こんにちは、たけのこです。
以前記事で紹介したおじさん、磯田謙雄の銅像にあってきました。
台湾旅行の本題であるこの物語。
白冷圳の管理財団の理事長や現地ガイド、そして30年に渡り台湾と日本の交流活動をしてきた方、現地の農家さん等々様々な人々と交流することができました。
今回はそんな話です。
※台湾サイドストーリーシリーズはこちら
〇海外旅行にSIMロックフリースマホは必須?旅の難易度が凄く下がります
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白冷圳と磯田謙雄。新社大地を潤した水の物語
白冷圳のおさらい
磯田技師は現在の台中にある新社台地にて、840ヘクタールの土地に水利設備を設置し、農地を整備しました。
新社台地は海抜500mの高台で、温和な気候で病虫害伝染の恐れがなく、サトウキビ栽培に向いた土地でした。
そのため農業が主要産業の台湾を支える大切な場所と考えられていましたが、水源はなく雨水に頼った不安定な農業をしていたのです。
近くに大甲渓と呼ばれる河が流れていましたが、高低差が90mもあり、くみ上げるためには強力なポンプや電源が必要となります。
そこで磯田技師は自然の原理を利用して新社台地に水を引き込むことを計画しました。
磯田技師は「水は高いところから、低いところへ流れる」原理を利用し、大甲渓の上流、新社台地よりも標高の高いところに取水口を作り、高低差を利用して新社台地に水を引き込む水路を考えたのです。
しかし、それを実現するためには、いくつもの山や谷を越えなければなりませんでした。そこで磯田技師は途中にいくつものトンネルや水道橋、暗渠、逆サイフォンを作ったのです。
始点である取水口から終点である円堀までの総延長は16.6kmにも及び、トンネル22か所、水道橋14か所、逆サイフォン3か所を建設しました。
そして完成した水路は、取水口のある地名を取って「白冷圳」(はくれいしゅう)と名付けられました。
そしてこれが逆サイフォン
反対を見た写真
この中を水が流れています。
100mくらいの標高を水が上ってるんじゃないかな。
逆サイフォンの原理は前回紹介しましたが、このようになっています。
水は高低差があれば一旦低いところに流れても、重力に逆らい上に上がることが出来る原理ですね。
この写真は2号サイフォンと呼ばれ白冷圳で最も大きいサイフォンです。
ここに記念公園が作られています。
ちなみに普通のサイフォンを利用したアイテムがこれ、皆さんご存知「灯油ポンプ」です。
白冷圳と磯田技師の偉業をたどる旅
さあいよいよ白冷圳をたどる旅です。
今回は白冷圳全長16kmをポイントごとに見ていきました。
パートナーはこのバン
ワーゲン君です。
9人乗れます。
いざ出発。
場所は台中の山奥。
どんどん進むと台中を見渡すような山奥にきていました。
台中市内が遥か彼方です。
そしてこれが、水源となる大甲渓
この水を新社台地に引き込んでいるのです。
そしてさらに山奥へ進みます。
するとある所につり橋がみえてきました。
ここから白冷圳の出発地点、水を取り入れるための取水口に向かいます。
林野を抜けて取水口に向かう
ここからは林野を抜けて取水口へむかいます。
前を歩くのがガイドさん。
この道もおじさんが歩いたかと思うと胸が熱いです。
10分ほど歩くと少し開けた場所が見えてきました。
ここは当時、水源の管理事務所があったようです。
戦後、破壊されてしまったのでしょう。
裏側にはトロッコが走るためのレールが敷かれていたようですが、先の地震で壊れてしまったとのことです。
この奥が取水口です。
取水口のことを現地では入水口というようですね。
ここから16.6kmの水の旅が始まります。
取水口を見てみましょう
これが水の入口。
5mほどの高さでしょうか。
円形の取水口の口に格子が見えます。
これを上から見ると水が流れ込んでいるのがわかります。
ここに流れこんだ水は、隣の立坑へさらに流れ込みます。
こちらが立坑。
かなり深いです。
20mくらいあるんでしょうか。
もっとそこは深いかもしれませんね。
なぜ円柱の構造物がならんでいるのか、予想ではありますが大雨等で水量が増した時のためなんですかね。
新社台地の繁栄を祈った神社
さらに奥へ進むと、神社の跡地があるということで草木を掻き分けて進みました。
もうジャングルですよ。
何かの柱の跡です。
近代史なのに遺跡化しています。
さらに奥へ進むと何かの基礎の跡
これは当時、鳥居が立てられていた時の基礎のようです。
そして、この正面が神社と思っていたら…
今は石碑があるだけで神社は取り壊されていました。
戦後、近くに水力発電設備が建設され、その石碑に置き換わっていました。
当時の神社の様子はわかりません。
でもこの石段から、新社台地を潤す水の安全や、繁栄を願っていたことが伝わってきました。
5号水道橋
ここは5号水道橋です。
ここは地震で壊れ復旧されたもので、当時あった水路が展示してありました。
鉄筋コンクリート製です。
当時の鉄筋がむき出しになっている部分もありました。
特別に中へ入らせてもらいました。
なんとなくサイズ感がわかるでしょうか。
私の身長が178㎝なので…って、しゃがんでたらわからないですね。
ピース写真撮るとこじゃないよなと思いつつ、うれしくてピース。
この配管が70年もの間、水を運び続けていたのです。
そして、近くには自然に生えたバナナがありました。
バナナが野生に生えてるなんて、さすが南国です。
台湾バナナは日本で買ったら高いですから、丸々持って帰りたいくらいでした。
ちゃんと取水口から入って来た水も流れています。
平らに見えますが、微妙な行程差をつけて水を流しています。
当時の測量技術を物語らせますね。
お昼ごはん
さて、ここでお昼ごはんです。
何か入口からとってもメルヘン。
先にお伝えしておきますが、ここはかなり山奥です。
そして手作り感がものすごい。
明らかにベニヤとかに色塗って、DIYしてる感じです。
princess villageだそうです。
なんだろう。
なんか胸騒ぎというか、不思議な気分です。
でも中に入ると...
めっちゃロッジ風なんです。
この外とのギャップがなんとも言えないですね。
ケーキも美味しそうです。
というか美味しかった。
私のお昼ごはんはというと、鶏の足のステーキとスープ、フルーツサラダ
このフルーツサラダがとっても美味しかったです。
そしてデザートにパッションフルーツ!
見た目は美味しそうに見えませんが、これがめちゃくちゃ旨い!
酸味も甘みも最高の味です。
これも白冷圳の運んだ水があるからこそ栽培できてるものだそうです。
お土産に一人7個貰っちゃいましたが、全部ペロリでした。
次回に続く!
さて、今回はここまでです。
次回は後半戦。
白冷圳のメインスポットと白冷圳の今後について、書いていきます。