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10月13日(金) 安倍首相の悪行が劇場型選挙の幕の陰に隠れてしまった

総選挙序盤の情勢について、世論調査の結果が明らかになってきています。与党は堅調で、野党は苦戦しているというのが大まかな傾向です。  野党の中では立憲民主党に一種の「ブーム」が生じていますが、希望の党と共産党は苦戦していると伝えられています。総選挙中盤戦での反転攻勢によって、このような傾向を逆転しなければなりません。

 安倍内閣への支持率では、不支持が支持を上回っています。安倍内閣が支持されてもいないのに、選挙での投票先として自民党の名前が挙がっているということになります。

 総選挙の公示前に思いもよらない野党再編が繰り返され、劇場型選挙となったことの悪影響が出ているということでしょう。小池百合子東京都知事が希望の党を立ち上げ、前原代表が「なだれ込み路線」を取ったものの「排除の論理」によって民進党は分裂し、新たに立憲民主党が誕生しました。

 マスメディア、とりわけテレビのニュースやワイドショーは連日のようにこの動きを報じ、小池さんや前原さん、枝野さんなどにスポットライトが当たりました。その反動として、自民党の悪さや共産党の良さが陰に隠れてしまったのではないでしょうか。

 政界再編と新党結成による影響は、それだけではありません。小選挙区で野党がバラバラでは勝てないということが明らかであるにもかかわらず、共闘の分断と新党の結成によってそのような状況が生まれてしまいました。

 小池さんの希望の党結成にかかわる一連の騒動は、結果的に野党共闘を妨害し、分断することによって安倍首相を利することになりました。とりわけ、「選別と排除」によって民進党を分裂させただけではなく、希望の党に対するイメージを大きくダウンさせてしまった小池さんの責任は大きいと言うべきでしょう。

 そのために希望の党への期待感が急速しぼみ、都議選のような自民党の歴史的惨敗を再現する可能性はほとんどなくなっています。注目されていた小池さん自身の立候補取りやめはこのような情勢変化の結果でしたが、そのためにますます希望の党への希望が薄らいでしまいました。

 これら一連の経過による最大の受益者は安倍首相でした。過去5年間に及ぶ悪行の数々や「大義なき解散」をめぐる国民の違和感などが劇場型選挙の幕の後ろに隠され、忘れ去られてしまったからです。

 比例代表選挙での自民党の堅調さの原因はここにあります。野党再編の混乱と頼りなさに比べれば相対的に安定しており、まだましだと見えているのかも知れません。

 小選挙区でも、自民党は共闘の分断と野党の乱立に助けられています。そうなることが分かっていたから、市民と立憲野党は共闘に向けての話し合いを重ね、与野党が「1対1で対決」する構造を作るべく努力を積み重ねてきたのではありませんか。

 それを一挙に瓦解させてしまったのが小池さんであり、その「小池にはまった」前原さんでした。排除された枝野さんらによって立憲民主党が誕生し、共闘体制も立て直され249選挙区で共闘が成立しましたが、残念ながら与党と野党とが「1対1で対決」する形にはなっていません。

 今できることは、小選挙区で自民党や公明党に勝てる可能性のある候補者に票を集めることです。野党同士の足の引っ張り合いを止めて安倍首相に攻撃を集中し、与党の候補者を落選させるために野党が力を合わせて「包囲殲滅」しなければなりません。

 比例代表では、共産党・立憲民主党・社民党の立憲野党3党の議席増によって改憲勢力の議席が3分の2を越えないようにすることが重要です。なかんずく、この間の「信義なき再編」の下で信義と政策合意を貫き、約束を破らず、筋を通してブレることなく市民と立憲野党の共闘を守り、候補者を降ろすという自己犠牲的な対応をしてきた共産党の献身に報いなければなりません。

 劇場型選挙の幕の影に隠れてしまった安倍首相の悪行の数々に光を当て、再び国民の前に明らかにして審判を問うことが必要です。その安倍暴走政治と真正面から対峙し、安倍9条改憲阻止を訴え、市民と立憲野党との共闘を誠実に守ってきた共産党を苦戦から救い出さなければなりません。

 総選挙は中盤戦に入ろうとしています。反転攻勢によって安倍暴走政治を断罪し、憲法を守るまともな政党の勝利をアシストできるかどうかに、日本の有権者の良識と面目がかかっているのではないでしょうか。

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