どうして日本人は英語ができないの?
以前の記事で紹介した英語圏の Q&A サイト "Quora" に立てられた「どうして日本人は英語をうまく話したり書いたりできないの?」というトピックがちょっと面白かったので、寄せられた回答(全40件)のうち上位3件を紹介してみますね。
Sulimon Sattari さん(北海道大学博士研究員)
おそらく「カタカナ語」が原因なのではないかと思う。
日本では television が terebi となり、table は teburu、patrol car は patoca、air conditioning は eacon、name value は neemubaruyu となる。日本人は常にこういったカタカナ語に触れているために、彼らの多くは "black" や "red" が実際に英語でどう発音されるのかを知ることはない。また、ネイテイヴ・スピーカーと会話するときでも "eacon" や "patoca" といった発音で通じると思っている。
「カタカナ語」と「本来の英語の発音」は違うということに気づかない限り、いつまでたってもカタカナ語に引きずられてしまう。
Denise Fukuda さん
日本人が英語ができない理由として「英語を使う必要性の乏しさ」や「英語と日本語は遠い言語だから」というのもあるが、最大の理由は「学校での英語教育が極めて不適切だから」ということになるだろう。
日本の学校の英語教師のほとんどは英語を話せない。自分の子どもが通う学校を訪問したときに、よほどネイティヴ・スピーカーと話したくなかったのか、一人を除いて英語教師たちはわたしから逃げた。
日本の場合、ほとんどの英語教師たちは大学を卒業するとすぐに、留学を経験することもなく教職に就いたりするし、教師が生徒の監督や雑務までやらされているので英語を上達させる時間もない。そもそも学校英語の目的は英語を使えるようになることではなく、単にテストをパスすることだけ。
教科書や副読本には誤りが多すぎるが、教師たちはそれにすら気づかない。あくまで受験目的の英語なので、ちょっとしたスペルミスでさえ減点される。日本の学校英語は、とにかく学生のやる気を奪い、「自分は英語ができない」と思い込ませるものでしかない。
Florian Decludt さん
それは英語話者が日本語を話せない理由と同じだろう。
日本語は英語話者にとって最も習得が難しい言語のひとつだ。逆に言えば、日本語話者にとって英語は最も難しい言語のひとつということになる。
他にも次のような理由があると思う。
国粋主義 日本人は日本語と日本文化に非常に高いプライドを持っているから。わたしが住んでいるタイとは大変違う。タイでは誰でも外国人には英語で話しかけるからね。
恥の文化 たくさんの失敗を重ねれば重ねるほど英語は上達するものだけれど、日本人には「恥の文化」があって失敗を極度に恐れる。これが英語の上達を妨げている。
英語を使う機会 そもそもほとんどの日本人には海外に行かない限り英語を使う機会がない。
ただし、わたしは英語を話せる日本人を結構知っているけどね。
いつまで経っても日本の英語教育は変わらない
以上、高評価を受けていた回答を3つほど紹介してみましたが、
「へえ~、そうだったのか!! 知らなかった!!」
というような意外な回答は別に無かったですよね?
回答者のみなさんが指摘している「カタカナ英語」「受験英語」「恥の文化」「英語を使う機会の少なさ」って、もう長いことさんざん指摘されていることです。
ただ、これらの指摘が「昔からずっと言われ続けているにも関わらず、どれだけ経ってもまったく改善されていない点」であることに間違いはないんですよねえ。
どれだけ「学校での英語教育の質がひどすぎる」と指摘されても、現場では相変わらず英語をほとんど話せない教師たちが英語を教えていますし、教授される内容はあくまで受験のためのもので「英語を使う」ことを目標にしていないですし、学習者は失敗して周りから笑われることを極度に恐れます。
社会人になっても関心の的は「TOEICで何点のスコアを記録したか」であって、英語を使用して実際に何かをすること、話したり書いたりしてコミュニケーションする能力についてはほとんど意識が払われません。
こういった風潮がちょっとやそっとのことで変わるとも思えないので、日本国内にいながら英語を習得したい人は、学校教育などに頼らずに自分に合ったやり方を探るしかなさそうですね……。
おまけ
せっかくなので「わたしは実際にどのような教材を使って英語を勉強したのか」を紹介しておきましょう。
個人的には TOEIC は特に英語の勉強にはならないと考えていますが(そもそも問題がビジネス文書・ビジネス会話ばかりで鑑賞に耐えられるものではなく、学習がひたすら退屈で苦痛なものになってしまうため)、一方で TOEFL のほうは結構楽しく勉強できたんですよね。
以下のような TOEFL のスピーキング教材を通して培った技能は、TOEFL 受験だけではなく実際の会話やスピーチの場でも有用なはずです。
ライティングでしたらこちら。わたしは大学で課題として出されたエッセイを執筆するときなどに、現在でもこの本から得た知識が役に立っています。
【CD付】TOEFLテストライティング問題100 改訂版 (TOEFL(R)大戦略)
「学校英語」と「実際の英語」の相違について関心のある方はこういった本も面白いかもしれません。
日本は幸い「世界で最も英語教材が豊富な非英語圏の国」でしょうから、まともな教材と学習法さえ得られれば、国内にいたままでもかなり高度な英語運用能力に到達できるのではないかと思います。