古い写真というとモノクロの写真を連想することが多いかもしれないが、カラー写真は案外古くから存在していた。
世界で最も初期のカラー写真が登場したのはなんと100年以上も前だ。それはフランスのオーギュスト・リュミエールとルイ・リュミエールが手がけたオートクロームという技法によるもので、1907年に販売が開始された。
わざわざ着色しなくてもカラー写真が撮れるぞ!と、当時の写真家がはりきってカメラにおさめた色のある世界の一部がこちらだ。
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写真界に革命をもたらしたオートクローム
オートクロームが世界に普及する前、カラー写真を作るためには色とりどりの染料や色素を用いらねばならなかった。そこにこの新たな技をもたらしたのがリュミエール兄弟だ。
兄弟は父親の経営する写真館がきっかけでカラー写真に興味を持ち始めた。そして染色したジャガイモのでんぷんと、光に感応する乳剤を使うことでわざわざ着色を施さずとも鮮やかな写真ができることをつきとめた。
この技は製造が難しく比較的高価でもあったが、兄弟が販売した写真乾板はアマチュア写真家の間でこの方法は人気を博し、世界初のカラー写真の本にもオートクロームが使われた。
1. 赤い服を着たクリスティーナ / 1913
image credit:Mervyn O’Gorman
2. 通りの花売り /フランス、パリ 1941
image credit:Albert Kahn
3. 丘陵地のハインツとエヴァ /1925
image credit:Friedrich Paneth
4. ムーランルージュ /フランス、パリ 1941
image credit:Albert Kahn
5. 物思い(ヴァン・ベステン夫人) / 1910
image credit:Alfonse Van Besten
6. エッフェル塔 /フランス、パリ 1914
image credit:Albert Kahn
7. 兵士の装備の隣で人形を抱く少女 / フランス、ランス 1917
image credit:Fernand Cuville
8. グレナダ通りの軍隊
image credit:Leon Gimpel
9. ルイ・ルミエールによる初のカラー写真の中の一枚 / 1907
image credit:Mo
10. マーガレットと若い女性 / 1912
image credit:Alfonse Van Besten
11. 気球 / フランス、パリ 1914
image credit:Albert Kahn
12. チャーリーチャップリン / 1918
image credit:Charlie Chaplin
13. 屋外市場 / フランス、パリ 1914
image credit:Albert Kahn
14. 赤い服を着たクリスティーナ / 1913
image credit:Mervyn O’Gorman
15. アヘンを吸う女性 / 1915
image credit:Wikimedia Commons
16. 庭で絵画をするヴァン・ベステン氏 / 1912
image credit:Alfonse Van Besten
17. 小川にて 女性と少女 / 1910
image credit:Charles Corbet
18. スウェーデン、ガグネーフ近郊にて 伝統的な衣装を着た母娘 / 1910
image credit:Albert-Kahn
19. ロアネーの家族のポートレート / ベルギー 1913
image credit:Georges Gilon
20. 日本 若い侍 / 1912
image credit:Albert-Kahn
現代の写真技術に貢献した兄弟
オートクロームの人気はしばらく続いたが、1935年にコダック社の近代的なカラーフィルムの登場によって廃れてしまった。
そのカラーフィルムも今は姿を消し、今はデジタル写真が主流となったわけだが、現代の写真技法がここまで進んだのは、リュミエール兄弟のような先駆者たちの大変な努力のおかげともいえるだろう。
via:boredpanda・translated D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
Royksopp のonly this momentが真っ先に思い浮かんだ写真たちでした。
それにしてもどれもお洒落すぎて憧れます。
2. 匿名処理班
ルノアールやモネの絵のようだ
3. 匿名処理班
2枚のクリスティーナは服装のせいか今撮ったかのよう
でもすごいパワーがある
お気に入りはムーランルージュだけど
どの写真もデジカメには無い味がある
デジカメって味気ないよねぇ
4. 匿名処理班
お侍さんなのか水兵さんなのか
5. 匿名処理班
100年前なのに家の作りとかドアのデザインとか今とさほど変わらないんだね
6. 匿名処理班
色彩っていうのはやっぱり重要なんだなと
過去の写真や動画はモノクロが多いけど、それだと「過去」という何かしら分断された部分を見てる感じになって、遠い物というか自分達の生きている今の世界とは断絶された感がある。
色付きの過去のこういった写真を見ると、過去も今と繋がってる地続きの世界なんだなって強く実感出来る。過去と今は地続きなんてのは当たり前っちゃあ当たり前なんだけど実感的にね
7. 匿名処理班
白黒だと何か絵空事の様な感じだけれども
カラーだと当時の人も、生きていたんだなぁと感じるね
8. 匿名処理班
17. 小川にて 女性と少女 / 1910
まさに絵画
9. 匿名処理班
オートクロームって知らなかったわ。
この時代のカラー写真は3色分解法しかないと思ってた。
10. 匿名処理班
大戦前なのにこんなに華やかとは、恐れ入ったよ。
2.はWPにしました。
11. 匿名処理班
100年前とは思えないほど画質がいい
そのままインスタで使っても違和感がないな
12. 匿名処理班
昔のほうが死亡率も高かったでしょうけど
それでも今の時代より幸福だったように
見える、不思議(・ω・)
13. 匿名処理班
写真が鮮明で幻想的な雰囲気あって凄い
でもここに写ってるのが皆ほぼ死んでるって考えたら不安になってくる
14. 匿名処理班
訪日してきたチャップリン乗った船室見たことあるけど
今の船と比べたら狭くちゃっちい
その時代の乏しい技術でここまで再現するとは驚きだ
15. 匿名処理班
まさに絵画と写真の境界って感じだね
初めてカラー写真見た人達、どれだけ驚いただろうなあ
16. 匿名処理班
思ってた以上に良かった
17. 匿名処理班
高価だし、一枚一枚構図をよく考えて撮ったのかな。
一枚一枚がよくできた絵画のよう。
今はスマホでバシバシ撮れるけど、センスもないし後で見返してもどうでもいいような写真ばかりだよ…
18. 匿名処理班
いっつも考えるんだけど
リュミエール(Lumiere)って姓がフランス語で「光」を意味するのは出来過ぎだと思う