サラリーマンの借金の実態と上手に借りるテクニック~その1
借金は、できることならしたくない、そう思っている人が多いですよね。また、自分は借金には縁がない、そう思っている人も多いのではないでしょうか?
ただ、借金という名前でなくても、ローンと名前を変えた、借り入れサービスはどこの金融機関でも行われていますし、キャッシングもローンの一つです。こうしてみると、実は借金は身近に潜んでいるのですね。今回は、サラリーマンの借金に関するあれこれを紹介していきます。
サラリーマンの借金は大きく2つ
サラリーマンが経験する借金は、主に2種類あります。
カードローン・キャッシング
1つ目が、「カードローン、キャッシングローン」と呼ばれるものです。いわゆる現金を少額で借り入れし、月々払いで返していくものです。カードローンは、信販会社が提供しているキャッシングサービスと、銀行が提供している銀行カードローン、そして、消費者金融が提供しているカードローンなどがあります。
住宅ローン
2つ目が、いわゆる「住宅ローン」です。住宅を担保にすることで、比較的低金利で融資を受けることができる仕組みになっています。持ち家をキャッシュで買える人はごくわずかです。家を買う人は、大抵住宅ローンを利用するのではないでしょうか。住宅ローンについては、減税等、様々な税務メリットが用意されています。
- 投資用マンション
- 投資用マンションを買う際も、銀行は融資を行ってくれます。同じく不動産に対する融資ですが、こちらは事業用ローンになることが多く、一般的に金利は高くなります。また、住宅ローンほど税務メリットもありません。不動産投資はあまりやる人がいないので、今回は、カードローンと住宅ローンに絞って解説します。
カードローン、実は使っている人が多い?
カードローンを使っているサラリーマンは、どれくらいの人数がいるのでしょうか。
ジャパンネット銀行が行った、「カードローン利用に関する実態・意識調査」によると、調査人数の母集団3142名に対し、「カードローンを使用したことがある人」の母集団が2251人なので、本調査では7割の人がカードローンを利用したことがある、と推測されます。
こういった調査では、カードローンを利用したことがある人ほど調査対象になりやすい傾向があるので、「実際は4割~半数程度の人が、カードローンを利用したことがある」と推測されます。決して小さな割合ではないですね。
定期的な利用者
出典:ジャパンネット銀行「カードローン利用に関する実態・意識調査:定期的な利用者と年収」
http://www.japannetbank.co.jp/company/news2013/130225.html
また、カードローンを利用したことがある人のうち、定期的に利用しているのは、全体の28%になります。年収が高いほど、定期的に利用している割合が高く、世帯年収800万円以上だと、3割以上の人が定期的に利用しているそうです。収入が高い方が、カードローンを使う割合が多いというのは、意外な気もしますね。
利用目的は?
目的別に見ると、娯楽・交際費が最も多く、約半数の方が交際費のために利用しています。次に生活費が42%で続き、この2つが飛びぬけて高い結果になっています。生活費の割合が、世帯年収が上がるにつれて下がっていく一方、交際費の割合は、世帯年収があがるに連れ増加していきます。
世帯年収別に利用目的を見てみると、1,000万円以上の世帯収入であっても、約4人に1人が生活費を目的にカードローンを利用しています。一方で、投資資金という回答も1割強存在しており、資産形成するために、カードローンを利用する、という方もいるようです。
利用金額は?
カードローンで借りる金額としては、10万円以下が最も多く、6割近い割合をしめています。世帯年収が1,000万円以上であっても、約半数は10万円以下の借り入れにとどまっています。大きい金額を借りる、というよりは、小さい金額を複数回借りる、という使い方をしている人が多いようです。
重視ポイントは?
