こんにちは。新宿旅Bar店長のたいと(@taito212)です。
現在は旅と表現をテーマに活動中、『Less is more ~持たない暮らし~ 』を提唱するために、手作りのオーバーオール一つでアジアを2ヶ月間周遊したり、旅人が集うコミュニティづくりとして新宿の旅Barあちゃあちゃの土曜日店長をしています。
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今世紀最大の名著に出会った日
先日、早起きしたので友人との待ち合わせで、相手より一時間早めに集合場所の新宿に行ってみました。
一時間も早く着いたんで、「あー暇ぁー。なんかねーかなぁ。」と思って、本でも探しに行こってことで紀伊國屋に行きました。
曲がりなりにも美大生なんで、芸術系のフロアに行こうと思ってエレベーターに乗ったんですが、間違ってその下の「子供・絵本」のフロアで降りてしまいました。
どうせ暇だったんで、「なつかしいなぁ」とか思いながら、そのフロアを散策し、幼少時代、少年時代に読みふけった絵本や本を手に取ったりしていました。
「グリとグラ」、「大泥棒ホッツェンプロッツ」、「十五少年漂流記」、「デルトラクエスト」、「アルセーヌルパンシリーズ」、「かいけつゾロリ」・・・etc。
タイトルを見るだけで、小学校の下校や雨の日の教室を思い出して感慨深い気持ちになっていました。
最近の絵本も見てみて、「大人が読んでも面白い絵本が多いなぁ」と感じていたその時。
僕は出会ってしまったんです。
今世紀最大の名著に。
その本のタイトルとは・・・・・
「つまんない、つまんない」
つまんない つまんない (MOEのえほん)
- 著者ヨシタケ シンスケ
- 価格¥ 1,404(2017/10/14 04:31時点)
- 出版日2017/05/17
- 商品ランキング4,108位
- 単行本32ページ
- ISBN-10459276210X
- ISBN-139784592762102
- 出版社白泉社
この斬新なタイトルの子供向けの絵本。これが”おもしろ”かったんですよ。
漠然と人生がつまんないって感じてる人!マジで読んでほしい。
絵本ってシンプルに深いこと言ってんのよ、これが!
僕はこの絵本を読んで”つまんない”という概念の難しさ・おもしろさに気づかされました。
絵本「つまんない、つまんない」を読んで気づいたコト。”問い”を繰り返すと本質に近づく
主人公のキャラクターはちょっと可愛げのない少年。
その日はやることがなくて、「つまんない」と嘆いています。
そして主人公はありとあらゆることに「なぜ?」をぶつけることで、子供ながら、なぜ自分が今”つまんない”のかを掘り下げていきます。
ずーっと、なにかが同じってことがつまんないのかな・・・?
違えば違うほどおもしろいのかな・・・?
一番つまんないのって何歳だろう・・・?
一番つまんないことってなんだろう・・・?
おじいちゃんはつまらない思い出を喋ってる時ちょっと楽しそう・・・。
ダンゴムシはつまらないとか思うのかな・・・?
たのしそうにしてるけど、本当はつまんない人っているのかな・・・?
なんか哲学チックですよね。
そうやって自問自答していく中で、世界一つまんない遊園地ってなんだろうって考え始めたら、つまんないことをいっぱい考えるのが楽しくなってきちゃう自分に気づいたり。
「大人なら・・」、「ダンゴムシなら・・」と条件を変え、いろんな観点から”つまんない”を分析します。
主人公はPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを回しながら、つまらない→おもしろいに転換する試行錯誤を繰り返しています。
「なぜ?」を掘り下げないと、好奇心と常識が凝り固まっていく大人になるぞ
本の中で男の子は
大人はつまらない時どうしてるんだろう・・・?
ってことを考えます。
大半の大人って、改めて「つまらない」なんて言うこと自体、大人として恥ずかしいことって思ったり、それこそ「楽しそうにしてるけど、本当はつまんない」人もいるでしょう。
「そんなことより、仕事仕事。」と、”つまらない”を掘り下げず、忙しさで自分の感覚を麻痺させて、なんとなく自分の中の正解を持ってる大人もいると思います。
それはそれで一つの生き方。
ただ僕は、それで感性が鈍ってくぐらいなら、とことん”つまらない”を突き詰め、”おもしろい”に変える、もしくは、”つまらない”ことの中に”おもしろい”を見つけたいと思います。
人生が”つまらない”を解消するために必要なこと=『退屈』
”つまんない”と思ったら、この主人公みたいに”つまんない”を掘り下げるべきです。
そのために必要なのは、思考を邪魔しない時間、つまり『退屈』です。
「”つまんない”から何かしたい」そう思っても、忙しい日々に追われていると忘れがちな自分に着いて考える時間。
人は楽しんでいる訳でも必要な訳でもなく、Instagramでストーリーを見たり、LINEのチェックをしたりして、なんとなく人と繋がっている感覚をぼんやり得たりします。
スマホが発達してから、人はいつも何かしらをしていて、何もしないことがありません。
ぼんやり何かをしてる時、一旦全部無くしてみてください。
スマホもネットもテレビも。
敢えて自分から『退屈』を作り出すんです。
「あー暇だなー。なんかねーかなー。退屈だなー。つまんないなぁ」って。
そして、一日がつまんないって感じてる人は自分に問うてみてください。
なんでつまんないんだろう・・・?
