技術開発室だより-
IPD-Gの奥義

IPDガスケットについて
Rarely Asked Questions

IPDガスケットを使うときに、何か特に注意しないといけないことってありますか?
 「IPDガスケットは初めてなんです」というお客様、何も怖いことはございません。気持ちを楽にして、今までお使いの板状ガスケットと同じ要領でお使い下さい。
 ですが、一つだけ気をつけて頂きたいことがございます。IPDガスケットは板状ガスケットに比べてかなり細く、特に大きなサイズのものは曲がりやすくなっています。パックからガスケットを取り出すときは、はさみやカッターでパックの縁を大きく切り取って、ガスケットに大きな力がかからないように、ゆっくり取り出してください。また、ガスケットをアルコール等で拭くときにも、あまり力を入れずにやさしくお願いします。
 IPD-305Gを力まかせにゴリゴリ拭いたりすると、ハッと気がついたときには、思いっきり楕円形になっていたりします。人に見られたりすると3分間くらい笑われたしますので、注意してください。

締め付けトルクは、どのくらいが適当なんですか?
 特に問題のあるフランジで使われるのでなければ、板状ガスケットの時と同様のトルクでお願いします
 エッジに傷がある・溶接歪みが大きい・シール面まで電解研磨しちゃった、等の問題がある(つまり、板状ガスケットだとシールが難しい)フランジでお使いの場合も、「何も問題がないフランジだったら、多分このくらいでOK」というトルクからスタートしてみてください。
 IPDガスケットの使用感に慣れてきましたら、板状ガスケットを締めていた頃よりも少し軽めに締めてみてください。IPDガスケットは板状ガスケットよりも大きなシール面積が得られるという特長がありますので、たぶん問題なく使えると思います。少なくとも、板状ガスケットよりも大きなトルクが必要、ということは無いでしょう。

「繰り返し使える」と聞きましたが、何回くらい使えるんですか?
 かなり答えに窮する質問です。ガスケットのサイズ、フランジの状態、締結トルクの管理状況、外したガスケットの保管状況等によって繰り返し使用可能回数は大きく変わり、はっきりとした目安を示すのは困難です。但し、200℃を超える温度でベーキングしたガスケットはかなり軟化していますので、繰り返し使用は慎重にお願いします。 ちなみに、私がIPD-152Gを室温でテストしたときには、20回繰り返してもリーク無しという結果でした。それ以上の回数は面倒臭くてテストを続ける気になりませんでした。
 まさか、お客様の中には20回以上繰り返し使われる方はいないだろうと高をくくっていましたが、先日、実際に25回繰り返し使ったという方からご連絡を頂きました。素晴らしい。小社一同、お客様の業績を称えることにやぶさかではございません。でもホントは、もう少し鷹揚に使って頂いて、新しいのを買って頂きたい
 話が逸れて失礼致しました。 実際には「どのくらい繰り返し使えるのか知らんが、3回程度でやめておく」というお客様が最も多く、次いで「一回使ったガスケットは2度締める気になれない。だいたい、そんな中古のガスケットを締めてリークしたら、またボルトを全部外してやり直しじゃないか」と言う御意見が多うございます。一方、少数派になりますが「締めた結果がダメなら、もう一度締め直せばいい。ガスケットの値段だってバカにならないんだから、できれば10回は使う」という方もいらっしゃいます。しかし、くどいようですが、もう少し鷹揚に使って(以下略)。
 総括しますと「がんばれば、かなりの回数使えそうだけど、そのために細かくトルク管理をしたり、外したガスケットを大事に保管したり、もしもリークしたときに2度手間になっちゃうのがイヤ」という方が大多数ではないでしょうか。IPDガスケットの繰り返し使用可能回数は物理的要因ではなく、人の心が決めるというお話でした(←すごい結論)。

どのくらいの真空度まで使えるんですか?
 いいですねえ、「真空度」っていう言い方。「圧力」という呼び方に変えようよ、という提案が出て久しいのですが、真空の現場では、まだまだ「真空度」が健在です。そういえば、TorrもまだまだPaに負けずにがんばっていますね。計量法改訂なんかどこ吹く風ってなもんです。

 失礼しました、IPDガスケットの使用可能圧力範囲の話でした。
 IPDガスケットのシール性能は通常の板状ガスケットに比べ、何ら遜色ございません。また、IPDガスケットは、通常の板状ガスケットと同様の無酸素銅から製作していますので、ガスケット自体のガス放出速度は板状ガスケットと変わりません。つまり、板状の無酸素銅ガスケットを使った場合の到達圧と、IPDガスケットを使った場合の到達圧は、原理的に変わりません。 実際に大学・官公庁の研究室で、到達圧が10-10Pa台の装置にIPDガスケットを使用して頂いている例もございます。が、たかがガスケット。ちょっと変わった形のガスケットだからと言って論文に紹介して頂けるはずもなく、IPDガスケットの存在と実力は、いつまでも「知る人のみぞ知る」です。 極高真空に到達するポテンシャルをもつ装置があるのに、頻発するリークに疲れて実験をあきらめてしまった先生方!「IPDガスケットを使ったらスローリークが止まった」との喜びの声も少なからず頂いております。IPDガスケットで、自慢の装置をフル稼働させてください!!そして、論文に「テーパーシール型ガスケットを使用」と明記してください!!!!(ヤケクソ)


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