日常生活において、自身で食料品の買い物や病院での支払い、または年金や保険料の手続きなどを行う際の判断力が衰えた人をサポートすることが、成年後見人の役割です。
成年後見人に支援を受ける成年後見制度では、いくらかの報酬が発生します。今回の記事で、成年後見人に支払う報酬額について、そしてその報酬額の決め方について知ることで、成年後見制度を利用する際の不安を少しでも減らしましょう。
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【目次】
■成年後見人の報酬額
・報酬額の相場はおよそ2万円から6万円
・基本報酬
・付加報酬
■成年後見人の報酬額の決め方
・成年後見人が報酬付与申立てに必要な書類
・報酬額の決め手になる職務内容と財産状況
・成年後見人の報酬額の決め手となるもの
■報酬が支払われる時期
■もし報酬が払えない場合
・成年後見制度利用支援事業とは?
■まとめ
まずは成年後見人制度を利用した際の報酬額に関する内容を確認しておきましょう。
成年後見人の報酬額の相場はおよそ2万円〜6万円とされています。この金額は地域によって物価水準が異なることが原因で、各地域の家庭裁判所によって定められている金額は異なります。
そのため、そもそも成年後見人が自ら自身の仕事に対する報酬を決めることができず、家庭裁判所がその報酬を決めているのです。法律や福祉の専門家である弁護士・司法書士・社会福祉士などが成年後見人の役割を務める場合は、当然報酬が発生します。
しかし、報酬額が高くはないため、成年後見人だけで生計を立てている法律や福祉の専門家はほとんどいません。どの専門家も多数の仕事の中の1つとして成年後見人の仕事を引き受けているのです。
報酬を受け取るには一般的に、毎月ではなく1年間に1回か半年に1回ほどの頻度で家庭裁判所に対して、報酬付与の申立を行う必要があります。もし、被支援者の親族などが成年後見人を務めているのであれば、報酬を辞退することもでき、報酬をもらわずに被支援者のサポートを行っている親族も少なくありません。
そのため、必ずしも成年後見人に報酬を支払わなければいけないわけではないことが特徴です。
成年後見人の基本報酬とは、通常の後見事務を行った場合に支払われる報酬ですが、その報酬金額は被支援者の財産によって左右されます。
一般的な基本報酬の金額は以下のような目安が裁判所から公示されています。
被支援者の管理財産が1,000万円以下の場合 |
報酬月額2万円 |
被支援者の管理財産が1,000万円以上、5,000万円以下の場合 |
報酬月額3万円〜4万円 |
被支援者の管理財産が5,000万円以上の場合 |
報酬月額5万円〜6万円 |
なお、成年後見人が複数いた場合は、その人数によって等分されます。
もし成年後見人の業務内容が以下のような身上監護などで、特別に困難な事情があった場合は、その成年後見人の基本報酬額の50%の範囲内で相当する報酬が、付加報酬として支払われます。
被支援者が多数の収益不動産を所有しており、管理が複雑である場合
親権者の間で意見の対立があり調整をしなければならない場合
成年後見人の不正が発覚し、新たな成年後見人がその対応を行った場合
また、成年後見人が以下のような特別な行為をした場合に限り、その行為に相当する報酬が更に支払われます。
被支援者が不法行為を受けたことで起こした訴訟に勝訴したことで、被支援者の管理財産額を1,000万円増加させた場合 |
約80万円〜150万円 |
被支援者の配偶者が亡くなったことによる遺産分割調停を申立て、調停を成立させて2,000万円の遺産を被支援者に取得させた場合 |
約55万円〜100万円 |
居住用の不動産を任意売却したことで、3,000万円分の被支援者の療養看護費用を賄うことができた場合 |
約40万円〜70万円 |
成年後見人の報酬は、家庭裁判所が成年後見人の提出する資料によって、その金額が決定されます。
成年後見人の報酬を得るためには、家庭裁判所へ報酬付与の申立てを行い、報酬付与の審判を受ける必要があります。そして、報酬は被支援者の財産から成年後見人へと支払われます。この報酬付与申立てには以下の余類が必要です。
報酬付与申立書
報酬付与申立事情説明書
付加報酬を求める場合の資料
以下は、後見など事務の報告に関する資料の一例です。
後見等事務報告書
財産目録
報告対象期間部分の預貯金通帳の写し
(専門職の場合)収支状況報告書
その他の裏付け資料
申立人又は本人の住民票移し又は戸籍の附票写し
成年後見人の報酬額の基準は法律では決まっていません。そのため、家庭裁判所の裁判官が該当する期間中の成年後見人の後見などの事務内容や、成年後見人が管理する被支援者の財産状況などを元に適性金額を算出しています。
成年後見人として、特別な行為を行った場合はその内容を報告する必要があります。その内容を記載する資料が「付加報酬を求める場合の資料」です。この資料には決まったフォーマットはありません。
そのため、成年後見人として苦労したことや財産確保をするために行ったことなどを中心にまとめて書きます。ここでは裁判所にいかに成年後見人として、難しい職務を行ったかをアピールするといいでしょう。
この記載内容を元に、裁判所がその行為の大変さや被支援者の財産状況を考慮して付加報酬を算出します。
ここまでご紹介してきた成年後見人の報酬額を左右する要素を最後におさらいしておきましょう。
特別な業務(訴訟・調停・遺産相続の協議・不動産売却など)により、被支援者の金融資産増加に貢献すれば成年後見の報酬は高くなる
被支援者の金融資産が多ければ、成年後見の報酬は高くなる
親族後見人よりも、専門職に就いている第三者が後見人となる方が成年後見の報酬が高くなる
成年後見人へと支払われる報酬は、家庭裁判所の審判によって決められます。そのため、その金額が確定するまで支払いが行われません。家庭裁判所へ報酬付与の申立を行い、報酬金額に関する審判が下されると報酬金額について通知があります。
その通知をもって、報酬を受け取る権利を得るのです。そして、報酬付与の申立は一般的には、成年後見人としての役割を終えた時や、役割を請け負ってから1年間経ってからとなります。
被支援者の親族が成年後見人となってくれれば、報酬の心配はありません。しかし、近年では親族が成年後見人とはなれずに第三者にお願いせざるを得ないケースも増えてきています。経済的な理由で制度が利用できないということは、大きな問題といえるでしょう。
このような人は、各市町村が設けている「成年後見制度利用支援事業」を利用することをおすすめします。
この制度は経済的な理由で成年後見制度が利用できない人を支援するための制度で、各自治体が成年後見制度を利用する場合にかかる費用の全額または一部を助成してもらうことが可能です。制度の内容や制度利用者の基準は各市町村役所によって異なるため、居住地の役所へ問い合わせてみましょう。
いかがでしたでしょうか?
成年後見人の役割は、日常生活における判断能力が低下した人にとっては非常に重要なものです。そのため、それ相応の報酬が発生していることがお分かり頂けたでしょう。
また、成年後見人に支払う報酬は、被支援者の財産状況を元に家庭裁判所がその金額を設定するため、あまり金融資産を持っていない人であっても成年後見制度を利用することが可能となります。
具体的な報酬額はそれぞれの地域や被支援者の財務状況によって違いが出るため、成年後見制度利用にあたって金銭的な不安がある人は、一度最寄りの弁護士などにご相談されてみてはどうでしょうか?
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