仕事ばっかだからかな・・・?
仕事はなんでつまんないんだろう・・・。
やらされてるからかな・・・?
成長が感じられないからかな・・・?
人間関係がうまくいってないからかな・・・?
とか。
子供よりちょっと複雑な”問い”になりますよね。掘り下げてみると、意外と重要な事実に気づくことができます。
退屈は”つまんなさ”を生み、掘り下げると”おもしろい”が見つかる。
退屈を持て余しすぎてたら楽しくなった僕の話
暇すぎてインドでカレーを売った話
大学の夏休み中、インドに長期滞在していました。3ヶ月間もいたので後半は退屈すぎて、観光にもインド料理にもへきへきしていました。
殺人的に暇を持て余したある日の深夜、僕は友達とリビングでだらだらしていました。
殺人的に暇な状態から、インドでの僕たちの遊び「カレー屋台プロジェクト」は始まりました。
普通の人なら夜中の飲みの席で話した会話なんて、翌朝には忘れてるかもしれませんが、なんせ僕たちは九州男児のくせに超下戸・・。お酒もほとんど飲みません。翌朝早起きして早速作業に取りかかりました。
外で調理ができるようにガスコンロとガスタンクを購入。
シェアハウスにあったテーブルを借りパクして、インドの女性用のサリーを巻いて、即席屋台を作りました。
本来なら調理師免許とか出店許可とかいるんでしょうが、そこはインド。関係ありません。
僕たちは細切れにした野菜と鶏の肉と米を即席の屋台に積んで、ローカルマーケットに飛び出しました。
果物や野菜を置いている屋台の横に僕らは居を据えると早速調理、そして販売を始めました。
『ジャパニーズカリー。ジャパニーズカリー!』
大声で叫んでいると、「日本人が珍しいことしてる」と、興味を持ってくれる人が少しずつ寄ってきました。
スラムの子達が周りに集まってくれましたが、その子たちはお金は持っていません。
ただでカレーをあげてしまっては、この先営業できないのであげたい気持ちを我慢してあくまで20ルピーで販売しようと声かけを続けました。
すると、ローカルマーケットには珍しいスーツのおっちゃんが近づいてきて、
「この50ルピーで子供たちにカレーを売ってやってくれ」と僕らのカレーを買ってくれました。
「おっちゃんかっこええ!!」とはなったんですが、
よくよく考えてみると子供たちが5人くらい集まっていたのに、50ルピーを渡された僕らは、一体カレーを何杯作ればいいのかわからず、ここは50ルピーをかっこよく渡してくれたおっちゃんのメンツもあるし、初回購入者割引ということでそのおっちゃんの分も合わせて6杯分のカレーを作りました。
こんなサービスをしていては、最初から赤字の勢いでした。
しかし、買ってくれる人がいる!と自信を付けた僕たちのテンションはハイになっていました!
「ジャパニーズカリー!ジャパニーズカリー!」
場所を人が集まる交差点に変えると客足が伸びて、僕たちは2人で作業を分担してカレーを大量生産しました。
予想以上に人が集まって、アガリまくっていた僕たちは翌日試練にぶつかります。
翌日も同じように販売しようと意気込んでいたところ、僕たちが売ったカレーを一口食べて目の前でカレーを地面に叩きつけ、「こんなまずいもの食えない!」といったような言葉(おそらく)を吐き捨て去っていった輩が現れたのです。
僕は怒りに震えそいつに一矢報いようとしましたが、カレーを捨てた男は去り際に言いました。
僕たちは気づきました。日本のドライカレーを作ろうとはしていましたが、そもそもインドにカレールーがないので、インドの調味料を使って日本カレーを再現していたのです。
そして、それはインド人の舌には少し合わない。それから僕たちは、インド人の舌にもあうオリジナルな日本カレーを目指すことにしました。
まず、味を改良しないといけないと思って、営業中に面白がって周りに集まってくるスラムの子供たちを仲間にしました。
スプーン一杯ぶんのカレーを食べさせて、感想を聞きました。
その子供たちがめちゃめちゃ可愛いんですが、一杯食べると「ソルト!モア、ソルト(もっと塩を多く)」とか「レス ターメリック(もっとターメリックを少なく)」とかインド人観点でアドバイスをくれました。
何杯も食べたいいたずらっ子がふざけて「もうちょっと食べないと分かんない。」と言ってきたりw
僕たちはそんな5〜8歳くらいの子供たちに
と毎回頭を下げながら、インド人の舌に合うようにと毎日試行錯誤を重ねました。
子供たちから「これだ!パーフェクトだ!」という太鼓判をもらった僕たちが次に目指したのはローカルマーケットの覇者でした。
