〒 みなさま
こんにちは円野までどです。
みなさんは、どんな方で、今ここに至るまでどんなことをしてきましたか?
今日は皆様が将来をどんな風に決めたのかな、ということを考えながら「新・13歳のハローワーク」のお話をしたいと思います( *´꒳`* )
ちなみに 前回の話の後編になります。
*登場人物
私 筆者円野まど。何となく生きてきてしまった人。一言で表すならひきこもりの居候。
でんきゅう 私の弟のような人。21歳。将来について考え始めた。
しゃん 私のパートナーで、家主。クールガイ。スマホの画面に向かって微笑んでいる時は大体動物のかわいい画像。
アイちゃん 仲良しのオネエさん。仕事はお金を稼ぐものと割り切るタイプ。
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*進路とはどうやって決めるものか
突然ですが、今あなたは社会に於いてどんな立場の方ですか。
所属を説明するならどんな肩書きが最初に出てくるでしょうか。
「猫好き八段」「愛妻家」「ダイヤモンドメンタル」
世間には本当に色々な方がいらっしゃると思います。
これといって定義はないのですが、20~22才を過ぎたころ人は子供の頃自らが思い描いていた「将来」という時間を歩き出していると思います。
人生は選択の連続なので、今の私たちができるまでにさまざまな分岐点がありました。皆様は一体どうやって「将来、コレになる。」を決めましたか?
*新・13歳のハローワークについて
著者 村上龍
2003年12月に514種の職業を、2010年3月にさらに89追加した職業を百科全書のように紹介した本です。仕事内容や、その職に就くための能力や経験などが、時に体験談や著者の感想や意見を交えて解説されています・
累計発行部数で130万部を売り上げていますので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
向いている仕事はひとそれぞれ違うけれど、どうせなら嫌でしょうがないことより「向いていること」を仕事にしよう、という本です。
そしてその「向いてること。好きなこと。」は探すのではなく出会うものと説いています。
好きなことの属性を学校で習う教科にあてはめて、探せるように目次があります。
1.国語・2社会・3数学・4理科・5音楽・6・美術・7技術・家庭科・8保健・体育・9外国語・10道徳・11休み時間、放課後、学校行事が好き・ほっとする子、そして最終章には、「特別編・何も好きなことがなかった、興味がないとがっかりした子のために」が用意されています。個人的にはここを読むためだけに手にとってもいいと感じました。
この本は一言で表すなら「小説家が書いた職業カタログ」だと思いました(〃`・н・´〃)
*良い点
日本といってもそれぞれの土地に特色があることから、生まれてこの方知る事のなかった職業もあると思うと、視野が広がると思いました。
それと大人がわいわい見ても楽しい事。
作家自身の考える社会の成り立ちや、これからが書いてあるので、まるで誰かにお話を聞かせてもらっているみたいな本です。自分の好きなことや得意なことから辞書を逆引きするような本なので、「こういうことが好きなんだけど、どんな仕事があるんだろうなー」とワクワクしながら半分占い感覚で読むのも楽しかったです。
それに恥ずかしながら古地図研究家という職業を知らなかったので、とても興味深かったです。
やはりたくさんの職業を見ていると、世の中というのは本当に色々な方がすこしずつ担って形を成しているのだなと思います。
本の中では様々な個性豊かな職業について解説されていますが、これを読んでも読まなくても少なくない人が「会社員」になるのだと思います。
だから実際にここに書いた情報を役立てる、というより、ただ自分には目に見えないたくさんの選択肢が存在していることを知ったり、いろんな人が今日を生きている事を知るだけで、社会という大きなものの姿がまた違って見えるのではないかなと感じました。
*注意すべき点
これは良い点でも触れましたが、作者の主観が交えているので書かれている事の一部はあくまで「書いた人の思っていること」の枠内にあることです。
このことを理解しなければ、著者の価値観に迎合してしまったり、反発してしまうようなことが起こるかもしれません。
他に、世間で起こった批判としては「職業についての説明内容の薄さ」「分類が偏っている上に内容が希薄」など、書かれている内容が荒く、これを読んでも辿り着けない職業がたくさんあるということや「好きなことが仕事にできると考えて就職しない子供を生む」など、地に足がつかない子になることを心配するものがありました。
実際に細かく書かれている部分は少なく、本当にカタログと言った感じですし、本業の方からすれば的確に説明できているとは言いがたい箇所もあります。
これは入門書というか、取っ掛かりを掴む目的で使う本だと思っています。大体の職種を知って、関心のあるものを見つけ、それから更に調べていく。興味の種がたくさん蒔かれていて、気になったものがあればそれを育ててみるような、そんな使い方をするものかなと思いました。
それと、どんな本にも書いた者の価値観が投影されてしまうものです。
その事に気を付けて読めば、じゅうぶん社会の一部を勉強できる本だと思うし、そしてこれらの問題点については公式サイトで、「働いている大人に聞く」という質問できる場を設けたことで補えているのではないかな、と感じています。
