技術開発室だより-
その他いろいろ

その他/CF型フランジ・ガスケット関連
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床面に対して垂直になっているフランジにガスケットをはめる簡単な方法ってないですか?
 テーパーシール型"IPD"ガスケットのご使用をおすすめします。ほんの少しだけ楕円形になるように曲げてフランジにはめれば、あらびっくり。今までの苦労がウソみたいです。
 何が何でもでもIPDガスケットをご使用なさりたくない方、あるいは止むにやまれぬ事情(よろしければ、どんな事情かお知らせ下さい)で板状ガスケットを使わざるを得ない方、以下をご参考下さい

 某有名真空コンポーネントメーカー"キ○ノン○ネルバ"社から「ガスケットクリップ」なる製品が販売されています。垂直フランジ面にガスケットを押さえつけるための治具で、なかなかのアイディア製品だと思うのですが、使用方法等、詳しくはメーカーにお問い合わせ下さい。

 付箋紙を使う方法もあるようです。JVST誌上で紹介されています(Journal of Vacuum Science and Technology A,17 (1999) p.673)。発刊元の著作権の都合上、ここでは内容を紹介できませんので、お近くの大学図書館等で記事をご覧下さい。

 「タダで済む方法はないのか?」とおっしゃるアナタ。業界の一部で細々と伝授されている方法をお知らせします。 下の図のように、ガスケットの外周部をほんのちょっとだけニッパでつまんで、ひねりながら外側に引っ張ると、小さなバリができます。この要領で2~3カ所バリを出してフランジにはめれば、バリがストッパーになって、ガスケットが落ちなくなります。どなたが考えたか知りませんが*1、私は学生時代にこのワザを師匠から受け継ぎました。

 板状ガスケットは普通、打ち抜きで作っていますので、端がダレている面とダレていない面があります。ダレている面からバリを出そうとしても、うまくいきません。ダレていない面 からバリ出ししましょう。また、言うまでもないことですが、シール面が形成される部分をニッパで傷つけないよう注意してください。新品のガスケットをダメにする前に、使用済みのガスケットで練習されることをお勧めします。(追記:この方法が論文誌または書籍で紹介されているという噂を聞きました。ご存じの方、情報をお寄せ下さい)

銅のガスケットって、どのくらいの温度まで使えるんですか?
 簡単なようで、けっこう難しい質問です。 CF型フランジ用の無酸素銅製ガスケットはビッカース硬さが80~90位 のものが普通ですが、200℃を超えた辺りから急激な軟化が始まり、250℃から350℃にかけて室温時の硬さの半分か、それ以下(ビッカース硬さで40~30位)まで軟らかくなってしまいます。こうなると、当然シール面圧が下がってリークしやすくなります。
 一方、ステンレス製フランジの使用温度範囲は概ね-200℃~+450℃とされています。当然ですが、ここに挟まれた無酸素銅ガスケットも450℃まで加熱される可能性があるわけで、「無酸素銅ガスケットは200℃までしか使えない」と決めつけてもコトの解決にはなりません。200℃を超えるベーキングをしたときにはボルトが緩んでいないかどうか確認して、必要に応じて増締めをするという定石通りの対応が、とりあえずの正解だと思います。

じゃあ、アルミのガスケットは、どのくらいの温度まで使えるんですか?
 ガスケットに限らず、アルミ製(あるいはアルミ合金製)の真空コンポーネントのベーキング温度は、150℃が上限、というのが通 り相場になっているようです。150℃の根拠については、「この温度を超えると材料にス穴が空く」とか「150℃を超えると急に軟化する」とか「表面 がアルマイト化する(ホンマかいな)」とかいう話が聞こえてきますが、当方不勉強につき、よくわかりません。ご存じの方、情報をお寄せ下さい。

ついでに、ニッケルのガスケットは、どのくらいの温度まで使えるんですか?
 当社のICNガスケットは、500℃を超える温度の中で、一枚一枚丹念に心を込めてアニールしてから皆様のお手元にお届けしています。つまり500℃を超える温度でアニールすることによって、やっと軟化するのであって、お買い上げ頂きました後、お客様が450℃位 までベークされましても殆ど軟化いたしません。 腐食性プロセスはもちろん高温ベーキングも安心のICNガスケットを、あなたのお手元にもぜひ。

 

*註1:ある私立大学にお勤めの方より「ニッパによるバリ出し」の考案者に関する情報をご提供頂きました。特許等の工業所有権に触れるかも知れませんので詳しくは書けませんが、日本のある真空関連企業の経営をされていた方が「ポンチ打ち」の手法を、また、公立大学の先生が 「ニッパによるバリ出し」を考案されたのではないか、とのことでした。
貴重な情報をお寄せ頂き、ありがとうございました。


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