判決を受けて原告の77歳の女性が会見を開き、「さいたま市に5万円の慰謝料を支払うよう裁判所が命じたことは、市が間違っていたということで、よかったという気持ちです」と話しました。
また、原告の弁護団は「表現の自由など、憲法で保障された権利の侵害までは認められなかったが、どの公民館でも市民から寄せられた作品や意見を、職員が公正に取り扱わければならないことを一般化するもので画期的な判決だ」と話していました。
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さいたま市の女性が憲法9条に関するデモについて詠んだ俳句を公民館だよりに載せなかったのは憲法が保障する表現の自由を侵害したなどとして市に損害賠償を求めた裁判で、裁判所は、表現の自由の侵害などは認めなかったものの、公民館側が俳句を掲載しない理由を十分検討していなかったとして、5万円の慰謝料を支払うよう命じました。
この裁判は、さいたま市の77歳の女性が、3年前、俳句サークルで集団的自衛権の行使容認に反対するデモを詠んだ「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という作品について公民館だよりへの掲載が拒否されたのは、憲法が保障する表現の自由を侵害するなどとして公民館を管轄するさいたま市に対し、俳句の掲載や200万円の慰謝料を求めました。
13日の判決で、さいたま地方裁判所の大野和明裁判長は「公民館だよりという特定の表現手段を制限されたに過ぎず、同人誌やインターネットなどによる表現が制限されたわけではない」として、表現の自由の侵害には当たらないと判断し、さらに俳句の掲載についても認めませんでした。
一方で、「俳句サークルが提出した優秀な作品をこれまでも掲載しており、今回も原告が掲載されると期待するのは当然だった。公民館側は掲載しない理由について十分な検討を行っていない」として、さいたま市に5万円の慰謝料を支払うよう命じました。