こうしたことから、重視するポイントとして、低金利以外にも、便利さやスピード感、そして会社としての安心感などをあげられる人が多いようです。その安心感を反映してか、消費者金融よりは、銀行のカードローンを今後使っていきたい、というような調査結果がでています。
カードローンはどちらがお得?~銀行と消費者金融
では、実際にカードローンを利用する際、銀行系と消費者金融系のどちらがお得か比較していきましょう。
一番の違いは、「量かスピードか」の違いになります。借りる金額を増やしたい場合は、銀行発行のカードローン、クイックに融資を受けたい方は、消費者金融系がよいかもしれません。
借入限度額に関わる総量規制
一般的に、貸金業者は総量規制という枠組みの中で、お金を貸しています。
総量規制とは、個人の借入総額は年収の3分の1以内までという規制を設ける法律になります。例えば、年収450万円のサラリーマンなら借入限度額は150万円まで。年収額120万円のアルバイトなら限度額40万円までしか借入することができません。これは、1社あたりの金額ではなく、貸金業全体として総量規制がかかる形になります。
銀行は銀行業のため、総量規制の対象外です。年収の制限が無いため、高額融資を受けることも十分可能です。また、複数社からお金を借りていて、借入総額がすでに総量規制いっぱいであっても、関係なく借り入れを起こすことができます。おまとめローンや借り換えローンは、この仕組みを活用したサービスになります。
比較ポイント【借入限度額】
消費者金融:総量規制により借入額は年収の1/3まで
銀行のカードローン:「総量規制」の対象外
金利
続いては、金利を比較していきましょう。
多くの消費者金融カードローンは、金利が法定金利一杯の年18%で設定されています。これに対し、銀行カードローンは、13%~15%くらいで設定されていることが多いようです。
例えば100万円を借り入れたとすると、消費者金融の場合、約15%の利息がつくのに対し、銀行カードローンでは12%台で借入することが可能です。
しかし、消費者金融系には、無利息サービスと呼ばれる一定期間の利息が無料になるサービスがあります。例えば、アコム、プロミス、アイフルでは30日間無利息を実施していたり、ノーローンでは、1週間なんどでも無利息などのサービスを行っています。
比較ポイント【金利】
金利は銀行の方が低いが、短期に返済するなら消費者金融の無利息が効果的
スピード
審査までのスピード感で言うと、消費者金融系のカードローンがおすすめです。今日中にお金が必要になり、たとえば翌週返せるあてがある、という人などは、消費者金融系の方が多くのメリットを感じることができるでしょう。
消費者金融カードローンは、早いものですと、審査まで最短30分、融資まで早くて40分というケースもあります。審査状況によって時間は異なりますが、早ければ30分程度で借入できたという人もいます。公式ホームページにも、20分融資、や30分融資、と謳っているとおり、早さを武器にしています。
銀行発行のカードローンは金融庁の指導が入ったため即日融資のサービスを取りやめているところが多くなってきました。
比較ポイント【スピード】
審査・融資共にスピードは圧倒的に消費者金融の方が早い。銀行発行のカードローンは今後もっと時間がかかる可能性が高くなっています。
安心度や審査では?
