徳川家も愛したブランド栗!秋こそ食べたい小布施の栗スイーツ名店まとめ
長野市に隣接する小布施(おぶせ)町は、知る人ぞ知る栗の名産地。かつては徳川幕府の厳しい管理下に置かれ、収穫された栗は究極のブランド栗として将軍家に献上されたといいます。“紀州みかん”、“甲州ぶどう”と並ぶ「徳川三大果」と謳われたのが、この“小布施栗”。今回は、そんなブランド栗のおいしさを堪能できる絶品栗スイーツの名店を厳選してご紹介します!
1.栗餡×蜜栗×栗蜜!栗・栗・栗のクリームあんみつ「泉石亭」
まず、ご紹介したいのが「泉石亭(せんせきてい)」。こちらは、小布施で初めて栗菓子を販売した老舗菓子店「桜井甘精堂(さくらいかんせいどう)」が手掛ける食事処です。きれいなお庭を眺めながらティーブレイクできるとあって、店内は観光客で連日大にぎわい!
このお店でぜひとも食べていただきたいスイーツが「クリーム栗あんみつ」。【栗餡】と大粒の【蜜栗(栗の甘露煮)】がのったあんみつに、【栗蜜(栗の砂糖蜜)】をたっぷりかけて楽しむ、まさに栗尽くしの和スイーツなのです。
栗餡とは、ふかした栗を裏ごしし、砂糖と一緒に練り上げたもの。あんみつと聞くと、小豆の餡を想像するかもしれませんが、小布施で餡と言ったらこの栗餡が一般的です。小豆餡とはまったくの別もの。
そんな栗餡をスプーンで口に運んでみると……“栗感”満載のギュギュギュッと凝縮された濃厚なフレーバー!大粒の蜜栗もずしりと重みがあって、栗好きにはたまらないおいしさです。栗蜜(栗を煮る時に使った砂糖蜜)も、栗から染み出た風味やエキスが詰まっていて深いコク。上品な甘さで、バニラアイスとの相性も抜群です。大粒の蜜栗まで楽しめて、シアワセ~!
なお、栗菓子の原材料として欠かせない栗餡は、言ってみれば“味の要”。店ごとに少しずつ味わいが違うので、お好みの味を探してみるのも楽しいかもしれません。ちなみに、桜井甘精堂の栗餡は、栗の風味を残すためにできるだけ工程を減らしているので、少し粗目。力強い栗の風味が楽しめますよ。
泉石亭
長野県上高井郡小布施町大字小布施中町779
[営業時間] 10:30~18:00L.O.
[定休日]火曜
026-247-5166
2.「栗きんとん」はマストバイ!小布施きっての老舗菓子店「桜井甘精堂」
泉石亭の目の前にある「桜井甘精堂 本店」にも足を運んでみましょう。こちらの創業は文化5(1808)年。泉石亭でも楽しめる栗ようかんは、なんと200年も前から続くお菓子なのだとか!食べきりサイズの「ひとくち栗ようかん」1個・238円(税込)も販売しているので、お土産としてもおすすめです。
和洋さまざまな栗スイーツを扱っている同店ですが、新栗の季節だけしか味わえない特別なお菓子が「茶巾しぼり 栗きんとん」。収穫したばかりの栗を裏ごしし、砂糖と混ぜ合わせて、一粒ずつ茶巾しぼりで仕立てた素朴なお菓子です。冷凍保存をしないため、新栗ならではのフレッシュな風味が楽しめますよ!
定番の栗かの子は、そのままお茶請けとしていただくのはもちろんのこと、ブランデーをかけても美味。余った餡はクラッカーの上にクリームチーズと一緒に塗って食べてもおいしいそうなので、ぜひお試しを!
