京都で幕末サミット 会津若松市など共同宣言、未来志向で交流へ

   
大政奉還の舞台となった「二条城二の丸御殿大広間」で共同宣言署名式に臨む参画都市の代表者。左端上段が会津若松市の斎藤副市長=京都市

 徳川幕府が朝廷に政権を返上し、近代日本への転換点となった「大政奉還」から150周年。大政奉還の舞台となった京都市・二条城などで13日、幕末に関係が深い会津若松市など全国の22都市が一堂に会する「幕末サミット」が開かれた。幕末に敵対した各藩ゆかりの自治体が参加し、「歴史に学び、地域でつながり、未来に活(い)かす」との共同宣言を採択し、未来志向の連携・発展を誓った。

 幕末維新の中心的な舞台となった京都市が、会津若松市や鹿児島市、山口県萩市などに呼び掛けて始まった「大政奉還150周年記念プロジェクト」の一環。

 将軍徳川慶喜が1867(慶応3)年10月13日に大政奉還の意向を各藩の重臣に示した二条城の「二の丸御殿大広間」で共同宣言署名式を行った。普段は立ち入ることのできない部屋のため、自治体代表者が神妙な表情で式に臨んだ。京都市の門川大作市長は「先人に学び、相互交流を通じて未来につなげることが重要。会津若松市とは今後も連携を深めたい」と語った。

 別の公務のため出席できなかった室井照平会津若松市長は「大政奉還150周年の節目に、未来に向けた宣言が採択されたことは意義深い。来年の戊辰150年では会津藩の歴史的意義の再認識を図り、地域の発展につなげていく」とした。

 参加自治体代表者がそれぞれ歴史や文化を紹介した。会津若松市の斎藤勝副市長は来年の戊辰150年について「先人の功績を顕彰し、戦没者の鎮魂をしていく」とし、戊辰戦争のわだかまりについて「過去へのこだわりはあるが、未来志向で交流の輪を広げることには賛同する」と語った。

 戦争長期化回避、磯田さんが評価

 本紙連載「維新再考」に登場した歴史学者の磯田道史さんもサミットに出席。磯田さんは「大政奉還をせずに戊辰戦争に突入していたら、幕府の軍事動員に応じる藩が増え、戦争は長期化した」との見方を示し、大政奉還によって比較的短期間で決着がついたとした。一方、幕府側は大政奉還後の新たな政権構想を研究しており、「この点の幕府側の姿勢はもっと評価されてもいい」と語った。

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