超巨大火山のマグマ、休眠から数十年で巨大噴火も

イエローストーンの調査で判明、予想以上に速く溜まる可能性

2017.10.16
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イエローストーン国立公園を代表するグランド・プリズマティック熱水泉。(PHOTOGRAPH BY TOM MURPHY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 今はおとなしい米イエローストーン国立公園のスーパーボルケーノ(超巨大火山)。だが、これまで考えられていたよりも急速にマグマが溜まり、噴火に発展する可能性があることが、新たな研究で判明した。(参考記事:「超巨大火山 イエローストーン」

 スーパーボルケーノが直近で超巨大噴火を起こしたのは約63万年前のこと。米アリゾナ州立大学の研究チームは、この噴火で吐き出された火山灰の化石に含まれる鉱物を分析。マグマ溜まりに2度にわたってマグマが流れ込んだ結果、火山が目を覚まし、噴火に至ったと考えている。

 しかも、不安なことに、鉱物の温度と組成の重大な変化はわずか数十年の間に起きていることがわかった。地質学者たちはこれまで、一連の変化は何世紀もかけて起きるものだと考えていた。

 例えば、2013年のある研究では、スーパーボルケーノの地下にあるマグマ溜まりはそれまでの推測より約2.5倍大きかったと指摘されている。また、マグマ溜まりは超巨大噴火が起きるたび、空っぽになると考えられているため、マグマが再び溜まるまでには長い時間を要すると思われていた。しかし、アリゾナ州立大学の研究を見る限り、マグマ溜まりは急速に満たされ、地質学的には一瞬と言えるほどの短期間で、スーパーボルケーノが再び噴火する可能性があるようだ。(参考記事:「イエローストーンに潜む巨大マグマ」

 今回の研究に参加したハナ・シャムルー氏は「New York Times」紙の取材に対し、「静かな火山がこれほど短期間で、いつ噴火してもおかしくない状態まで変化するというのはショッキングな事実です」と述べている。

 ただし、イエローストーンは世界で最も監視されている火山の1つだと語るのは、米国地質調査所でイエローストーン火山観測所の科学者マイケル・ポーランド氏。さまざまなセンサーや衛星が常に変化を注視しているが、ただちに超巨大火山が脅威をもたらすようには見えないという。

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