桜井甘精堂 本店
長野県上高井郡小布施町小布施774
[営業時間] 8:30~18:00
[定休日]なし
026-247-1088
3.店舗でしか食べられない激レア栗スイーツが充実!「小布施堂」
続いてご紹介する「小布施堂 本店」も、小布施を代表する有名栗菓子店の1つ。こちらの店舗では、和洋多彩な栗スイーツの購入だけでなく、奥にある飲食スペースで食事やお茶を楽しむこともできます。
せっかく新栗の時期に訪れるなら、9月・10月の限定生菓子「雁(かり)の山」をいただいてみるのはいかがでしょう?丁寧に裏ごしをした採れたての栗と小豆のこし餡を合わせた生菓子なのですが、とても繊細なお菓子のため、持ち帰りはできません。こちらの店舗でしか味わうことができない貴重な一品なのです。
そして、この時期に小布施堂でぜひともいただきたい名物メニューといえば、毎年9月中旬~10月中旬の時期にだけお目見えする、超ビッ“クリ”サイズの「栗の点心 朱雀(すざく)」!一見モンブランのようにも見えますが、そうめん状に絞られた栗には砂糖が一切含まれていないため、栗本来の味がそのまま楽しめます。
毎年の栗の出来栄えを確認してもらうことが目的なので、「おいしければ栗のおかげ。そうでなければ栗のせい」なのだとか。分厚い栗の層をかき分けた先には、特製の栗餡がほんの少しだけ隠されています。
毎年大、大、大行列ができる「朱雀」の販売は整理券制。どうしても食べたいという方は、早朝から店舗前に並ぶことをおすすめします(整理券の配布開始時間は平日8:30~、土・日・祝8:00~)。ブランド栗“小布施栗”の味わいを心行くまで楽しめます。
小布施堂 本店
長野県上高井郡小布施町小布施808
[営業時間] 物販9:00~17:00、喫茶10:00~16:00、食事11:00~15:00
[定休日]なし
026-247-2027
4.通年いただける「モンブラン朱雀」も人気!系列店「えんとつ」
「早朝から並ぶのはハードルが高すぎる!」「新栗の季節には行けないかも(涙)」という方には、「朱雀」を通年販売のモンブランスタイルで提供する系列カフェ「えんとつ」へ行ってみましょう。
こちらは整理券制ではないので、早朝から並ぶ必要はありません(……が、新栗のシーズンや連休中はやはり大行列ができるそうです。それなりの覚悟は必要かもしれません)。
さて、こちらがウワサの「モンブラン朱雀」。見て下さい! このコーヒーカップがかすむほどの、こんもりとした大きさを!拳が2つあっても足りないほどの、すごい迫力です。
「朱雀」同様、表面にはそうめん状に搾り出した栗餡がたっぷりかかっています。早速フォークを入れてみると、その層の厚さにまたまたびっくり。超・超ビッグなモンブランのなんと半分近くを栗餡が占めているではありませんか! 生クリームを使わず、栗と砂糖のみで仕上げているという栗餡からは、栗本来の香りがふわり。
「こんなに栗を満喫できるモンブランは初めて!」
中に隠されているのは、フワフワ食感のイタリアンアイスクリーム。香ばしいカラメルでコーティングしたサクサクのナッツが混ぜ込んであり、味や食感にアクセントを与えています。土台のスポンジ生地からトップの栗餡まで、いろいろな味が幾重にも重なっているので、とっても楽しい!
生クリームを使っていないのと、アイスクリームがとても軽い食感なので、くどさを感じることなく食べ進めることができます。途中「ちょっと飽きてきたな」と思ったら、お皿に添えてあるチョコレートソースやカシスソースを付けると、また違った味わいが楽しめますよ。
えんとつ
長野県上高井郡小布施町小布施808
[営業時間] 12:00~16:00(冬季は14時まで)
[定休日]なし
026-247-7777
5.国内産の優良栗だけをすべて自社で仕込む「竹風堂」
さて、桜井甘精堂、小布施堂と並んで、小布施の栗菓子御三家と呼ばれているのが、ここ「竹風堂(ちくふうどう)」。こちらでは、小布施栗を中心に国産の優良栗だけを使った、上質な栗菓子が各種そろいます。
こちらで絶対に食べてほしいのが、2階の食事処で提供されている「栗あんしるこ」。栗餡だけで作ったおしるこは、超濃厚&超贅沢な味わいです。栗の香りや風味をガツンと感じることのできる食べ応えのある一杯ですよ。
「竹風堂」の栗餡は、風味も甘みもしっかり立たせたバランス系。香ばしく焼き上げたお餅に、しっかりとあんこを絡ませて楽しみます。
そして、こちらの栗菓子の中で人気NO.1といえば「どら焼山」。生地はまるでパンケーキのようにフワフワ、口の中ですっとなくなるほど口どけがいいのが特徴です。栗餡の中に砕いた蜜栗がたっぷり入っているところもうれしいですね!
また、これ以上ないほど贅沢な栗菓子として話題なのが、選りすぐりの栗だけを使った究極の栗ようかん「華厳妙韻(けごんみょういん)」。
1棹4,800円(税込)となかなかのお値段ですが、2017年6月に新発売して8月中旬には完売してしまったというから驚きです。新栗の仕込みを待って、11月には販売を再開するそうなので、ぜひ食べてみてください。
竹風堂 小布施本店
長野県上高井郡小布施町小布施973
[営業時間] 物販8:00~19:00(11~3月は18:00まで)、飲食10:00~19:00(10~3月は18:00まで) ※L.O.は閉店30分前
[定休日]1/1、他、年2日臨時休業あり
026-247-2569
6.栗のおいしさが詰まった濃厚ジェラートを堪能!「マローネ」
その中でも人気なのは、ミルクベースのジェラートに竹風堂の特製栗餡を練り込んだ「栗」。特製栗餡をたっぷり練りこんでいるというだけあって、舌ざわりも味わいも、ずっしり濃厚!栗の風味がしっかり楽しめるので、「栗を食べた~!」と実感できる、食後の満足感もバッチリのひんやりスイーツです。
また、竹風堂のロングセラー落雁「方寸(ほうすん)」を練り込んだ、ちょっと変わったジェラートもありました!こちらは、きな粉にも似たほのかな香ばしさを感じる和風ジェラートです。小布施産のサワーチェリー「チェリーキッス」を使ったヨーグルトベースのジェラートも人気なので、ぜひ味わってみてください。
ジェラートショップ マローネ
長野県上高井郡小布施町小布施973
[営業時間] 10:00~18:00(11~3月は17:00まで)
[定休日]1月1日。12~3月の水曜
026-214-3287
松井さおり
出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)
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