安心感で言うと、銀行の方が安心ではないか、と思われる方も多いかもしれません。実は、銀行と消費者金融は、いい意味でつながっているため、大手であれば消費者金融系であっても安心感があると思います。
たとえばアコムですが、三菱UFJフィナンシャルグループの傘下になっています。プロミスは、ブランド名であり、運営している会社はSMBCコンシューマーファイナンスと、SMBC系列になっているのです。
このため、銀行と消費者金融は、密接な関係にあります。消費者金融の会社に融資をしている、つまり、我々が消費者金融から借りているお金は、実は銀行が消費者金融に貸しているお金なのです。消費者金融は、借りたお金と貸したお金の金利差でビジネスをしているのです。
保証と審査
一方、銀行カードローンは、保証会社として消費者金融を使っています。たとえば、利用者が長期延滞した際には、保証会社が銀行に対し代理で返済を行い、保証会社が回収を行います。また、同時に、保証会社が申込者の審査を行います。
銀行カードローンは保証会社が審査をおこなうため、アコムやプロミスが保証会社になっている銀行カードローンは比較的審査に通りやすいと言われている一方で、金利を高めに設定しているケースも多いです。
ただし、保証会社が審査を行うといっても、その最終判断は銀行になります。よって、銀行の方が、消費者金融よりも、少し審査が厳しいようです。
安易なおまとめは危険?おまとめローンのメリット、デメリット
最近は、カードローンとともに、おまとめローンや借り換えローン等の広告を目にすることも多いと思います。いかにもメリットがあるように書いてあるため、ついおまとめローンを利用したくなる人もいるでしょう。
ただし、彼らも広告を打って、お客さまを獲得したいわけです。消費者のためだけにやっているわけではありません。ここでは、おまとめローンのメリット、デメリットについて解説します。
おまとめローンのメリット
まず一番に挙げられるのは、資金管理のしやすさでしょう。借りる本数が多くなると、残債がいくらか、毎月いくら返せばよいのか、あと何回支払えばいいのか、など、混乱をすることがあります。そもそもお金をきちんと管理できる人なら、何か所からも借りたりしないのではないでしょうか。
それを纏めることにより、支払いは月1回でよくなり、あと何回、残債はいくらかなど、わかりやすく整理できます。これが一番大きなメリットです。
また、月に3回、それぞれ10,000円ずつ返していたとします。そうすると、返済だけで月に3万円です。銀行ローンにきりかえた場合、金額にもよりますが、約半分から三分の一くらいに、月々の支払を圧縮できる場合もあります。
金利の上限がある分、金利が安くなる可能性も
さらに、銀行カードローンの場合、金利が安くなる可能性もあります。そもそも銀行カードローンの方が、低めに金利を設定している場合が多いからです。
さらに、貸金業法で、100万円以上貸す場合の金利は、最大15%までと決まっています。例えば、50万円ずつ、3社から借りていたものを1つにまとめると、金利が18%から15%まで、最大3%も安くなる可能性があるのです。
おまとめローンのメリット
- 資金管理のしやすさ
- 返済金額の少なさ
- 支払い回数の少なさ
- 金利が低くなる可能性有
おまとめローンのデメリット
では、おまとめローンのデメリットは、どこにあるのでしょうか。
おまとめローンの最大のデメリットは、返済期間が長くなることです。シンプルな話ですが、100万円をかりて、毎月4万円返すのと、2万円返すのでは、当然返済期間は倍以上になってしまいます。
一般的に、銀行ローンの方が、消費者金融より、最小返済額が低いことが多いです。これをいいことに、最小返済額を少なくしすぎると、返済期間が長くなり、結果、返済額が消費者金融より多くなってしまった、というケースも多いので、気をつけましょう。
そもそも審査に通らないことも
また、おまとめローンは、確かにまとめているように見えますが、追加で銀行からお金を借り、それを消費者金融の返済に充てる、という形で、別の事業になります。
銀行は消費者金融に比べて審査が通りづらくなっています。おまとめローン等の優遇がある場合もあるようですが、別物だということはきちんと理解しておきましょう。
また、総量規制の対象外になるため、そもそも追加で借りることもできてしまいます。こうなると、借金は雪だるま式になってしまうため、くれぐれも、多重債務には注意してください。
おまとめローンのデメリット
- 金利が安くなったのに、返済額が大きくなるケースもある
- 審査に通らない事もある
- 多重債務の危険性
まとめ
サラリーマンの借金には、主にカードローンと住宅ローンの2種類があります。そのうちのカードローンは、実は半数近くのサラリーマンが利用したことがあるのです。
カードローンも、その種類は銀行系と消費者金融系の2つに分かれます。銀行系・消費者金融系にそれぞれメリット、デメリットがあるので、自分の用途・目的に見合ったローンを借りていくことが重要です。
おまとめローン、借り換えローンというサービスもありますが、必ずしもメリットばかりではないので、本当に必要かどうかを検討しましょう。多重債務に転がり落ちないためにも、しっかりと自分で管理することが重要です。
その2では、もう1つの大きな借金である、住宅ローンについて解説していきます。