やっているうちにお客さんの中で、英語もヒンディ語も話せる青年が「通訳を手伝ってやるよ」と僕たちの屋台プロジェクトにジョインしてくれ、コミュニケーションも味も問題なくなり、毎日ローカルマーケットに通い続けたことから、近所の人からも知名度を得て行きました。
子供たちは一口分のカレーをスプーンに入れて、「ジャパニーズカリー!ジャパニーズカリー!」と道端を回る営業をしてくれ、人だかりができた時には皿を配ってくれる子供もいました。
それから僕たちの屋台を待ちわびてくれる人が出てきて、屋台で毎晩カレーを買ってくれる人が増えました。僕たちの屋台の周りには大量に人が溢れかえり、道の反対側にいる屋台のお兄さんに
「お前らがいると俺らの商売はあがったりだよ!」と半ば冗談、半ば本気で怒られたり。
僕らが屋台をしている道は人だかりのせいで、車が通れないと警察が来たり。
僕たちの屋台はそれほどの人を集め大成功しました。まさに僕らが描いていたローカルマーケットの覇者。
「今日もたくさん売れたー」と気持ちよく帰ろうとしたある夜、一人の酔っ払いが僕らの屋台に来ました。
かなり酔っ払って、千鳥足の口も回らない大声で絡んで来た若者でしたが、お客さんなので一杯分作って渡しました。
するとカレーを口にした彼は言いました。
・・・・・・・・・・・・・・あ、確かに・・笑
僕と友人は顔を見合わせました。
酔っ払いって本質付いてくるもんですね。
僕たちはインド人の子供に媚びて媚びて、インド人の舌に合うように改善に改善を重ねた結果、インド人好みのジャスミン米を使い、インド人好みのターメリックとマサラを使い、インド人の好きな唐辛子を入れていました。
そうです!”ジャパニーズ”要素が皆無だったんです!笑
それからというもの僕たちは、使ってもいない業務用の醤油のボトルを屋台に置き、邦楽をガンガンにかけるコトでジャパニーズ要素を加えました笑(味は変えてません)
そんなこんなでインド屋台プロジェクトは絶好調でした。
最終日、僕らはいつも僕たちの側で手伝ってくれた子供たちが住むスラムに行きました。
ヒンディ語で「FREE(無料)」と書いたスケッチブックを掲げて、スラムの子供やその兄弟、家族たちにカレーを無料で配りました。僕たちがカレーをたくさん作っていると、スラムのみんなにカレーが行きわたるようにと、屋台の周りに群がる小さい子たちを整列させて、一人一人にカレーを配っているいつも通り働き者の子供たちがいました。
スラムには、僕らのカレーを美味しそうに食べてくれる子供たち、そしてその家族の顔がありました。
僕は子供たちの力強さや優しさを目の当たりにし、この思いつきで始めたプロジェクトに初めてやってよかったと心から思いました。
僕たちが暇すぎて始めたプロジェクトは、僕にとって挑戦することの原体験のような貴重な経験でした。スケジュールを決めたような忙しい旅行では絶対にできないことだと思っています。
始まりをたどると、「暇〜。なんかしよー。」だったんです。
君に必要なのは休息。そして一定量の退屈が爆発的なエネルギーを生む
エネルギーを生むには一定量の退屈が必要です。
仕事に追われ、学校の課題に追われいる人は人間が必要な退屈を消化しきれていません。
人は洗濯機を発明し、掃除機を発明し、日常生活において必ず割かないといけない時間を短縮することに成功しています。
交通機関は移動時間を短縮し、ネットは情報の入手を高速にしました。
しかし、その溢れかえった情報がせっかく手に入れた時間を奪ってしまうことがあります。
本来、文明によって人間が使えるようになった貴重な時間をコントロールしきれず、文明によって無駄に消費してしまうのはもったいない。
こんな時代だからこそ、『忙しい』毎日を立ち止まってください。
忙しいばっかりの人は、本当のおもしろさに気づくために、新しい発想を生むために、つまらない人生を楽しくするために、敢えて『退屈』な時間を”スケジュール”することをオススメします。
毎週土曜。新宿旅Barあちゃあちゃで店長してます。暇人大歓迎!
新宿の隠れ家的Barで毎週土曜日の7時〜翌5時まで営業してます。旅する人でも旅してない人でも歓迎!暇な人は超歓迎です。
15人もはいれば、窮屈なくらいの狭いバーですが、ここでの出会いの密度も濃く、土曜に夜な夜な集まる暇人たちで毎週新しいことを企んだりしてます。
それでは土曜日にお待ちしてます。
これる人はおいで。来れない人ははてブ。
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