*一番印象に残った部分
*新・13歳のハローワーク
「将来何になりたいのか想像もつかない、大体世の中にどんな仕事があるのかたくさん知らない」とでんきゅうが言った次の日、私は職業がたくさん掲載されているこの本のことを思い出し、買いに行きました。そして彼が遊びに来た時に、見せてみました。
何を選ぶにしても知る事から全てが始まると思ったからです。
彼は最初は雑誌を読むような姿勢で読み進め、珍しい職業があると私を呼んでページを見せてきました。そして「好きなことっていってもなあ。」と呟きました。
そして「ふーん、メッチャいろんな職業あるやん。たくさんありすぎて逆にどこから読んだらいいかわからんなあ・・・」と言い始めました。
(この本は向かなかったかな)と思っていると、パラパラ本をめくっていた彼の手がとまりました。笑顔が消え、一つのページを真剣に読んでいるようでした。
後ろから覗き込むと彼が見ていたのは「何もしない・寝ているのが好き」という項目でした。そこには何をやるにも面倒で、とにかく寝ているのが好き、やる気がでないという子は意外に多く、大体二つのパターンに分けられると書かれています。
1つは大物で、常識の枠にはみ出した才能を有している子。
そしてもう1つについてはこう書いてあったのです。
もう1つは、本来何かを見つけたり、何かに打ち込むための好奇心やエネルギーを、学校の先生や親、あるいはいじめっ子から奪われてしまった子だ。(新・13歳のハローワーク 444ページより引用)
この部分に、私は息を呑みました。今は治ったのだけど、上京した頃でんきゅうには睡眠障害があったからです。一度眠ると、なかなか起きる事ができないし突然眠くなるので色々な問題が起こりました。鉄道関係者が使っていると言うあの目覚ましでも買おうかと話していた所、突然治ったのです。
起きられないことを怠け者だということは容易いです。でも、出来ないことは何かのサインなんだ、ということをこの文章が示していました。いつの間にか私も黙り込んでしまって、ページを一緒に見ているとこの項で、更にこんな事が書かれていました。
好奇心やエネルギーを奪われてしまった子だが、そういった子は社会の助けが必要だ。そういった子はマグマのように、本当は心にもからだにもエネルギーがたまっていることが多い。(新・13歳のハローワーク 444ページより引用)
15歳で九九が怪しかったでんきゅうに、勉強を教えた時のことを思い出しました。
彼は最初ほんのすこし戸惑ったあと、すぐに計算が得意になってあっという間に高校レベルまで問題集を進めたのです。それは半年に満たない間のことでした。
そのページを更に読み進めると、著者が職業紹介を一度置いて、子供たちの未来に渡したい言葉が溢れていました。
社会の助けが期待できない子は、ひょっとしたら自分はエネルギーを奪われているのかも知れないと思って、まずもう眠れないというくらい充分に寝たあとで、エネルギーをたくわえ、この本を最初から読んでみて欲しい。(新・13歳のハローワーク 444ページより引用)
私は、社会にたくさんいるエネルギーを溜め込んだ人たちのことを思いました。
きっとそんな風に自分の力がちゃんと貯蓄されているのを知らずに、自分は何もできない人間だと考える方がたくさんいるのだと思います。こんな私ですがとてもとても勿体無くて、できるだけたくさんの人にお伝えしたくなって、 今日の記事を書きます。
この本を書いた村上龍さんは私以上に、そう思ったのかもしれません。
必ず何か興味のあることが見つかる。すべての子どもには、好奇心というエネルギーが生まれつき充ちあふれている。うばわれた好奇心を取り戻すこと。そこからはじめる。(新・13歳のハローワーク 444ページより引用)
ここにある「必ず」という言葉が、たくさんの人に届いたらいいな。
*社会に自己紹介する時
日本は義務教育があるので、生まれた子は特別な事情がある時を除き、学生という身分を得て成長していきます。それはいつか必ず卒業がくるもので、私たちが自分という入れ物に何かを詰め込む過程です。その後、就職や研究、結婚により家族の構成員となったり、またどれにも所属しない道を選ぶなど「それぞれの道」へ進んで生きます。
もし自分で自分を一言で表す「名刺」を作り、世間の皆様へ自己紹介するとしたら、お名前の下にあなたは何と書きますか?
そんなことをたくさんの方に聞いてみたいな、と思いました
*あとがき
でんきゅうと将来の話をするにあたってしゃんに「大学の時、どうやって就職先を決めた?」と聞くと「えっ、あんまり考えてないよ。あの時は受かりそうな所を受けた。だから転職することになったんだけどね。」と笑っていました。
確か数日前に、大体同じことをでんきゅうからも言われたのですが、しゃんが結局転職しているということは「受かりそうなところだから受けた」はあかんのではないかな・・・?と思い始めました。
色々想像して険しい顔になっていく私を見てしゃんがおやつをパリポリ食べながらこう言いました。
「なーんでもいいんだよ!お金と休みがきちんともらえれば!」
ただただ幸せになれるように生きて行けばそれでいいんだな、皆そうやって生きていけたらいいなーということを考えながら私もおやつをポリパリ食べた、午後でした。
それではまた、お便りします!
円野まど