米シャーロッツビルで襲撃された黒人男性を訴追 男性は出頭
米バージニア州シャーロッツビルで行われた極右集会で殴る蹴るの暴行を受けた黒人男性が12日、事件に関連して逮捕状が出されたため、シャーロッツビル警察に出頭した。
ディアンドレ・ハリス容疑者(20)は、8月12日のシャーロッツビル衝突における傷害容疑で拘束された後、保釈保証人なしで釈放された。
しかし8月の衝突直後、複数の白人男性に取り囲まれて激しく殴打されるハリス容疑者の写真や動画が、インターネットで幅広く拡散されていた。この殴打事件については、白人男性2人が悪質な傷害罪で訴追されている。
極右集会で複数の白人に襲われていたアフリカ系米国人の男性を、シャーロッツビル警察が訴追したことについて、驚きと疑念が広がっている。
8月12日には大勢がハリス容疑者が暴行される様子を、ソーシャルメディアで共有した。たとえばザック・D・ロバーツ氏は、「シャーロッツビルの駐車場でさっき、白人至上主義者が黒人の子を棒で殴っていた」とツイートしていた。
別の人物が、ハリス容疑者に襲われたと主張したため、10日に逮捕状が出された。
ハリス容疑者の弁護士S・リー・メリット氏は、容疑者による不法行為は何もなく、警察には起訴相当の理由などないと述べた。
メリット弁護士によると、同容疑者はハロルド・レイ・クルーズという名の男性をけがさせと告訴された。
有罪となれば、ハリス容疑者には最長5年の禁錮刑と罰金2500ドル(約28万円)が科せられる可能性がある。
メリット弁護士によると、特殊教育の指導助手だったハリス容疑者は8月、白人男性たちに襲われて脳振とうを起こし、膝を負傷した。手首の骨にはひびが入ったという。さらに頭部に裂傷を負い、縫合の必要があった。
メリット弁護士は米紙ワシントン・ポストに対し、「非常に不快かつ腹立たしい」と話し、「なにより、ハリス氏を襲った男たちと同じ罪名で、本人が訴追されているのが、きわめて不愉快だ」と批判した。
ハリス容疑者は「右を団結」と銘打ったシャーロッツビル集会の最中、少なくとも白人男性5人に襲撃された。警察署に隣接する屋内駐車場で、倒れるまで殴り蹴られる様子の映像が、当時広くソーシャルメディアで拡散された。
映像では、クルーズ氏とみられる男性に向かってハリス容疑者が懐中電灯を振りかざし、クルーズ氏は南部連合旗の柄でハリス容疑者を鋭い突いている。
メリット弁護士は、ハリス容疑者の懐中電灯は相手に触れていないと力説する。クルーズ氏はツイッターで「南部国家主義者、弁護士」を自称している。
米国では、犯罪被害に遭ったと主張する人は、警察に被害届を出した後、逮捕状の発行を裁判所に請求できる。裁判官は原告の証言に相当の理由があると判断するだけで、逮捕状を発行できる。
シャーロッツビル警察は11日、駐車場の襲撃事件についてジェイコブ・スコット・グッドウィン容疑者(22)を訴追している。
調べによると、アーカンソー州ワード在住のグッドウィン容疑者はプラスチック製の盾を持ち、地面に倒れたハリス容疑者を蹴る様子が撮影されている。
駐車場の襲撃事件については、他にオハイオ州のダニエル・ボーデン容疑者(18)とジョージア州のアレックス・マイケル・ラモス容疑者(33)が先月、悪質な傷害容疑で訴追されている。
ハリス容疑者は、8月の衝突集の前はシャーロッツビルで正規の補助教員として勤務していた。
しかし弁護士によると、ハリス容疑者は事件の影響で、人ごみの中にいると恐怖と不安で発作を起こすようになったため、仕事を続けられなくなった。
極右集会に対抗する抗議運動に参加した地元在住ヘザー・ハイヤーさん(32)は、人混みに突っ込んできた自動車にひかれて亡くなった。
白人国家主義者たちは10月8日にもシャーロッツビルに集まり、たいまつを手に抗議集会を開いた。
集会は今回も、南北戦争で南部連合軍を指揮したロバート・E・リー将軍の像の近く。8月の衝突の中心と同じ場所だった。
近くに集まった。死者を出した8月の衝突で中心となった場所だ。
市議会が銅像の撤去を決めたことに反対する訴訟が係争中のため、像は現在ビニールシートで覆われている。
(英語記事 Black man beaten in Charlottesville far-right rally charged)