目次
- VOCALOIDが苦手な理由
- 楽器としての可能性
- ミニマルテクノと初音ミク phasma
- キラキラしたダンスミュージック ZANIO
- 耽美なエレクトロニカ Wonderlandica
- 音のチョイスが面白い Leggysalad
- おわりに
VOCALOIDが苦手な理由
VOCALOIDはお好きだろうか?俺は苦手な人によく会う。その嫌いな理由は大別すると三つに分けられる。
- ”萌え”ビジュアルイメージが苦手
- VOCALOID独特の曲が無理
- 耳になじまないあの声が苦手
順番に見ていこう。
1.”萌え”ビジュアルイメージが苦手
この意見が一番多いだろう。
これが苦手な人いるのすごいわかる。GOOGLEのCMで初音ミクが出たとき、その躍進に感動する俺の横には、TVを見つめる父母のドン引きの顔があった。胸がギュッとなった。
今でこそ市民権を得てきたこのタッチの絵だが、昔は見てるだけでヤンキーに目を付けられたものだ。このビジュアルイメージがあったからこそ、初音ミクは人気者になり、そしてそのために嫌いな人も増えた。
もちろんメインの潮流はオタクカルチャーにどっぷりなのだけど、作曲者はそうでない人も多い。キャラクターではなく音源として考えてみるのはどうだろうか。
2.VOCALOID独特の曲が無理
これもわかる。音域の広さを生かしすぎた超絶ハイトーンボイスだったり、打ち込みならではの超高速で通り過ぎていく歌だったり。
ハチ(現在は米津玄師名義の方が有名)や「カゲロウデイズ」の登場あたりから現れた、やたら長くて妙に凝ったイントロ。
あと「山月記」的な表現。メインの客層が中高生だからか、難しい言葉を使いがちな気がする。「笑う」じゃなくて「嗤う」だったり。
こういうのが苦手な人は多いだろう。けどこれはニコニコ動画でヒットする曲に多いパターンで、一部の人気楽曲が一人歩きしてフォロワーを増やしているに過ぎない。そうでない曲の方が多いのでご安心を。
3.耳になじまないあの声が苦手
VOCALOIDが苦手なのは、スペックの問題なんだ、という人も多いだろう。あの人工的な声がどうしてもなじまないし、それなら普通に人が歌ってる曲を聴くと。
でも単に人の声の代替品として、VOCALOIDが使われているわけではないことを知っていただきたい。そこで紹介したいのがVOCALOIDを使ったインスト楽曲だ。
VOCALOIDを「歌」ではなく、「楽器」として考えてみるのはどうだろうか。
楽器としての可能性
VOCALOIDはエレクトロニカやドラムンベースなど、電子音楽の作曲家たちから一目置かれている。幅の広いシンセコーラスとして使えるのだろう。人の肉声よりも電子音楽との相性は良いかもしれない。
上記3つの壁に阻まれて、VOCALOIDを掘らなかった人たちが、出会っていないであろうインスト楽曲を、今日はご紹介していきたい。
ミニマルテクノと初音ミク phasma
ミニマルで聴きやすい上品なテクノ。上述のビジュアルイメージも出てこないし、言われなければVOCALOIDということもわからない。もちろん漢語も出てこない。なんでも言わせれるシンセボーカルって実際便利だと思う。
ネットに眠る才能
ちょっとノイジーなテクノ。こうやって使われると、初音ミクもそのために作られたソフトのよう。かっこいい。
phasma (ファズマ)とは
2011年に分解系レコーズより「Mirage EP」をリリース。
Gridplay — A Social Music Playground Powered by Intel® のサウンドデザイン。
ベルリンのレーベルPROJECT MOONCIRCLEよりリリースされたkidkanevilのアルバム「My Little Ghost」にフィーチャリングアーティストとして参加し「Inakunaru ft. Phasma」を収録。引用:公式サイト
というように、上記の曲をリリースしたあともガンガン活動されているよう。
先日にはphasmaがUIデザインとデモ動画担当したソフトがリリース。エレクトロニカを作るのが捗る。この人多才だ。
しかも夏コミにも参加。シーンを引張って欲しい。
(※夏コミ:日本で開催される世界最大規模の同人誌即売会の夏ver。冬もある。)
キラキラしたダンスミュージック ZANIO
先ほどの曲がミニマルすぎた方にはこちら。初音ミクの良さが引き出されている様に感じる。パッケージがあれじゃなかったらこういう方向に進化して行ったんじゃなかろうか。
ちなみにこの曲。レコードでリリースされている。なぜDJユースにするんだろう、アニソン系イベントを意識するには2013年は早い気もするし、もっと大きなシーンを狙っていたのだろうか。
ZANIO(ざにお)とは
もしニコニコ動画にどっぷりはまっていた人がいるなら分かるかも知れない。「ぺヤングだばあ」という曲で有名になった人。
ageHaで回しておる。ヴォーカロイドDJを名乗っているようだし、自分がかけるために作ったのかな。この人もコミックマーケットで会えるそう。
ジャズからの影響が強いディープ・ハウスと言うジャンルの楽曲を得意としており、自身のルーツとなるアーティストにはハウスミュージック系と同時にジャズ/フュージョン系のアーティストも挙げている引用:ニコニコ大百科
とあり、その音楽の幅広さがうかがわれる。
耽美なエレクトロニカ Wonderlandica
またもやミニマル。でもなんだかキラキラしてて、心地いい。
Wonderlandicaとは
エレクトロニカ/アンビエント系の曲を作る人で、VOCALOIDは使ったり使わなかったりするらしい。前のリリースは昨年のコミックマーケット。やっぱりこの界隈の人たちもあそこで会えるのね。
音のチョイスが面白い Leggysalad
この曲はインストではないので、今日の趣旨とは外れるが、イントロを聴いていただきたい。この記事を書こうと思ったきっかけがこれ。このフレーズにVOCALOIDの可能性を感じて、色々探して、今に至る。
きっかけはたまたまだったが、この曲を見つけられてよかった。展開もすごく面白いので良かったら最後まで聴いてね。
Leggysalad (レギーサラダ)とは
この人の場合はもともと電子音楽を作ってて、そこにVOCALOIDを取り入れたパターンらしい。
株式会社良品計画(無印良品)より2011年末に公開されたWebコンテンツのSoundEffectや、
六本木ヒルズ53階・森美術館における展示のBGMを一部担当するなど、
インターネット上を軸に様々な活動を行なっている。引用:SOUNDCLOUD
ほんとにVOCALOIDで曲を作ってくれてよかった。
この金髪の人。今はfhánaというユニットでの、アニソン関係の仕事が多いらしく、結構な数のアニメ主題歌を担当している。
おわりに
この記事を読んでいただいて、少しでもVOCALOIDに対する印象を変えられていたら、幸いだ。今日紹介しなかったものも含め、あらゆるジャンルがVOCALOIDを使って表現されている。(ハードロックとかアイリッシュとかまである。)だから再生回数に囚われずお気に入りの曲を探してみて欲しい。
あと技術も日々進歩しているので、例えばSEKAI NO OWARIの深瀬のVOCALOIDなんかは、ほぼ本人レベルのクオリティになっている。
まだすこしぎこちない部分もあるが、このペースで進歩して行ったら、十数年後には肉声とほとんど差のないVOCALOIDも出来るんじゃないかと思う。
それが良いことなのか悪いことなのかは分からないけど、今より違和感はなくなるだろうな。技術の進歩と共に音楽も進んでいくので、1日でも長生きしたいなと思っているsigefuziがお届けしました。読んでくださってありがとうございます。
最後にLeggysaladのええ曲を。