長時間労働で「管理職に罰金刑」ドイツの実際

ドイツ好況は「1日8時間労働」で実現した

ドイツの労働時間事情とは?(写真 : freeangle / PIXTA)
労働時間は短いのに、経済は絶好調のドイツ。『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』の著者であり、元NHK記者でドイツ在住27年の熊谷徹氏が、“残業が当たり前の日本"と“残業しないのが当たり前のドイツ"の違いを徹底分析し、ドイツの法律や、働き方の制度について解説します。

1日10時間を超えて働いてはならない

私は1990年から27年間、ドイツで働いている。それ以前は8年間、NHK(日本放送協会)の記者として働いていた。日本とドイツの働き方は、かなり違う。真逆といってよいかもしれない。

ドイツに日本人駐在員が着任すると、日本では考えられないレベルの短い労働時間に驚く。というのも大半のドイツ人サラリーマンは管理職でもない限り、ほとんど残業をしない。

「なぜ、こんな短い労働時間でも仕事や経済が回っているのですか?」

この手の質問を私はもう何度も、日本人から受けてきた。あえてわかりやすい言い方をすると、ドイツ人は午後5時まで頑張って働き、日本人は午後5時から頑張って残業する。ドイツでは午後3時に退勤するケースもあるくらいだが、それでもドイツ経済は絶好調である。

ドイツの年平均労働時間は1371時間(日本は1719時間)とかなり短いにもかかわらず、労働生産性は日本を約46%も上回っている。労働生産性とは、1人が1時間に生み出すGDP(国内総生産)のことである。

2016年の1人当たりのGDPを比べると、ドイツ(4万1902ドル=約486万円)が日本(3万8917ドル=約451万円)を上回る(IMF・国際通貨基金調べ)。

なぜ、こうも日本とドイツは違うのか? 大前提として、ドイツでは法律で企業での労働時間に上限規制をかけている。これは残業時間の上限規制よりも厳しい。

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  • NO NAMEdfb6a5d03eea
    ドイツはGDPの45%前後を輸出で稼ぐ輸出依存国。共通通貨ユーロの導入とともに為替変動のないEU域内で生産性に劣る南欧を食い物に経済成長してきた。ギリシャやスペインの財政問題はドイツの輸出攻勢が招いたともいえる。

    南欧の経済が悪化してからはその矛先を中国に向けた結果、ここ数年メルケルと習近平・李克強の蜜月が続いているわけだ。
    up16
    down0
    2017/10/15 09:57
  • NO NAME0ed42d9b70da
    ドイツの好況は産業力に対してユーロが不当に安いからです
    また、EU加盟国内の南欧、東欧がドイツに対して不満をなぜ持っているかも考えましょう
    up24
    down10
    2017/10/15 08:06
  • NO NAME3f6639837c21
    長時間労働がないフランス経済がダメダメだから
    好況と関係ないでしょう
    up16
    down4
    2017/10/15 09:22
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