があっても、独力による転職活動では書類面接にいつまでも通過できないと悩む人は少なくありません。

転職エージェントを活用しMRからの転職を成功させよう!

このように、MRを辞めて転職活動をしたい場合、いくつかクリアしなければならないハードルがあります。しかし、これらのハードルは、転職エージェントの力を借りれば簡単に乗り越えられるかもしれません。

転職エージェントでは、求職者の過去の職歴や現状のスキルをコンサルタントが分析し、これからのキャリアプランを一緒に考えていきます。

MRだった相談者が、これまでのスキルを活かして同じMRに転職するのか、あるいは環境を変えるために別の業界へ転職するのか、どのくらいの年収が欲しいのかなど、今後のキャリアプランや生活プランなどもあわせて相談に乗り、解決策を提示してくれます。

転職エージェントの力を借りれば、複数の選択肢を同時並行で進めていくことも可能ですから、転職の幅が広がります。