jdジャックダニエルの記事に対するコメントでヒートアップしている話題として、ジャックダニエルはバーボンか否か、という議論があります。

ジャックダニエルはテネシー州リンチバーグで作られていて、テネシーウイスキーとして知られており、メーカーもそれをメインに推しています。

しかしながら、アメリカの法律では、バーボンを、スパークリングワインにおけるシャンパンや、ブランデーにおけるコニャック、アルマニャックのように産地を限定しておらず、ジャックダニエルがバーボンの一種とされるというややこしい事態が存在しています。

バーボンとは、厳密に言えば、ケンタッキー州バーボン郡で作られるウイスキーとされています。

一方でアメリカの法律上では、ケンタッキー州バーボン郡でなくても、下記の基準を満たすとバーボンと名乗れます。
  • アメリカ合衆国内で作られること
  • 原料にトウモロコシを51%以上使うこと
  • 蒸溜時のアルコール度数は80度以下にすること
  • 内部を焦がした(チャー)新品のオーク樽に2年以上貯蔵すること
  • 樽に貯蔵する際のアルコール度数は62.5度以下にすること
  • ボトリングの際のアルコール度数は40度以上にすること
極端な話、ケンタッキー州から遠く離れたカリフォルニア州やアラスカ州で作っても、上記の条件を満たしていると、バーボンを名乗れてしまうのです。
ジャックダニエルもこの条件を満たしているので、「法律上、ジャックダニエルはバーボンだ」という結論が出るわけです。

しかし、本当にこれでいいのでしょうか?
本場のバーボンを買ったと思ったのに、実際には全く違う州で作られていると知ったらがっかりするでしょうし、バーボンの名に傷が付くことでしょう。
法的にそうなんだ、という人たちは、職人たちの思い入れやロマンなど全く理解できないナンセンスな連中だと思います。

その点で言えば、バーボンを作るケンタッキー州バーボン郡の蒸溜所、メーカーにとっても、テネシーウィスキーとして売るジャックダニエルにも幸せとは言えません。
やはりシャンパンやコニャックのように、バーボン郡のウイスキーと地域を限定した方が同じ基準でわかりやすく、ブランドイメージも高まると思います。

近年になって、ジムビームを売るビーム社をサントリーが買収しましたが、これを機に、バーボンというブランドをバーボン郡のウイスキーだと確固たるものにすべく、政治活動をしてもらいたいと思うのは私だけでしょうか。
----------------------------------
<2017/10/3 追記>

多数のご意見を頂戴し、誠にありがとうございます。

こうした議論を起こさないと、ジャックダニエルはテネシー・ウィスキーなのか、バーボンなのか、うやむやで終わってしまいかねません。

ご意見をいただき、興味深かったのが、現状のアメリカンウイスキーの9割がケンタッキーストレートバーボンで、間違いが起きることがほとんどない状況では、法改正は難しい、というものでした。

そうなると、バーボン郡以外のウイスキーが高いシェアを築き、アメリカ国外で正真正銘のケンタッキーストレートバーボンだ、と名乗るような自体にもならない限り、すっきりした法改正は成り立たないかもしれません。

そもそも、法律自体、民衆同士での争い、トラブルに対して、解決する基準になるものであることが前提です。
しかしこうやってテネシー・ウィスキーがバーボンと一括りにされて、こうした議論を巻き起こしていること自体、その法律は欠陥だと言えるのではないでしょう。
是正されることを切に願います。

なお、送られたコメントの中で、罵詈雑言しか殴り書きしないものや、この記事以外にコメントを立てて、勝ったの負けたのとレベルの低い的外れなもの、単に嫉妬レベルの情けないものについては、公開に値しないとして独断で削除しました。

まぁ、ここは私が道楽で評論家のまねごとをして書いているだけのサイトです。
これをウイスキー選びのツールにしていただければ幸いです。

しかし、こんな素人にかみつく連中はもっと低レベルだとさらしているのにも気づかないのでしょう。

別に、このブログで生活費を稼ぐわけでもなく、クレームを叫ぶ相手にもペコペコ謝る必要がないので、嫌なら見なければいい話です。
こんなブログでも好き好んでみてくださる方だけで結構です。

かみつくなら、土屋守先生にでも挑んでください。